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柴咲コウ「“悪役”に共感したこと」 映画『クルエラ』インタビュー

ぴあ

撮影:つるたま 衣装:『Shiatzy Chen』スタイリング:stylist Kei Shibata (tsujimanagement)

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ディズニー実写映画最新作『クルエラ』が2021年5月27日(木)劇場公開、28日(金)ディズニープラス プレミア アクセスにて公開となりました。
主人公クルエラの日本版声優を務めた柴咲コウさんにインタビュー。
クルエラを演じた想いや柴咲さんとディズニー映画との関わり、ファッションへの考えについて伺いました。

ディズニー映画の魅力 『クルエラ』は「本当にいろんな世代の人に見られる仕上がり」

© 2021 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

―—今回の映画で好きなシーンはどこですか。

犬のウィンクがネズミのフリしているところがもう「ずるい! 」って。プリプリプリって歩いているところですね。

あと、エステラに昼ご飯忘れたから届けに来たよっていうところで、おいでって言われたウィンクがぴょんって飛び乗るところ「ずるい! 」って。

―—クルエラのシーンではありますか。

ゴミ収集車で来て、バロネスの昔の衣装をつぎはぎして、一個のコレクションにしちゃうってという、もう終わったものを再構築して新たなものに仕立てたっていうのはカッコいいと思いました。

―—クルエラは“悪役”ですが、彼女に共感する点はありましたか。

善悪は決めやすいんだけれど、今までのキャラクターものとかアメリカの映画とかでも“善”“悪”みたいな、「悪いものやっつけろ! わー! 」みたいなのがあるけれど、やっぱり私はなんでそうなったのか裏側を知るというのがすごく大事だと思っていて。

しかも今回はすごい回収の仕方だったと思うんですけれど。もちろん法を犯してはいけないよっていう大前提はありながら、でも生きていくために仕方ないじゃんとか、自分自身は素直に生きているだけなのに、親とか周りの大人たちに裏切られるとか、そもそも元々の環境が最悪だったとか、そういうこともあるわけで。

自分自身がそうじゃないから、それでも真面目に生きていたら良いことあるって言うかもしれないけれど、当事者はそうじゃない、ものすごい深い傷を負ったり闇を抱えたりするわけで。

そこに対してある種の共感力というのは社会全体で必要なことなんじゃないかなと。

もしそうやって共感してくれる人がもっと早くに現れていたら、今回の仲間たちのように、いたらもしかしたらその人は悪に手を染めなかったかもしれないし、悪とは言っているけど演出かもしれないとか、そういうことでできるのになっていうのは思います。 そういうことを考えさせられるから、こういうダークサイドというかヒール側の背景っていうのを見るのはすごく好きです。

―—柴咲さん自身のディズニーとの関わりやディズニー映画の印象について教えてください。

ディズニーもね、たくさんありますからね。(インタビュー側のプーさんの服を見て)私もプーさん大好きなんですけども。プーさん可愛くて、プーさんの哲学の本っていうのがあるんですけど、そういうの読んだりとかして。

ディズニー映画はアニメーションとしての魅力というか、そこに人生のいろいろが詰まっていたりしますよね。

そういうのを学ぼうと思ってというよりかは、楽しくワクワクしながら見られるっていうのは、特に今回そうかなと思っていて。

今回は本当にいろんな年代の人に見られるような仕上がりになっていると思うんですけれど、わんちゃんもいっぱい出てくるし『101匹わんちゃん』もあるからお子さんにも見てもらいたいし、わんちゃんすごく可愛すぎて、どこがCGなのかしらって思うんだけど。

という部分と、やっぱり人間として、1人の人としてどう生きますかみたいなのが、いろいろヒントとか勇気をもらえるなというのをすごく実感しました。

―—クルエラ以外に演じてみたいディズニーキャラクターはいますか。

マリー(『おしゃれキャット』)とか動物系が好きだから。マリーちゃんとかあったらいいな。

魅力的なキャラクターが多すぎて。今回は犬なんで猫もぜひと思います。

実写吹替に初挑戦!アクションの難しさ

撮影:つるたま 衣装:『Shiatzy Chen』スタイリング:stylist Kei Shibata (tsujimanagement)

―—実写の声優は初めてということで、演技されてみていかがでしたか。

まだそんなに慣れていない中での実写の吹替ということで、コツも色々と指導してもらいながらだったんですけれど、自分の幼少期から吹替で映画を見ていた感覚もあるので、それを頼りにしながら、自分が思っている倍くらいのエネルギーと抑揚をつけないとマッチしないんだなというのをすごく感じながらやりました。

―—息遣いも上手かったです。

息遣いとかはあまり意識せずに自然に、やっぱりビジュアルはもう演技されていて完成されているので、それに合わせていくという形で、逆に呼吸とかが聞こえない方が不自然だなというのはやりながら感じていたところだったので、話している中で息を吸ったり吐いたりするのは自然と出てきた感じはありました。

シーンごとにかなり綿密に指導してくださったんですけれど、一回通して私はこれぐらいだろうと思ったら、「もうちょっと深い感情」とか言われて、なんだろうそれと思って、一回自分の声を聞くと、なるほど全然足りてないというのが納得できちゃうという繰り返しで。

ちょっと抑揚を増してみようとか、吸う量を多くしてみようそうすると吐く量が増えるからとか、バランスをいろいろさじ加減でやりながらでした。

―—特に難しかったシーンはありますか。

一番はアクションがあるところの中で話しているのが、こっちはアクションをしないでマイクの前で表現しなきゃいけないので、活動量が多い所の声が難しいなとは感じましたね。

ソファーに座ってとつとつと喋っているのは表現しやすいんだけれど、動きながら何かしながら、ちょっとお遊びを入れながらとかだと難しいと思って。

心の中では暴れまくってマイクの前では立ってなきゃいけないっていうのがバランスが難しかったですね。

―—今回エンドソング「コール・ミー・クルエラ」も歌われていますが、どういった思いを込めましたか。

自分の思いというより、本編の吹替もそうだし、エンドソングもそうだし、本国でもあるものなので、そこから逸脱しないようにというのはありつつ。

日本語にするとまた全然印象が変わっちゃうんですよ。特に歌というのは、英語だったら滑らかに本当に音楽に調和するところが、日本語だとすごく目立っちゃったりとか。

そことのバランスはかなり考えて、抑揚つけて。抑揚といっても音程として決まっている中でそれを出すっていうのはこれまたいい勉強になりました。

なので素の自分ではないですよね。やっぱりキャラクターを引きずって、ちょっと俯瞰で見ている自分が歌っている、みたいな。私がというよりかは、そのキャラクターの一部が、なのか、客観性が、なのかという感じで歌っていました。

“若い”クルエラを演じる思い

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―—演じる際に過去作品のクルエラは意識されましたか。

若いときの方が一生懸命じゃないですか。何かに対して必死だし、完成されたクルエラ像っていうのは既にあるんだけど、それはそれとして、ここからまた20年ぐらいたったらああいう風になるんだろうなというのは、自分の人生においてもやっぱり20年前と今とでは全然違うし、20年前だったら真面目すぎて、それはそうじゃないんですって必死になっちゃうところがあるんだけど、何十年も経つとまあそれでいっかみたいなのができて、ああいうキャラクターができていて。

あとクルエラは自己演出がすごく上手な人ってことだと思うんですけど、そこに至るまでのキャラクター、今回はその年代なので、そこのギャップがあってもいいのかなと思いながら。

だから正解があるからそこに近づけようという意識はあるわけじゃなかったです。

―—柴咲さんの若い頃はどうでしたか。

やりたいこととできることのギャップもまだある中で、やっぱりそういう目指す思いや力って必要じゃないですか。

そういうアンバランスさってあったんだなと思いつつ、やっぱり自分が好きなものに対しては没頭できるんだけれども、そうじゃない付いてくるものとかってあると思うんですよね。

もしかしたらこういう取材もそうかもしれないけれど、お芝居をやっている人がそれを語らなきゃいけないのは難しいことでもあるなと。自己評価もしながらそれを共有しなきゃいけないし、拡散していかなきゃいけないしみたいな。

だからその中で全然関係ないバラエティに出ますとかってなると、いよいよ何やるんだっけみたいなときがあったり、ちょっと本職というかやりたいことと離れていっちゃう、けれど見てもらわなきゃっていう葛藤があったり、そういう居心地の悪さが顔に現れるみたいなのは若い時は結構あったかなと。

―—そこから変えてくれたものは何ですか。

結局巡り巡っているし、みんなで作っていて、例えば映画制作とかドラマの制作でも、いろいろな人が携わってないと出来得ないことだなというのは昔よりは知ってくるし、自分自身が作る側に回ると大変だと思うし、お金ってこうやって集めるのかとか、全然欲しいところに人が来ないとか、そっちの側の裏方の苦労がわかると理解がものすごくできることとか。

あとは想像力というか、20年いろんな人と付き合いしてきて見えてくるものがあったりというのも作用していると思います。

「黒いカッコいいエッジの効いた服も、たまに着たいという想いが再燃」

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―—柴咲さんのファッションに対する考えを教えてください。

似合うとかどうかは別として、何が着たいかという方が大事で。気分とか、世の中の流れとかもあると思うんですけれど、私はやっぱりビビットな色が着たいとか、今回の映画が影響して黒いカッコいいエッジの効いた服もたまに着たいなというのも再燃していたりするし、その気分を表現するのもファッションだなと私は思っているので、似合うとかどう見られるとかあんまり考えないかも。

ただ私の場合、似合わない色味とかっていうのは好きじゃない色に繋がることもあります。

―—ご自身のファッションブランドも展開されていますね。

環境課題の提示としてというところが大きいので、どちらかというとファッショナブルでとかエッジの効いたとはまた違う役割かなとは思っていますし、あとはどういった背景で作られているものかを納得できないと本当に気持ちよくは着られないと私自身は思っているので、そういった環境配慮しているものというのはテーマになっています。

―—ブランドを立ち上げて3年たって難しいところはありましたか。

人ですよね。人を集めるというのが難しくて、私自身は事業の柱を作る側なので、そこで細かいものをするとかいう側ではないんですけども、人がいないと結局自分がやらなきゃいけないという中でやっと少しずつ人が集まってきて、また新たな体制で今年の秋冬からできたりするので、ぜひ注目してくださいというところなんですけれども、そこは本当に難しいですね。やりながら学びながらというところですね。

今後はカラーを楽しみたいかなと思っていて。環境負荷のことはきちっと第一優先で考えながら、その中でもうちょっと遊び心というのは今期足していけたらなと思っています。

『クルエラ』
映画館&ディズニープラス プレミア アクセスにて公開中 ※プレミア アクセスは追加支払いが必要です。

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