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【re:START】キーパーソンInterview

柳井貢(株式会社ヒップランドミュージックコーポレーション執行役員/「#オンラインライブハウス_仮」発起人)【後編】

特別連載

3-3

20/6/4(木)

※この取材は、5/14にオンラインで行いました。

[re:START]キーパーソンインタビュー。株式会社ヒップランドミュージックコーポレーション執行役員であり、「#オンラインライブハウス_仮」発起人の柳井貢氏の最終回は、「#オンラインライブハウス_仮」が提示した考え方、ポストコロナ時代の新たなライブエンタテインメントの可能性について聞きます。

── 運営面の課題はどういった部分でしょうか?

柳井 一番は、オンラインに入れないっていうお客さんに、どうやってきちんと案内するかっていう部分だと思うのですが、現場で一緒に動いてくれている幸山と佐々木に意見を聞いてみたいと思います。ちなみに、今はまだ僕を含めてこの3人ですべてを回しています(笑)。実際にやってみて、ここは改善しなければ、という点に関してはどう?

幸山 プレイガイドでチケットを申し込んで、当選して購入した先に、Zoomウェビナーに登録してもらわないといけないんですね。そこへの誘導についてはまだまだ課題があると感じています。チケット購入画面からZoomウェビナーへの登録画面へ遷移するプレイガイド側のシステム開発がまだ進んでいなくて。現状は注意書きで対応している、という感じですね。なので、開場直後にインフォのメールで「入れない」っていう問い合わせがお客さんから来てはじめて発覚して、そこから個別対応っていうところになるので、ちょっとそこはなんとかしないといけないなと感じています。

佐々木 そうですね。当然まだ始まったばかりで手探りの部分が多いんですけど、そこは新しいことにチャレンジしているんだという希望を込めて取り組んでいきたいなと思っています。

柳井 ということで、自分たちでシステムを開発しているわけではないので、Zoomウェビナーを使っていかにサービスを提供するのかというのを、僕たちも勉強をしながら動いているという状況ですね。

── ちなみに、Zoomウェビナー機能を使用しているのはなぜですか?

柳井 絶対それがいい、ということではないのですが、現状で言うと、僕らがやろうとしていることを機能として実装していて、使い勝手の良いインフラがZoomウェビナーだったということですね。つまり、人数を制限して、その中で相互通信をやろうと思えばできて、送信元が多元でできる、というあたりです。もちろん音のクオリティーを上げられるに越したことはないし、変な話、日本のどこかの会社がZoomウェビナーよりもっと使い勝手が良いものを提供してくれれば、すぐに乗り換えると思います。ただし、現状で開発が進んでいるものを見ていても、僕らの考えとは違う方向で進化しているな、という印象を持ちます。プラットフォームの進化から見れば、煩わしいと切り捨てられるようなものが、じつはライブの演出に含まれる大切な要素になってくるというところがあるんですよね。だって、わざわざプレイガイドさんでチケットを買って、それぞれ違うライブハウスのオペレーションを取り入れてっていうことですから、僕らは(笑)。で、再三申し上げているとおり、「#オンラインライブハウス_仮」の肝になっているのが、「キャパ設定」なんですけど、もうひとつ、「地域性」というのを出したいんですよ。ある程度動員力のあるアーティストであれば、各地のライブハウスとやることによって、100キャパを一週間7公演作ることもできる。そこで、札幌のお店です、仙台のお店ですっていう設定理由が作れると、お客さんも納得してくれると思うんです。つまり、札幌のライブハウスでは北海道の人が優先されるし、仙台のライブハウスでは東北の人が優先されますよ、と。そうした理由と役割があることによって、自然と受け入れられると思うんです。でもこれが、アーティストの所属事務所とサービスだけでやっているワンストップモデルだと、成立しないんですよ。単純に、1万人が見たいって言ってるんだったら無制限で見せろよっていうことになってしまう。だから、配信プラットフォームの新しいものは欲しいんですけど、あくまでもそれは視聴環境だけの話であって、より便利なサービス自体を求めているわけではないんですよね。

── ライブエンタテインメントの本格的な再開までには、まだかなりの時間が必要な気配ですよね。そんな中で、この「#オンラインライブハウス_仮」というものがどうなればスタンダードになっていく、というふうにお考えでしょうか?

柳井 僕が提案しているのって技術ではなくて、考え方なんですよね。現在の状況において、そしてこの状況が明けた先の世界で、オンラインでの選択肢を増やすっていう取り組みが「#オンラインライブハウス_仮」なんだと思っています。そこに、想像力を豊かにして、どれだけエンタテインメントを届けることができるか、ということにチャレンジ精神を持ってトライしてくれる人がたくさん出てくれば、もしかしたらひとつのフォーマットになり得るかも、とは思っています。エンタテインメントを楽しむための選択肢を作る、という意味においてのスタンダードにはなりたい、なれるのではないか、と。

── 新型コロナ収束後もリアルと並行してこのサービスは残していくイメージですか?

柳井 そうなればいいなと思っています。例えば、ラジオの公開収録で弾き語りで何曲か披露する、といった場合に、「#オンラインライブハウス_仮」の形でやるのもいいと思いますし。全国ツアーの前にリハーサル風景をオンラインで見せるとか、ソロアーティストの場合だったら、実際のツアーはバンドで回るけどオンラインでは弾き語りで回る、とか、発想さえあればリアルなものと並行して面白い使い方ができると思うので、使いたい人はどんどん使ってください、と思っています。正直、これで一儲けしようとは思っていなくて。せっかく考えたものだし、みんなで頑張ってやっているので褒めてほしいとは思ってますけど(笑)。なので、誰かの役にたつ考え方として育ってくれて、それが別のものになっても全然いいなと思ってます。

取材・文=谷岡正浩 撮影=渡邉一生(アーティスト) 写真提供=FM802(アーティスト)

今後の公演情報はonlinelivehouse.jpで順次、発表されます。

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