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武瑠の 化学反応文

vol.5 全裸監督

不定期連載

第6回

19/8/29(木)

ネットフリックスオリジナル。2019年8月8日より公開。

バブル景気の1980年代日本を舞台に、アダルトビデオの帝王、村西とおるの破天荒な人生を脚色して描いたドラマ。

「勇気をもらえる作品」

主観的に言えば、その一言に尽きる作品でした。

狂いに狂ったバブル期の日本が舞台な上に、アダルトビデオという今もまだグレーな匂いを醸し出す過激な題材故に、その言葉がアンバランスに感じるかもしれないですが、クリエイターにとっては正に救世主的な作品と言っても過言ではない気がします。

一部のクレーマーやスポンサー文化のせいで、自由な表現はどんどん削られていくなか、それを嘲笑うかのような強烈なメッセージにガツンとやられました。

役者さんたちの狂気とも言える圧倒的な存在感。徹底して現代のテイストを織り交ぜて再構築された美術セットやアートワーク。個々のキャラクターの演出を後押しする計算されたスタイリング。野性的な高揚や期待感を煽る音楽。イケナイモノを覗き見させてもらうようなカメラワーク。そして、心も身体も丸裸に曝け出していく、本能的なストーリー。

人物への共感性も勿論なんですが、そこにハッキリと製作者の情熱が息づいているように感じました。関わる人全てが運命共同体であって、そのチームでしか作り得なかったアイデンティティを感じる事のできる希少な作品です。きっとそういう作品って、末端まで携わる全ての人が惜しみなく情熱を注がないとなし得ないので、流れ作業のクリエイションでは絶対起きない奇跡的な化学反応なんですよね。

そういう意味では、誰も気づかないような細部まで磨くことの素晴らしさを、思い出させてもらったような感覚もあったのかもしれません。

もっと個人的な観点で言うと、海外ドラマを見た時、テンポ感や展開の多さ、次回に対して惹きつけるエンディングなど、「いやーこれは勝てっこないわ、、、」と諦めていたところに、「あれ、もしかしたらこのルートなら日本人も勝てるのか!」っていう希望を抱かせてくれた、というところが、最大の勇気をもらったポイントなのかなと。

きっと真似事じゃダメで、今の日本のダメなところ、昔の良かったところ、全てを餌にして飲み込んで、自己流のエネルギーにしている。

つまんないつまんないって言ってる奴が一番つまんないんだよなあってね。

規制も何もかも利用してカウンターカルチャーにしたい欲が、ふつふつと湧いてきました。

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