京都の「HOTEL SHE, KYOTO」で予定されていた、実際に宿泊した人だけが体験できる演劇。例に漏れず、コロナ禍によってこの公演も中止となった。 そのかわりとして5月に開催されたのが、配信版「泊まれる演劇 In Your Room 『Room101』」だ。観客はそれぞれ、探偵助手としてzoomに入り、案内人の誘導にしたがってホテルを舞台に起きた誘拐事件の謎に迫るという、体験型のものだった。ほかの配信演劇と圧倒的に違うのが、セットの豪華さ。ホテルのロビーとそれぞれの部屋で演技が行われているため、背景が本物なのだ。それだけでずいぶんと観る側の没入度合いも変わってくる。 脚本を「リアル脱出ゲーム」で知られるSCRAPのきださおりが担当しているだけあり、内容はかなり謎解き要素の強いもの。事前に送られた招待状やSNSなどを駆使して謎を解いていく、配信でなくてはできない仕掛けがたくさん入っていた。今回上演される『Room102』では、旅をコンセプトに、前作以上の没入性を追求するという。今作がこの状況でなくては生まれなかったかたちの作品と体験であることは間違いない。