ワンダーウォール 劇場版
20/4/9(木)
昨今、なぜ為政者は人々の声を聞かないのか、なぜ我々の声はこんなにも届かないのかと感じることが多い。なんだか住む世界が違っていて、そもそも声が届かない仕組みになっているのではないか。本作は、そのメカニズムを大学という舞台で明らかにする。ある古い学生寮の廃寮をめぐり、寮生と大学が対立してきた窓口に壁ができてしまう。壁越しにしか交渉できない学生たちの声を聞く者はいなくなり、暖簾に腕押し状態となった学生側の結束は瓦解してゆく。
この古い寮には豊かな「無駄」がたくさんある。合理主義で削られてしまう「無駄」にこそ豊かな文化は宿る。本作はそれを見事に描き、同時にそれを破壊するメカニズムもわかりやすく示している。
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