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OKAMOTO’S オカモトショウのマンガビレッジ

大人が読むと勉強になるし、子供が読んでも楽しい! 社会情勢を反映したマンガ『紛争でしたら八田まで』

隔週連載

第51回

21/1/5(火)

『モーニング』で連載中の『紛争でしたら八田まで』(田素弘)は、世界各国の紛争地域を訪れ、さまざまな争いごとや事件を解決する“地政学リスクコンサルタント”八田百合の活躍を描く物語。リアルな社会情勢を反映したこのマンガの魅力をオカモトショウが紹介します!

── 今回ショウさんに選んでもらったのは、2019年11月に連載がスタートした『紛争でしたら八田まで』。

オカモトショウ(以下、ショウ) 主人公の“八田さん”はコンサルタント会社の人で、世界中の紛争地帯に派遣されてもめごとを解決するというストーリーですね。八田さんのキャラはちょっとファンタジーというか、全然リアルじゃないんですが(笑)、描かれている内容はすごく現実に添っている。紛争や内戦、戦争っぽいムードって、日本で暮らしていると体験しないじゃないですか。このマンガは実際に起きていることを題材にしているので、ニュースでちょっとだけ知ってたことが「あれって、こんなに激しい争いだったんだな」とわかるところもあるんです。

── 冒頭からブレグジット(イギリスのEU離脱)の話とか、イギリスとアイルランドの確執が描かれてますからね。予備知識ナシでも楽しめるのがすごいなと。

ショウ 難しいところはしっかり難しいんですよ。マンガの中に出てくる地名や人の名前は実際に存在するものばかりだし、「この国は〇年に独立して、その後、内線になりかけて、それを止めたのが〇〇という人で、〇年に暗殺されて」みたいな説明もあるんだけど、ちゃんと読めばわかるし、難易度としては『ONE PIECE』とほぼ一緒くらいだと思います(笑)。扱ってるテーマはシリアスなんだけど、ぜんぜん暗くなくて、めちゃくちゃポップに描いているから読みやすい。八田さんが赴任先で現地の美味しいものを食べたりするのもおもしろくて。その描き方も中途半端じゃないですよね。実際に住んでいないと知らないようなお菓子が紹介されていたり。

──言語、文化、習慣に対するリスペクトをすごく感じますよね。

ショウ そうですね。八田さんはその地域の言葉をマスターして、いつも現地の言葉で話すスーパーウーマンなので。いろんな国の文化を知れるのも楽しいし……そういえば俺の同級生で、世界中を旅してるヤツがいて。最初はインドだったんですけど、ヘナタトゥーに興味を持って、ガンジス川のほとりでいろんな人に描いてあげるようになったそうなんです。そしたら「ヘナタトゥーがめちゃ上手い日本人がいる」って現地の新聞に取り上げられたみたいで(笑)。彼も旅しているうちに5カ国語くらい話せるようになったみたいです。

── すごい。このマンガに出てくるような人ですね……。

ショウ (笑)。話を戻すと、『紛争でしたら八田まで』の3巻には日本でのエピソードもあるんですよ。八田さんの妹の友達がヤンキーで、弱小のレディースに入ってるんですけど、70人くらいのレディースと揉めていて。たまたま日本に戻ってた八田さんが、紛争地域で経験したことを活かして、それを解決する。その後はインドにいって、カースト制度の絡むような事件に挑むんですけどね。

── 日本のエピソードを挟むことで、世界で起きていることを身近に感じてもらおうとしたのかも。

ショウ そうかもしれないですね。絵のタッチもキャラクターのセリフ回しも明るいマンガだから、そのテイストを押し出したんじゃないかな。シリアスなところとポップな感じを行き来する軽やかさもいいですよね。こういうマンガって、意外となかった気がします。

── 作者の田素伝さんは1976年生まれ。30代後半で脱サラし、『紛争でしたら八田まで』が初連載になります。

ショウ 話の組み立て方がすごく上手いし、力のある漫画家だなと。40才過ぎてからのデビューもすごいし、新人の感じがないです。絵も魅力的ですよね。独特なんだけど、オリジナル過ぎず、なじみやすくて。八田さんのキャラもいいんですよ。どの地域にいっても、すぐ“ビッチ”って言われちゃうんだけど(笑)。

── (笑)。ちなみにショウさんのなかには「マンガを通して、世界情勢を知ってほしい」という問題意識もあるんでしょうか?

ショウ いや、そこまで声高々と言うつもりはなくて。ただ、無知の罪ってあると思うし、目を逸らしちゃいけないなという気持ちはありますね。このマンガを読んでても「そんなことが起きてるんだ?」って気づくこともけっこうあるし、知ることは大事だと思うんです。『紛争でしたら八田まで』は大人が読むと勉強になるし、子供が読んでも楽しいと思うので、ぜひ手に取ってみてほしいです。

── 最後にOKAMOTO'Sの近況について聞かせてください。まずは2021年2月から3月にかけて、東京、神戸、名古屋でホールツアー『90'S TOKYO BOYS IN HALL 〜爆笑ストイックライヴ〜』の開催が決定。

ショウ 爆笑なのかストイックなのかわかんないですよね(笑)。イクところまでイッてる感じもしますけど(笑)、これまでのホール公演は全部ソールドアウトしてるので、早目にチケットを取ってもらえたら嬉しいです。OKAMOTO’Sは今年、曲もどんどんリリースする予定です。ドラマのオープニングテーマ(テレビ東京ドラマ25『直ちゃんは小学三年生』OPテーマ「Young Japanese」)も決まってるし、制作も続いているのでぜひチェックしてください。

── ショウさんのソロ活動も楽しみです。

ショウ ありがとうございます。1月の初めにAAAMYYYちゃんと一緒にやった新曲もリリースして。ソロ曲もたまってきたので、夏くらいにはアルバムにしたいと思ってます!

(取材・構成=森朋之)

プロフィール

オカモトショウ(OKAMOTO’S)

1990年生まれ、ニューヨーク出身。 OKAMOTO'Sのボーカル担当。
2010年3月、「S×SW2010」に日本人男性としては最年少での出演を果たす。そのまま全米6都市を廻るツアーをおこない、5月に1st.アルバム『10'S』でデビュー。
その後もオーストラリアツアーや夏フェスなどに出演。11月には2nd.アルバム『オカモトズに夢中』、翌年9月には3rd.アルバム『欲望』と、ライブを続けながらもアルバムを立て続けにリリースする。
2017年、7thアルバム『NO MORE MUSIC』を発売し、中野サンプラザにてキャリア初のホールワンマンを成功。2019年、8thアルバム『BOY』を発表し、7月には日本武道館でのワンマンライブを成功させる。その他、2018年よりNHK教育テレビ「ムジカ・ピッコリーノ」のベルカント号・船長、ジュリオとして出演中。

Label : Sony Music Labels
HP : http://www.okamotos.net/


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