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小島聖「答えのない日々に風が吹いたら」 KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ラビット・ホール』に向けたコメント到着、ビジュアルも

ぴあ

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ラビット・ホール』

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KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ラビット・ホール』が2022年2月18日(金)より、KAAT神奈川芸術劇場(大スタジオ)で上演となる。

2021年4月1日より、KAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督に就任した長塚圭史により導入されたシーズン制。2021年8月~2022年3月までの1年目は「冒」というテーマに沿った企画がプログラムされ“飛び出す、はみ出す、突き進む”と様々な作品が劇場を彩ってきた。

シーズンの最後を飾る『ラビット・ホール』は、2007年にアメリカのピューリッツァー賞戯曲部門を受賞したデヴィッド・リンゼイ=アベアーによる戯曲。2010年にはニコール・キッドマン自らのプロデュース・主演により映画化もされ、数々の賞に輝いた。長塚芸術監督も「いかにして死の悲しみ、そして生の喜びと向き合いながら生きていくか」を描いた作品として期待を寄せている。

物語は、かけがえのない息子を事故で亡くし、深い苦しみと悲しみの中にある夫婦が主人公。同じ痛みを抱えながらも関係がギクシャクするふたりと、彼らを取り巻く人々が微妙に変化していく日常をきめ細やかに描く。

演出を手掛けるのは、2017年『チック』(翻訳・演出)で「第10回小田島雄志・翻訳戯曲賞」と「第25回読売演劇大賞優秀演出家賞」を受賞し注目を集め、その後も数々の話題作を世に送り出している小山ゆうな。繊細な本作をどのように演出するのか注目だ。

また今回は、テレビドラマなどの脚本を手掛ける脚本家に上演台本を依頼し、翻訳劇を現代の日本人に響く活きた言葉に磨き上げようと、ドラマ『クロサギ』や『紙の月』、連続テレビ小説『まれ』など映像作品の脚本家として活躍する篠﨑絵里子が上演台本を手掛ける。長塚芸術監督は「セリフのプロフェッショナルが台本の構築に加わることによって、より身近な言葉になるのでは」と期待を寄せる。

出演には、魅力あふれる実力派キャストが集結。事故で失った息子の面影に心乱され苦悩するベッカ役を、映画・ドラマ・舞台と幅広い活躍で存在感を示している小島聖、ベッカの夫・ハウイー役を、声楽家としてオペラデビュー後、俳優としてミュージカル・演劇と数々の舞台で活躍を見せる田代万里生が演じる。

さらにベッカの妹イジー役には映画・舞台などでその個性が光る占部房子、ふたりの母ナット役には、確かな演技力で実力派女優として舞台・ドラマ・映画で活躍し続ける木野花、夫妻の息子を車で轢いたジェイソン役にはドラマ・CMで注目を集める新原泰佑といった俳優陣が名を連ねた。

人は受け止めがたい現実とどう向き合って生きていくのか。この普遍的なテーマを描いた本作に期待したい。

<篠﨑絵理子(上演台本)・コメント>
十代の頃、失うのが怖いから人を本気で好きになるのはやめておこうと真剣に思っていました。貧しい考え方だと憐れみの目で見られたとしても、断固として嫌でした。
けれど人生は否応なしに、大切な存在を連れてきます。
気づけばかけがえのない人たちに囲まれて暮らしていたわたしはもう、ふとした弾みに思い出す『失う恐怖』に蓋をしてやり過ごすしかなく――、そして、この戯曲に出会いました。
幼い息子を失った絶望のなかで、これからをどう生きていくのか、生きていけるのか、その答えを探してもがく夫婦の物語。心とは裏腹に傷つけ合い、責め合い、差し出された手に触れることもできず、暗闇にただ立ち尽くす。
その果てに彼らが得た再生へのかすかな光が、誰かを愛して生きずにはいられないわたしたちのささやかな救いにもなることを、祈らずにはいられません。

<小山ゆうな(演出)・コメント>
私が『ラビット・ホール』を知ったのは2010年、映画版でした。人間の悔い、その悔いにどう人は向き合っていくのかという問いが、美しい言葉と深い人物像で描かれていて、私自身自らの人生においても時折触れたくなる作品で何回も見返しており、長塚さんから本作での演出というお話を頂いた際、驚きと喜びと共に、身の引き締まる思いがいたしました。
この素晴らしい戯曲に、演劇的に自由で新しい事/垣根を超える事を恐れず果敢にチャレンジされるKAAT、そして長塚芸術監督の新シーズンの作品として、【冒】険を恐れず取り組めればと思っております。
今回は、映像界で大活躍される篠﨑さんが上演台本を作成してくださいます。いきた日本語を生み出される篠﨑さんの手により、どのような日本語版が生まれるのか楽しみです。また、キャスト・スタッフともに新鮮なチームとなっており、皆でこの作品を透明度高くお客様にお届けできるよう模索できればと思っております。

<小島聖・コメント>
最近思い立って開かずの段ボールを開けた。体に沁みている記憶もなんとなく形(物)を残しておかないと消えてしまうのではないかといろんなカケラを残していた。もちろん開けたことで蘇った記憶もあるし見なくとも刻まれている記憶もある。けれど考えてみればこの段ボールを開けることはほとんどない。ならば物としてはいらないと思い切って処分した。
そうしたら風が吹いた。大切だと思っていた物は小さくなったけれど、私にとっての大切さは変わらない、それでいい。ベッカもそうなのではないか、とふと思う。ベッカとハウイーはお互いに大切な宝を失った悲しみの受け止め方が夫婦とはいえ違い、傷つけ傷つく。8カ月では到底整理なんてできないけれど、答えのない日々に小さなあったかい風が吹いたらいいなと今は思っています。

<田代万里生・コメント>
これまでミュージカルで非日常を演じることが多かったのですが、今回初めて、家族のごくごく日常的な生活を描いた作品に出演させて頂くことになりました。描かれるのはどこにでもいるような普通の家族の日常ではあるものの、真実は小説より奇なり。『不思議の国のアリス』でお馴染みのラビット・ホールというタイトル通り、日常のすぐそばには、簡単には抜け出せない非日常なパラレルワールドが潜んでいます。
初共演となる小島聖さんと共に演じるのは、8ヶ月前にわずか4歳の息子を交通事故で失ったばかりの夫婦。癒えることのない哀しみと人はどう共存して生きていくのか、僕自身の「明日」も、この作品で少し変わっていくような気がしています。

■公演情報
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ラビット・ホール』
2022年2月18日(金)~3月6日(日) 上演

会場:KAAT神奈川芸術劇場(大スタジオ)
チケット料金(全席指定・税込):
一般6,800円 / 一般・平日夜割6,000円
U24(24歳以下)3,400円 / U24・平日夜割3,000円
高校生以下割引1,000円
シルバー(満65歳以上)6,300円 / シルバー・平日夜割5,500円

※U24、高校生以下、シルバー割引はチケットかながわの電話・窓口・WEB にて12月18日より

取り扱い(前売のみ、枚数限定、要証明書)
※車椅子でご来場の方は事前にチケットかながわにお問合せください。
※未就学児の入場はご遠慮ください。
※営利目的の転売禁止

チケット一般発売:12月18日(土)
【チケットぴあ】https://pia.jp/t/kaat/ 0570-02-9999(Pコード:508-980) KAme(かながわメンバーズ)先行:12月4日(土)

<兵庫公演>
2022年3月12日(土)15時開演、3月13日(日)13時開演
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

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