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関ジャニ∞安田章大が伝えたかった“生と死”の尊さーーソロ写真集『LIFE IS』のメッセージを読む

リアルサウンド

20/10/14(水) 13:08

 関ジャニ∞安田章大、初のソロ写真集『LIFE IS』(マガジンハウス)が、10月5日付のオリコン週間BOOKランキング総合2位、ならびにジャンル別「写真集」で1位を獲得した。(集計期間:9月21日~27日)

 多くの人が、安田の経験値を受け取ろうとしている――。

 この写真集は、安田が自ら出版社に企画を持ち込み、「10年以上片思いをしていた」という写真家・岡田敦に依頼をして実現したものだ。

 2017年2月19日、安田は髄膜腫の手術を受けた。髄膜腫とは、脳を覆う髄膜の細胞の一部が大きくなってしまう良性の脳腫瘍。その大きさは、実に野球ボール大にもなっていた。腫瘍ができた場所は、言語や記憶力を司る部分であったため、手術後には言葉が出にくくなる後遺症も。さらに、明るい光に敏感になり、色付きの眼鏡をしていないと、気を失いかねないという。実際に、立ちくらみが原因で転倒し、背中と腰を骨折してしまったこともある。

 だが、安田はメディアのインタビューに対して、いつも明るく話しているのが印象的だ。「ジャニーズだってこうですよ。等身大のものを見せていかなきゃいけない時代になったんじゃないのかなって」。色付きの眼鏡も、彼がしていると新しいテーマのファッションアイテムなのではないかと思えてしまう。頭皮に残った傷痕さえも、オシャレなヘアスタイルに見えてしまう。それは、彼が病を通じて得た経験を隠すことなく発信していこうとしているから。その覚悟が、その生命のきらめきが、彼を生かす全てのものが眩しく見えてしまうのかもしれない。

 そんな彼が、今回の写真集の舞台に選んだのは、北海道・根室市。マネージャーも同行しない、最小人数での撮影だったという。安田が写真集で表現したかったのは「生と死」。彼が指名した写真家・岡田敦は、これまでも1人の女性の出産までの過程を記録した『Mother』や、傷ついた多くの若者を撮影した『I am』など、生々しく“生きる“被写体と向き合ってきた人。

 色付きの眼鏡を外せるのは、日の光が弱い限られた時間だけ。早朝4時半からの撮影では、手足がビリビリと痺れるほど寒かったと振り返る。生命を維持するのに極限の状況に立った安田は静かに、強い眼差しを向ける。死が間近まで迫った、だからこそ感じたものがある。

 写真集の中には、安田がまるで歌詞のように綴る美しい文が添えられていた。「病気を“授かった“が適切かもしれない」、「ひとつひとつを真剣に必死に生き生臭くもがき、煙たがられても自身と自信を持って本心をさらけ出す 等身大を魅せられるただの人、そんな『IDOL』もいてはいいんではないか、と」……。

 また、写真集に添えられた小さな別冊には、実際のMRI画像や顔が腫れた術後まもない安田の様子が収められている。そこからは「脳の腫瘍で手術をした」という言葉以上のものがダイレクトに伝わってくる。これだけさらけ出すのは「勇気がいること」と言われるが、安田はそうは思わないと言う。

 彼が見つめているのは、伝え合い、助け合うことで強く繋がっていく“心の輪“。心の声を知り、その経験値をシェアすることで、明日を生きていく手を取り合える。誰もが踏み込むことに臆病になる時代だから、先に自らを公開することでその一歩を踏み出せるようにしてくれたのだと、この写真集を握る手に力が入る。

 彼はこれからも「無理をしない」をモットーに、芸能活動を続けていくという。ライブドキュメンタリー映像でも、苦しむ姿を隠すことはしない。「これ以上自分ができないパフォーマンスはもうしません」と自分なりのラインを見定める。それは、どこか限界を決めるように感じられるかもしれない。だが、むしろそこがはっきりとすることで、できる範囲のことをより全力で取り組めるとも言える。いつか必ず死が訪れることを悟ったときに、精一杯生きようとするのと同じように……。

 表紙を飾った写真は、撮影中のトラブルを経て、奇跡的に雪が降ってきた「ラッキーな」1枚だという。そう、私たちが生きる世界は厳しいけれど美しい。そんな広い世界を見ようとせずに、誰かが決めたラインばかり見つめて、自分の頑張り方を、生き方を見失っていないだろうか。この写真集は、安田の生と死を通じて、私たち自身が生と死に向き合うきっかけをくれる命の贈り物だ。

■書籍情報
安田章大写真集『LIFE IS』
著者:安田章大
撮影:岡田敦
出版社:マガジンハウス
定価:4,950円(税込)
出版社サイト

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