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サザンオールスターズの“独自性” MTV『オトナの青春名曲BAR 特別編』著名人プレイリストを考察

リアルサウンド

18/8/24(金) 18:00

 この夏、MTVで『オトナの青春名曲BAR 特別編:サザンオールスターズ 40th Anniversary Special』という特別番組が放映されている。今年デビュー40周年を迎えたサザンオールスターズは、精力的に活動し、プレミアムアルバム『海のOh, Yeah!!』が大ヒット中だ。番組内では、著名人たちがそれぞれのテーマを設けて、長きにわたり第一線で活躍するサザンオールスターズのプレイリストを選曲しているのが興味深い。

 まず、レイザーラモンRGは「洋楽として聴いていたサザン」がテーマというだけに、サザンの日本人離れした感性が表れた楽曲が中心だ。「フリフリ ’65」や「ミス・ブランニュー・デイ (MISS BRAND-NEW DAY)」などは、たしかに桑田佳祐特有の日本語と英語のチャンポンでまくしたてるような歌詞が特徴だし、沖縄とニューオーリンズが合体したかのような「神の島遥か国」、ラテンロックを取り入れた「思い過ごしも恋のうち」などは絶妙なセレクトといえる。もちろん、これらの楽曲は洋楽をただ真似ただけでなく、サザン流に咀嚼しているのが特徴。洋楽っぽいのに、和風のワビサビが効いているのもポイントだ。

 続く、『ROCKIN’ON JAPAN』編集長の小栁大輔氏によるプレイリストは、「「切なさ」の意味を教えてくれた名曲」。このテーマ通りに、「いとしのエリー」、「夏をあきらめて」、「真夏の果実」といった切ないメロディの名曲群が並んでいる。おそらく、多くの人が「サザンの名曲は?」と聞かれて答えるのが、こういったタイプではないだろうか。アップテンポの楽曲も選曲されているが、メインはやはりミディアムからスローなバラード。言い換えると、桑田のメロディメイカーとしての資質を感じさせるリストといっていいだろう。

 そして、「おとといフライデー」というセクシーボーカルユニットを組む小島みなみと紗倉まなによるセレクトは、「大人の世界を感じた曲、サザンを知るきっかけとなった曲」となっている。小島が選ぶのは、「LOVE AFFAIR ~秘密のデート~」、「涙のキッス」、「栞(しおり)のテーマ」といった女性の感性ならではのロマンチックなナンバーが中心。一方の紗倉は、「マンピーのG★SPOT」、「マイ フェラ レディ」、「エロティカ・セブン(EROTICA SEVEN)」と、ずばりサザンのエロな一面をえぐり取った選曲なのが面白い。これを見ると、桑田のロマンティストぶりとエロティックな感性と、それぞれ相反するように思えるが、よく聴くと実は根っこの部分ではどちらもつながっているということに気付かされたりもする。

 最後のMTVセレクションは、「このセットリストのライブが見たい!」というもの。「シュラバ★ラ★バンバ SHULABA-LA-BAMBA」、「匂艶(にじいろ) THE NIGHT CLUB」、そしてデビュー曲の「勝手にシンドバッド」と、たしかにライブで盛り上がり必至のアッパーなナンバーがメイン。しばらくライブでは封印しているという「TSUNAMI」をサラリと忍び込ませているのも憎い。来春には全国ドーム&アリーナツアーも予定されていることもあり、リストを見ているだけでもワクワクさせられる。

 こうやってそれぞれのプレイリストを眺めてみると、サザンオールスターズという国民的バンドが、デビューして40年の間に、いかに様々なスタイルの音楽を作り上げてきたのかがよくわかる。アップ、ミディアム、バラードとどんなタイプにおいても誰もが知る有名曲があるし、ロック、ジャズ、ブルース、ラテン、昭和歌謡とあらゆるジャンルを大量に呑み込んでは吐き出してきた。そしてそのどれもが、しっかりとサザンの楽曲として確立されているのだ。そして、おふざけもシリアスも、エロも社会派もラブソングも、どの楽曲もしっかりと聴く人の心に真っ直ぐ突き刺さるメッセージを持っている。だから、どのような切り口でもこういったプレイリストを作ることができるのだろう。

 きっと、これらのプレイリストを見比べているうちに、「自分ならこのテーマで、この曲を選ぶ」なんて思う方も多いのではないだろうか。プレミアムアルバム『海のOh, Yeah!!』もリリースされたことだし、20年前のベストアルバム『海のYeah!!』や15枚のオリジナルアルバムと合わせて聴き直せば、サザンの名曲はほぼ網羅できるはず。ぜひ、あなただけのプレイリストを作ってみてはいかがだろうか。(栗本 斉)

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