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岡崎体育、『磯野家の人々』で20年後の中島役に抜擢 役者としても発揮する持ち前の“異質さ”

リアルサウンド

19/11/24(日) 8:00

 ジャンルの壁を超えた幅広い音楽センスとユニークな歌詞で、独自の世界観を表現し続けるシンガーソングライター、岡崎体育。2019年はデビュー前より目標に掲げていたさいたまスーパーアリーナ公演も成功させるなど、アーティストとしてますます勢いに乗る彼だが、昨今では俳優業への進出も目覚ましい。たとえば、現在オンエア中のサントリー『BOSS』のCM最新作『宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ「老舗」編』では、和菓子屋の跡取り息子という役どころで立川談春と共演しているほか、11月24日に放映されるスペシャルドラマ『磯野家の人々~20年後のサザエさん~』では、カツオ(濱田岳)の親友・中島役に抜擢されている。「僕みたいなわがままボディが中島くんの役をやらせてもらって大丈夫なのか!? と思いました」とオファーの際の心境を明かすが、同時に「“いや、中島太り過ぎやろ!”って思ってもらえたらポッチャリ役者冥利につきます」とコメント。自然と“役者”という言葉が出るあたり、まんざらでもないのが本音だろう。

(関連:岡崎体育が出演した『BOSS』CMはこちら

 岡崎が俳優デビューを飾ったのは2018年。NHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』(NHK総合)でのことだった。演じたのは、逮捕された立花萬平(長谷川博己)たちが収監された雑居房を監視する進駐軍のMP(軍警察)、チャーリー・タナカ。カリフォルニア生まれの日系人という設定ながら見た目はモロ日本人、しかもバリバリの関西弁でまくしたてる姿は、強烈なインパクトを残した。それまでのNHKの番組への出演経験からオファーに繋がったとのことだが、演出を担当した保坂慶太氏は「想像以上の熱演で、チャーリー・タナカの繊細な心情を表現してくださったと感謝しています」と高く評価した(参照:https://realsound.jp/movie/2018/12/post-289799.html)。続いて今年4月には映画『麻雀放浪記2020』に出演。斎藤工演じる坊や哲を翻弄するオタクのテロリストという、またもぶっ飛んだ役柄で観客を圧倒した。時系列としては、『まんぷく』よりも先に撮影されており、岡崎にとって商業作品での初めての演技だったとのこと。そして8月にはドラマ『これは経費で落ちません!』(NHK総合)にゲスト出演。都合が悪くなると嘘をつくダメな会社員を、本人曰く“超自然体”で演じ、SNSでは「ダメ男の再現度高すぎる」「これ、素でしょ?」と反響が相次いだ。

 一度見たら忘れられない風貌といい、醸し出す雰囲気といい、岡崎体育にはいい意味での“異質さ”が備わっている。それは本業のアーティスト活動の場においても発揮されてきたことだが、役者として起用されると一層強まるように感じるのは気のせいではないだろう。演じた役柄を見ても一目瞭然。一筋縄ではいかない、クセ者をいかにも楽しそうに演じている。純朴な青年にもサイコキラーにもなれそうな、危ういバランスが絶妙だ。既存の役者にはいそうでいないニッチな存在感も、制作スタッフが求めていたところとピタリとハマったのかもしれない。加えて彼のセルフプロデュース能力の高さも、演技をする上でのアドバンテージになっているように思う。これまでリリースした作品、特にMVに顕著だが、岡崎体育は自分をいかに見せるかを常に探求してきたアーティストだ。めちゃめちゃカッコつけてみたりするのも、自身の見た目とのギャップがおもしろいことを自覚しているからにほかならない。“演じる”ことへの意識はそのスタイルの中で自然と培われてきた。おそらく演出側の意図を汲むのもうまいのではないだろうか。『麻雀放浪記2020』を手掛けた白石和彌監督は「岡崎体育さんの独自の世界観が好きでお願いしたのですが大正解でした。これからお芝居の仕事が増えるんだろうなと思います」と語ったが(参考:https://realsound.jp/movie/2018/12/post-291731.html)、今にして思えばこの予想はまんまと的中したと言える。

 今後、“役者”岡崎体育に期待するところは持ち前の“異質さ”を、映画やドラマといったメディアを通していかんなく発揮してくれること。登場してきた瞬間に場の空気を変えてしまうような存在感で、観る側を戦々恐々とさせてほしい。芝居への意気込みに対して、本人は「お芝居でも高く評価されているミュージシャンの方々ってたくさんいますけど、でもそれってやっぱりミュージシャンとしての足場をしっかり持っているからこそ、ファンの方々が俳優としても応援してくれると思うんですよね。音楽という基礎があるから役者としてもより魅力的にみえる。僕も他に類をみない、この憎めない系ぽっちゃり三枚目キャラを最大限に活かして、ハリウッドデビューできるまでがんばりたいと思います」(参照:https://ananweb.jp/news/204059/)と語っている。二足のわらじを履く覚悟も決まったというところだろうか。新たな名バイプレイヤーの誕生を心から歓迎したい。(渡部あきこ)

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