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乃木坂46、「しあわせの保護色」はグループの“今”を表した楽曲に MVや歌詞から伝わる白石麻衣への愛

リアルサウンド

20/3/16(月) 12:00

 乃木坂46 白石麻衣が最後に参加する25thシングル『しあわせの保護色』の発売が近づき、テレビでの披露も段々と増えてきている。3月16日放送の『CDTVスペシャル!卒業ソング音楽祭2020』(TBS系)に続く、4月3日『ミュージックステーション 3時間SP』(テレビ朝日系)では予告の時点で“白石麻衣 ラストステージ!”とキャッチが付けられた。『Mステ』では3月6日放送以来、2度目の披露だ。

(関連:乃木坂46 『しあわせの保護色』MV

 作曲はこれが初の楽曲提供となるMASANORI URA、編曲はAKB48「恋するフォーチュンクッキー」「心のプラカード」などを担当した武藤星児という、乃木坂46にとっては新たな顔ぶれの楽曲。「心のプラカード」に通ずる明るくスローテンポな曲調も、乃木坂46の表題曲としては例を見ない。

 これまで乃木坂46の表題曲としては、「ハルジオンが咲く頃」「サヨナラの意味」「帰り道は遠回りしたくなる」と3曲の卒業シングルがリリースされてきた。通底しているのは、別れを惜しむセンチな雰囲気。しかし、「しあわせの保護色」ではこれまでの作品とは違い、明るく「また会おうね」というポジティブな別れが描かれている。

 MVの監督は、これまで乃木坂46「制服のマネキン」「シンクロニシティ」「Sing Out!」などを手がけてきた映像ディレクターの池田一真。高校生最後の年に行われるダンスパーティー・プロムで白石を見送るとしたら、というコンセプトのもとで撮影された。振付は日向坂46「キュン」「ドレミソラシド」など、キャッチーな振付を多く生み出してきたCRE8BOYが担当。MVとライブ、テレビ番組での振付は若干変わっているが、指を輪にして幸せを“見つける”、指でつまみ幸せを“拾う”といったジェスチャーは共通しており、ライブでも真似しやすく楽しい振付となっている。

 フロントと2列目には、十一福神全員が1期生という白石を囲むフォーメーション、3列目には2期生から4期生までの精鋭が11人並ぶ盤石の態勢が取られた。選抜発表の様子が映し出された『乃木坂工事中』(テレビ東京系)では、アンダーから久々に選抜復帰となった中田花奈、樋口日奈、和田まあやが、グループを牽引してきた白石の背中の偉大さ、彼女を近くで見送れることへの感謝を口にしていたが、そんな白石への愛がMVには溢れ出ている。

 白石が1期生、2期生、3期生、4期生のもとを順に巡っていき、ラストはメンバーが白石を笑顔で送り出す形に。最後に白石の振り向く姿は、ライブでの「シンクロニシティ」、そして彼女のラストソロ曲「じゃあね。」の終わりにも共通している部分だ。裏センター(センターが抜けた際に真正面に位置する重要なポジション)に位置する大園桃子とのダンスや1期生のバンド演奏など、細かな見所は多くあるが、ハイライトは花束を渡す松村沙友理の涙が伝わり、白石が一瞬涙ぐむ場面だろう。

 ライブ初披露となった『乃木坂46 8th YEAR BIRTHDAY LIVE』(以下、バスラ)でも、涙を堪えきれなくなった松村の表情を見て、白石が感極まり、それが秋元真夏に……と徐々にメンバーへと広がっていった。今年の『バスラ』は、白石にとって最後のバスラであるのと同時に、グループを卒業していったメンバーが担っていた楽曲のポジションやパートの重みが改めて体現された4日間だった。実際、上述した3曲の卒業シングルは、メンバーにとってライブで披露するには覚悟のいる楽曲に昇華されている。西野七瀬の偉大なポジションを担った遠藤さくらが涙ながらに披露した「帰り道は遠回りしたくなる」は、乃木坂46の歴史と受け継がれていく意思を感じさせる場面だった。

 そんな背景を受けてか、白石は『乃木坂46新聞 デビュー8周年記念』でのインタビューにて、「私はこの曲で最後だけど、楽曲を『卒業楽曲』にはしてほしくない」「私の最後と結びつけるよりも、前向きになれる曲が増えたと思ってほしい」と答えている。白石の優しさが伝わるコメントであり、今後も「しあわせの保護色」は歌い継がれていく。今後、メンバーは白石の偉大さを感じながら、そのポジションを担っていくのだろう。

 先月放送された『佐久間宣行の東京ドリームエンターテインメント』(ニッポン放送)に秋元康が出演した際、坂道グループの色分けについて語った発言が話題となった。欅坂46「サイレントマジョリティー」は、秋元がオーディション時にメンバーたちから感じた「大人たちに支配されない」というイメージがもとになってできた楽曲であり、プロデュースは0から1を生み出すのではなく、本人たちにある0.1から1にする、というエピソードだ。

 「しあわせの保護色」を初めて聴いた時、まさにこの曲は今の乃木坂46を表した楽曲だと感じた。

〈しあわせはいつだって 近くにあるんだ〉
〈保護色のようなもの 気づいてないだけ〉

 普遍的なメッセージを歌いながら、白石麻衣という当たり前にある存在、そして親友、家族……というありふれた関係を超えた乃木坂46に満ち溢れたメンバー愛を、やっと見つけた“しあわせ”と、「しあわせの保護色」は伝えている。(渡辺彰浩)
※記事初出時、一部表記に誤りがございました。訂正の上お詫びいたします。

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