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chelmico×大童澄瞳、『映像研には手を出すな!』の“最強ポイント”とOPテーマ語る「私たちの応援ソングにもなっている」

リアルサウンド

20/2/9(日) 21:00

 chelmicoが、1月17日に2020年第1弾デジタルシングルとして「Easy Breezy」をリリース。その発売を記念して、同曲がOPテーマを担当するテレビアニメ『映像研には手を出すな!』(NHK総合/以下、『映像研』)原作者の大童澄瞳とchelmicoの公開トークショーを2月1日に開催。会場には公募に当選した50名が招かれ、生配信も行われる中、和気藹々としたトークセッションが行われた。

参考:chelmico、「Easy Breezy」MV公開 “カオス”で“疾走感”のあるMVに

 『映像研』は、『マインド・ゲーム』『夜は短し歩けよ乙女』『ピンポン』などのアニメ作品を手がける湯浅政明が、『月刊!スピリッツ』で連載中の同名漫画をアニメ化したもの。浅草みどり、金森さやか、水崎ツバメの女子高生3人組が“映像研”を設立し、“最強のアニメ”を作るために奮闘する姿が描かれる。1月6日よりテレビアニメがスタートすると、chelmicoの楽曲とサイケデリックなOP映像が話題に。同曲MVは現在150万回再生を突破、海外でもMAD動画が制作されるなど、国内外でミーム化するまでに発展している。

 イベントは、「映像研のここが最強」を3人で語り合うコーナーからスタート。Mamikoは“口調が最強”と切り出し、「浅草(みどり)氏の言葉使いがべらんめえ調で真似しやすい。伊藤(沙莉)さんの声もハマっている」と、登場人物の特徴的な話し方を挙げる。続けてRachelは“立体感が最強”とし、「絵の立体感がすごい! (漫画では)吹き出しが絵のパースにあわせて斜めになっているとか、それによって空間全体が見えてくる。あと、モブの個性も強いので、物語の中では見えないところでもみんなが生活している姿が浮かんでくる。それが作品の奥行きにも繋がっているのかな」と前のめりに語った。一方、大童は「chelmicoのここが最強」というテーマで“キャラクターが最強”と解説。「凸凹なコンビ感やゆるいトークも面白い。でも、作っている曲や歌唱スキルは高いから、そのギャップも楽しめる。ライブもすごく面白かった」と褒めちぎった。

 続いて、トークはMVの話題になり、ゲストとして映像を手がけた田向潤が登壇。実際に会場でMVを流し、4名がMVの“ここが最強”というポイントを挙手して解説するコーナーへ。MVがスタートすると、いきなり「最強!」と声を上げたRachel。「ラジカセのカセットにchelmicoと書いてある。あと、CGのマンタが出てきたり、最初からこのMVが普通じゃないと伝わってくるところが最強」と力説した。

 その後もそれぞれが逐一声を挙げ、「人がポリゴンでぐしゃぐしゃになるシーンで期待感が煽られる。実は王冠は動画用紙で作られている」(大童/MV 0:25前後)、「下手くそすぎるロボットダンスと素敵な色味の脳みそ」(Mamiko/MV 0:47前後)、「おしゃれすぎて気付きにくいけど、ちゃんと歌詞が出てくる」(Rachel/MV 1:14前後)など、MV前半部分だけで大盛り上がり。その後も最初は想像だった宇宙船に乗り込み宇宙で戦うシーン(MV 1:24前後)、登場人物ゆかりのアイテムが出てくるシーン(MV 1:41前後)、『マインド・ゲーム』のオマージュになっているクジラに食べられるシーン(MV 3:02前後)など、細かいギミックやネタが盛り込まれたMVの話題は尽きない様子だった。

 今回のMVは単独で制作したという田向は、「みんなで作る作品も素晴らしいが、一人でコントロールすることで自分の100%を出すことができる。その分、やらなきゃいけない仕事は多いですが」と説明し、続けて「クオリティ以上に、とにかく溢れ出るものが多すぎる感覚を表現したかった。作業が年末年始を挟んだので、正月に集中して仕上げることができた」と楽しそうに説明。chelmicoの楽曲をはじめ、登場人物3名のアニメ作りに対する夢や情熱、原作のメッセージ性も汲んだハイブリットなMVが出来上がった。

 トークイベントの後には、chelmicoと大童澄瞳の囲み取材も行われた。アニメを見た感想としてRachelは「私はもともと湯浅監督の大ファンだったので、私たちの曲にあわせて動いているのを見て感動しました。自分の想像を超えてきた。まさかああいう変わったポーズをとるとは(笑)」と語り、Mamikoは「音の使い方が面白い。浅草氏が妄想で作っていく時に、伊藤さんの声で“たったった”とか擬音を表現している部分やオオル(タイチ)さんの音楽もすごく良かった」と魅力をアピール。大童は「アニメのクオリティが高くて嬉しかったです。アニメきっかけで漫画の方に関心を持っていただけることもあると思うので、そういう方々をガッカリさせないように、改めて身が引き締まる思いです」と原作者ならではの喜びを語った。

 また、「三人に共感するポイントは?」という質問にRachelが、「ラップもアニメも男性の多い現場だと思うので、私たちと3人は境遇が近い。でも、本当はそこに性別はまったく関係なくて、当事者はただ好きでやっているだけ。原作でも“女子”であることに対する言及がないし、中には女子高生ものと思う人もいると思うけど、実際に見るとそうなっていないところに安心したというか。シンパシーを感じました」と語ると、大童も納得の表情を見せて「僕は描いている時の感覚で女性や男性を選びますけど、そこは一番重要ではなくて。魅力的なものに対する感情に性別は関係ない。たまに『おっさんを女子高生に投影してマイルドに提供している』という意見も見ますが、美術系の学校には女性は多いし、僕が通っていた時も性別の差を意識する瞬間さえなかったです」と作品の背景を解説した。

 「Easy Breezy」の制作についてMamikoは、「大童さん、湯浅監督、登場する3人と私たちの気持ち、みんな目線は一緒だと感じました。湯浅監督からも『モノ作りをする時のワクワク感を詰め込んでほしい』という要望をいただきましたが、それは私たちの得意分野なので、曲自体もすぐに出来上がりました」と振り返る。Rachelは「アップテンポの曲は今までも作ってきたんですけど、ずっとこういうギターサウンドの曲は作りたいとアイデアも温めていて。ちょうどそういうタイミングで今回の話が来たんですけど、『映像研』と一緒に作れたことで、いつも以上のパワー持った曲が出来上がりました」と説明した。

 今作は、アニメOPで流れる前半と後半で、サウンドや歌詞のイメージが変化していく印象を受ける。

「2番も聴いてほしいです。怒ってますもんね……ちょっと怖がらせたかったのかも。“いいな”って思うきっかけが1番だとしたら、2番は『この音なんか気持ち悪い』とか、『早口で何言ってるかわかんない』みたいなフックを作りたかったんです」(Mamiko)

「ずっと1番のノリが続いても一辺倒になってしまう。原作も読めば読むほどポップなだけではない奥深さが感じられるし、『フルで聴いたら思っていたのと違った』みたいな意外性は意図的に入れました」(Rachel)

 アニメでは流れないパートでは、〈黄ばんだ目のやつら/ばっちいわ ちな、来たら追っ払うわ〉という刺激的なリリックも展開される。

「登場人物3人の気持ちに立った時に“周りから理解されない”という心情もあるんです。ここは近寄ってくる純粋じゃない人、邪魔をしてくる人たちに対する批判的な視線でもあるし、『私たちは好きに楽しくやってます』っていう気持ちも入っています」(Mamiko)

「胸にぐさっと刺さる人も多いんじゃないかな(笑)。私たちも、ただゆるくやっているだけではなく、意地を通す時は通すみたいな。ブーメランじゃないですけど、この歌詞は自分たちにも返ってくるし、私たちにとっての応援ソングにもなっていると思います」(Rachel)

 と、これまでのchelmicoにはない強気な歌詞や曲のギミックについて明かした。

 2019年は「爽健美茶のラップ」や「Player」のヒットで飛躍を見せ、周囲からの期待も多く受けるchelmico。グループの変化についてRachelは「今までの自分たちらしさは、“ゆっくりしよう”や“無理強いしない”、“等身大”というキーワードだったと思います。でも、今は“やるときはやる”という一面もあるのかなっと。熱の入れどころを理解できるようになったことでchelmicoに奥行きができたと思うし。深みが増したことで、私たちがどんな人なのか、どんなことを考えているのかという点にも興味を持っていただける機会も増えたと思います」と語る。最後に2020年の展望ついてMamikoは「曲をたくさん作りたいし、止まりたくない。ガンガンいきたいです! あと、二人で喋る場所も増やしていきたいので、いまはラジオを続けたいです」と意気込みを語った。(リアルサウンド)

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