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『BG』は進化する木村拓哉を捉える 斎藤工とバディ結成でテレ朝得意の長期シリーズに?

リアルサウンド

20/7/9(木) 8:00

 『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)は、進化する俳優・木村拓哉の現在を捉えた作品だ。各年代で大ヒットドラマの主演を務め、映画や音楽などジャンルを超えて活躍する木村は加齢とは無縁の存在に見える。実際、47歳にしていまだに若手顔負けのルックスを保ち、ステージで躍動する様子を見ると、年齢はただの数字でしかないように錯覚してしまう。

参考:斎藤工、『BG』『火村英生の推理』“バディもの”で輝く理由 鋭い眼差しが物語のアクセントに

 好評だった2018年シーズンの続編として製作された『BG』で木村が演じるのは、ボディーガードの島崎章だ。島崎は勤めていたKICKSガードを退職して独立。そこに転がり込んで来たのが日ノ出警備保障時代からの同僚、高梨雅也(斎藤工)で、2人は協力して任務にあたることになる。

 島崎と高梨は似たもの同士だ。離婚してシングルファーザーの島崎に対して、独身の高梨は女心に疎く、自己表現が苦手なところも共通している。それでいて依頼人を守ることにかけては一切妥協がなく、現場で鮮やかな連携を見せる。第1章で対立していた2人が互いを理解し、最強バディになっていく過程は観ていてワクワクする。

 元自衛官の高梨と並んだときに際立つのが島崎の“弱さ”だ。年齢と共に肉体は衰え、怪我や不調からの回復も遅くなる。そのことを象徴するのが、女医・笠松多佳子(市川実日子)による治療シーン。島崎と多佳子の会話をはじめ、劇中では毎回のように身体を酷使し続けることの困難さが語られる。屈強なボディーガードでも自身の劣化という課題は避けられない。老いという最強の敵にどう立ち向かうかというテーマが第2章を貫いている。

 この課題に島崎は正攻法で応えてみせる。つまり、命の続く限り、あくまで依頼人を守り抜くのだ。第2話で階段から落ちたのも、ピアニストである守尾恵麻(川栄李奈)の腕を守るため。生傷の絶えない島崎だが、身体を張ることがボディーガードの本分であるという覚悟が見て取れる。

 そんな島崎にとって高梨は心強い相棒であり、高梨の存在が前述の問いに対する答えになっている。身体能力が高く共通理解のある(「誤差なし」の)高梨とバディを組むことで、島崎の経験と技術は何倍にも生かされる。当初一人で仕事をしようとしていた島崎が高梨を受け入れたのも、自身の限界を認識していたことが理由にあるはずだ。

 高梨以外にも、日ノ出警備保障でチームを組んだ菅沼まゆ(菜々緒)や沢口正太郎(間宮祥太朗)が、折に触れて島崎をアシストする。かつての仲間の再集結というと、『グランメゾン東京』(TBS系)が頭に浮かぶ。木村が零落のシェフ・尾花を演じ、ミシュランガイドの三つ星獲得を目指す同作は、鈴木京香や沢村一樹ら主役級をそろえたキャスティングが話題になった。

 役柄上も、天才ではあるが性格に難のある尾花に対して仲間たちが対等な関係でぶつかり合う描写が新鮮で、これまでワントップな主演のイメージが強かった木村にとって新境地を開く作品となった。『グランメゾン東京』は木村の同世代を含むチームだが、映画では『検察側の罪人』の二宮和也、『マスカレード・ホテル』の長澤まさみなど、下の世代とのマッチアップも経験済み。手垢のついたイメージを自ら塗り替えた上での、満を持しての『BG』バディと言っていいだろう。

 『BG』の島崎は、抑制された立ち居振る舞いの中に、枯れた味わいとほのかな色気を感じさせるキャラクターだ。同時に、妻に去られ一人息子に反抗される中年男の悲哀や情けなさも描かれている。対する高梨は、無骨さの中に優しさを併せ持つ。歳の離れた兄弟のような2人がどんな関係を育んでいくのか。テレビ朝日は『相棒』など刑事ドラマを中心にバディものを多く手がけており、『BG』がこれらに続く作品になるか注目だ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。

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