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木村多江、“幸薄女”から一歩先へ 『後妻業』木村佳乃相手に見せた漫才のようなツッコミ

リアルサウンド

19/2/6(水) 6:00

 “後妻業”(=資産家の老人を狙う遺産相続目当ての結婚詐欺)をなりわいとする悪女・武内小夜子(木村佳乃)が主人公のドラマ『後妻業』(カンテレ・フジテレビ系)。

 第3話では、耕造(泉谷しげる)の葬儀が終わり、小夜子とパートナーの柏木(高橋克典)は次なるターゲットに目を付ける。それは大手外食チェーンの会長・富樫幹夫(佐藤蛾次郎)。しかし認知症を患っている富樫に小夜子は苦戦する。その一方で、耕造の娘・朋美(木村多江)は探偵の本多(伊原剛志)に依頼し、小夜子の素性について調べ始める。彼らは小夜子の3番目の夫が不可解な死を遂げていることを突き止める。

 第3話は、表情豊かな木村多江に注目したい。本多に小夜子の素性を調べあげてもらった朋美は、自ら小夜子と対峙することを望む。小夜子の住むマンションへと足を運んだ朋美は、耕造の死の真相を知るべく「あなた、後妻業よね」と直球に投げかける。

 木村は「薄幸美人女優」と評されることも多かった。しかしドラマ『あなたには帰る家がある』(TBS系)でユースケ・サンタマリア演じる太郎の妻・綾子を演じ、魔性の女として視聴者の心に強い印象を残した。「薄幸美人女優」から一歩先へ進んだ木村は、今作では勝ち気で知的なキャリアウーマンを演じている。伏し目がちなシーンもあるが、野心が強い朋美の性格が伝わるような凛とした姿勢を貫いている。

 今作の木村はとにかく表情豊かだ。耕造の死に疑念を抱く表情からは、父の死を悲しむ様子だけでなく、小夜子に対する憤りが伝わってくる。朋美の言うことを軽くあしらう小夜子に対して苛立つ表情はコミカルだ。朋美に追求されているにも関わらずおちゃらける小夜子に対し、「ターメッ!タメやから!!」と思わずツッコミを入れてしまうシーンは、まるで漫才のようだった。しかし小夜子に耕造の死の真相について語られたときには、顔をこわばらせ、戸惑いを見せる。木村が朋美の感情を豊かに表現することで、物語に緩急がつく。

 視聴者の間では、後妻業仲間の瀬川頼子(とよた真帆)にも注目が集まっていたようだ。コテコテの「関西オバチャン服」と派手なメイクで登場したとよた。喫茶店で注文したコーラに自前の酒を加え、真っ昼間から酔っぱらっているという姿はインパクトがあった。後妻業にはいつも失敗しており、柏木からあきれられている瀬川。小夜子の素性を知ろうとする本多と朋美に「ブライダル 微祥」について問いただされたとき、はじめこそ白を切ったが、本多に金を渡されると簡単にバラしてしまう。小夜子と柏木の企みは、身内によって崩壊させられるのかもしれない。

 第3話では、小夜子が得た遺産の総額や「後妻業の必須3条件」がテロップで表記される独特な演出が目を引く。後妻業という悪業を具体的に知らしめるには効果的な演出だったのではないだろうか。また小夜子が夫たちの死に対して一筋の涙を流した直後に、小夜子の元夫の義娘・香代(平岩紙)が声を荒げるシーンが挿入されることで、何が真実なのかますます分からなくなる演出も印象的だ。小夜子の謎は深まるばかりである。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
『後妻業』
カンテレ・フジテレビ系にて、1月22日(火)スタート 毎週火曜21:00〜21:54放送
出演:木村佳乃、高橋克典、木村多江、伊原剛志、葉山奨之、長谷川朝晴、篠田麻里子、平山祐介、田中道子、河本準一、濱田マリ、とよた真帆、泉谷しげる
原作:『後妻業』 黒川博行(文春文庫刊) 
脚本:関えり香
演出:光野道夫(共テレ)、都築淳一(共テレ)、木村弥寿彦(カンテレ)
音楽:眞鍋昭大
企画・プロデュース:栗原美和子(共テレ)
プロデュース:杉浦史明(カンテレ)、萩原崇(カンテレ)、水野綾子(共テレ)
制作:カンテレ、共テレ
(c)関西テレビ
公式サイト:https://www.ktv.jp/gosaigyo/index.html

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