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元KARA ク・ハラ追悼 グループ加入からソロ活動までーー今贈りたい“ありがとう”の思い

リアルサウンド

19/11/26(火) 18:00

 日韓で圧倒的な人気を誇ったガールズグループ・KARA(カラ)の元メンバーのク・ハラが2019年11月24日、自宅で死亡しているのが見つかった。元恋人とのトラブルで世間を騒がせたものの、心機一転、今年6月に活動の拠点を日本に移して再スタート。HARA名義で復帰第1弾シングル『Midnight Queen』をリリースし、Zeppツアーも成功裏に終えるなど順調に仕事が進む中で、突然このような悲しいニュースを聞くことになるとは誰もが予想しなかっただろう。

(関連:元KARA ク・ハラ、『テレ東音楽祭2019』で活動再開へ ボーカリストとしての実力を考察

 親友のタレントで元f(x)のソルリが今年10月に亡くなったときも、ハラは気丈だった。Instagramのライブ放送を通じて「あなたのぶんまでがんばって生きるから。がんばるからね」と前向きに語り、ファンや関係者をひと安心させたのは、つい先日のことだ。いろいろな出来事を乗り越えてきた彼女だからこそ、「ひと回り大きくなるはず」と期待を寄せていた人も多かったに違いない。

 それだけに「亡くなった」という報道は相当ショックだった。何が彼女を苦しめたのだろうか。常にパーフェクトであることを要求される芸能界、プライベートの問題、将来への不安など、いろいろな理由が推測されるが、真実は誰もわからない。しかし仮に真実を知ったところでどうなるものでもない。とにかく今はファンの代表として、ク・ハラというひとりのアーティストの魅力を語ることで追悼の意を表したいと思う。

 ハラが芸能界入りしたのは2008年春。KARAの新メンバーとして颯爽と登場した彼女は、持ち前の明るさとキュートな容姿で瞬く間に人気者となる。このグループはデビューからしばらくの間は低迷していたが、上昇気流に乗るきっかけを作ったのがハラの加入であった。

 ビジュアル力の高いメンバーが揃ったKARAの中でも彼女はとびぬけて美しかった。ボーカリストとしてフロントに立つことは多くなかったが、ダンスでは常にキレの良さをアピール。その細い身体でどれだけのエネルギーがあるのかと驚くほど、ステージで熱いパフォーマンスを繰り広げる。今で言うガールクラッシュ的な魅力も持っていたのだろう、当時を振り返ってみると同性の人気が特に高かったような印象がある。

 可愛らしいトークも多くのファンを引き付けた。KARAの人気がピークを迎えた2013年、メンバーのTwitterで最も多いフォロワー数を誇ったのはハラ(以下、2位=ニコル、3位=ギュリ、4位=ジヨン、5位=スンヨン)。他のメンバーがお気に入りのアイテムやファッションをつぶやく中、ハラはいつでもマイペース。深夜に眠れなくなって「ドキドキ» きなこ » こいびと » とうとう » うなぎ » きむ むし» しあわせ » せいこう»うみ » みみわ »わたし」と少し強引なひとりしりとりを書き込むなど、独特のノリが好評だった。

 先ほど“ボーカリストとしてフロントに立つことは多くなかった”と書いたが、だからといって音楽そのものに興味がなかったわけではない。KARA在籍時のハラに「最近お気に入りのアーティストは誰か」と質問したとき、彼女は即座にイギリス出身の女性シンガーソングライター・FKAツイッグスの名を挙げた。トリップホップやエレクトロニカ、チルアウトなどのエッセンスを加えた新しい形のR&Bで注目を集め、『FUJI ROCK FESTIVAL ’15』ホワイトステージのヘッドライナーになるほど人気があるものの、日頃から音楽を聴いていないとこのアーティストにはたどり着けないだろう。

 2012年にリリースしたソロ曲「Secret Love」は、これまでに紹介した彼女の魅力を凝縮したような仕上がりとなっている。恋のトキメキをつづった歌詞は彼女のイメージそのもの。“もっと近づいて話しかけようか/それともやめようか/もしかしてバレていたらどうしよう”と爽やかに歌う姿はキュートであり、繊細な表現もしっかりできているのでクオリティも高い。

 「Secret Love」は“ピュアなク・ハラ”を演出した作品であったが、2015年にリリースしたソロ名義のミニアルバム『Alohara(Can You Feel It?)』では、大人の色香が漂うサウンドメイクでガールクラッシュな路線にシフト。翌年に発表された、MBLAQ(エムブラック)の元メンバー・チョンドゥンの「Sign」でもセクシーな歌声を響かせている。音楽的な面ではこの時期がピークだったと言えそうだ。

 芸能界入りした2008年から亡くなるまでの約11年6カ月、ハラにとっていちばん幸せだった時期はいつだったのだろうか。かつて彼女にインタビューしたとき、楽しかった仕事としてドラマ『URAKARA』(2011年1月~4月、テレビ東京系列局で放送)を挙げていた。「できることなら、あのドラマのパート2をやりたい」と恥ずかしそうに語る姿が記憶に残っている。

 KARAが歌う『URAKARA』の主題歌はあらためて聴いてみると、亡くなった彼女へのメッセージのようだ。〈心をこめて 今、贈りたい「ありがとう」〉――。この歌詞の一節を天国にいるク・ハラに捧げようと思う。(まつもとたくお)

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