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峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら

心霊写真その①・霧島で写り込んでしまったオッサン

毎週連載

第100回

僕はこれまでにはっきり写っている心霊写真を2枚見せてもらったことがある。その1枚は、昔付き合っていた彼女の写真。

彼女と付き合っていた頃、ちょうど彼女が出張で九州に行っていて、1日オフの日ができたみたいで、鹿児島の霧島っていうとこに仕事仲間と遊びに行ったんだって。霧島っていうのは、坂本龍馬とおりょうって奥さんが、まだ「新婚旅行」っていう概念がなかった時代に初めて新婚旅行的なことを行ったことで知られる場所で。彼女が行ったのは平日だったから、意外と観光客も少なくて閑散としていて「混んでなくて良かったね」なんて同僚と喋っていたらしい。

よく観光地にさ、写真撮影用のボードみたいなやつがあるじゃん。霧島は新婚旅行・発祥の地だからさ、やっぱり坂本龍馬とおりょうの絵が描かれたボードがあって。そこに彼女と同僚は顔を入れて写真を撮ったみたいで。

その日の晩、彼女からそのボードに顔を入れた写メが僕の携帯に送られてきてさ。「霧島行ってきたよー」なんて書いてあるから「おー、すげー! 仕事がんばってね」なんて返したんだけど、次の日にまた彼女からメールが来て。「ねぇ。昨日送った写真なんだけど、あれちゃんと見た? ヤバいんだよ、あの写真」って言うわけ。「は?」と思って、改めて見返してみたの。ボードに顔を入れて写っている2人はメチャクチャ笑顔なんだけど、そのボードの後ろのほうにさ、上半身だけのシャツを着たオッサンが、立っているわけ。

どんなオッサンかと言うとさ、なんかちょっと昭和っぽい雰囲気で、普通に水色っぽいシャツを着てた。笑っているわけでもなければ、怒っているわけでもない表情で、感情が掴めない顔。ただ、不思議だったのはさ、心霊写真で写り込んじゃう霊って、斜になってるっていうか、角度がついてる感じがするでしょ。うつむき加減だったり、真正面を見ている感じじゃないというか。でも、そのオッサンはしっかり真っ直ぐで真正面なわけ(笑)。

だから、僕はこの写真が心霊写真なのかどうか、まだよくわからなかったの。「このオッサンが何なの? 後ろを歩いていた人が写り込んじゃったってことでしょ」って彼女に返したんだけど、彼女はさ「いやいや。この真後ろは、崖で人が歩けない場所だから」って言うわけ。だから、この写り込んじゃったオッサンはやっぱり霊だったっていう。それを聞けば聞くほど、マジでヤバく感じたよ、この写真。

その後、彼女と仕事仲間の間でも、この心霊写真が話題になったらしいんだけど、仕事仲間の一人に、たまたま霊感が強い人がいたんだって。その人にも見せたらしけど、「この霊は大丈夫。あなたたちが楽しそうにしていたから、つい写り込んじゃっただけで、何か変なことをしようという霊じゃないと思う」って言われてホッとしたみたい。

前回まで僕が喋った「電気と念」の話もさ、理屈上では一理あるだろうと思っているし、世の中の大半の心霊スポットって、ああいう人間からの「念」がたまっているケースが多いんじゃないかと僕は思っている。ただ、こういうさ、写真とかに写り込んじゃう霊についてはさ、やっぱり僕の屁理屈では説明がつかないんだよね。だから、「電気と念が大半だ」っつっても、霊自体が全く存在しないということを言っているわけではないんだ。

10月24日、「RECORD STORE DAY JAPAN 2020」に合わせて、銀杏BOYZのファーストアルバム2枚のアナログレコードを再々発します。オリジナル盤(写真のもの)、セカンドプレス盤に比べてジャケットのデザインが少しだけ変わります。

構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

峯田 和伸

1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。


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