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実はホドロフスキーの大ファン、ドゥニ・ヴィルヌーヴが夢の企画「DUNE」を語る

ナタリー

左からドゥニ・ヴィルヌーヴ、ティモシー・シャラメ。

「DUNE/デューン 砂の惑星」の監督を務めたドゥニ・ヴィルヌーヴが、日本のマスコミ向けに行われたオンライン記者会見に出席した。

本作はフランク・ハーバートによる小説を「メッセージ」「ブレードランナー 2049」で知られるヴィルヌーヴが実写化したSF。砂に覆われた惑星デューンを舞台に、全宇宙の未来を託された主人公ポールの運命と宇宙の混迷が描かれる。ティモシー・シャラメがポールを演じた。

かつて「映画化不可能」とまで言われた原作はアレハンドロ・ホドロフスキーが映画化に着手したものの、莫大な予算と型破りな内容から製作は中断。のちにデヴィッド・リンチが「デューン/砂の惑星」のタイトルで映画化したが、その内容は賛否が分かれた。13歳で初めて原作を読んだというヴィルヌーヴは「この小説を脚色し、映画化できたのは夢が叶った思いです。自分の人生の中でも、もっとも大変だった映画。しかし楽しみながら、とてもユニークで稀有な体験ができた」と念願の企画に達成感をにじませる。一方で「“映画的体験”としていかに原作を映像化するのか。自分で自分の背中を押さなければならない瞬間も多くありました。映画学校に通っていた頃に戻ったような気持ちでした」と、その苦労とプレッシャーを明かす。

スタッフは旧知の人物を中心に固め、撮影前から長い時間をかけて準備を徹底。制作途中の心境を「さまざまな部門の人々と、何年にもわたる終わらない会話をひたすら続けているような感覚」と表現しつつ、印象的なエピソードを問われると「みんなを砂漠地帯の奥深くまで連れて行きました。見渡す限り何もない場所が私たちの魂にどんなインパクトを与えるのか。それを肌で理解してもらえたと思う」と話す。数多くの打ち合わせで鍵となったのは、ヴィルヌーヴ曰く「原作に立ち戻ること」だったそうで「ハーバートの書いた描写や詩に近いものを目指しました。自然をゆがませることなくありのままに撮ること。できる限りVFXやグリーンバックを使わない環境での撮影を強く望みました」とこだわりに言及。さらに「本の映像化は、少々乱暴な行為。脚色に当たっていろんなものを生み出したり、ゆがめたりしなければいけない。自分としては、映画にハーバートのスピリットが残ってくれることを心から願っています。だから『原作に忠実だった』と言ってもらえることが一番の褒め言葉」と期待を込めて述べた。

会見ではデューンに生息する謎の超巨大生物サンドワームに関する質問も。デューンの先住民である砂漠の民フレメンからは「シャイ・フルード」と呼ばれ崇められる存在だ。ヴィルヌーヴは「恐ろしさと同時にスピリチュアリティを体現しているような。人間とは異なる、自然と完璧に調和している知性の象徴です。サンドワームと出会った人間が、神と奇妙な邂逅を果たした感覚を覚える存在にしたかった」と話す。また、原作の長大さから2部作として構想されている映画について、ヴィルヌーヴは「まだ最初のパートしか映像化できていない。この旅は終わっていません」とパート2への意気込みを見せた。

2014年に公開され、日本でも映画ファンの間で話題を集めた「ホドロフスキーのDUNE」の影響があったか問われると、ヴィルヌーヴは「実はホドロフスキーの大ファンです。もちろん、あの素晴らしいドキュメンタリーも観ています」と答える。そして「ただ、私が『DUNE』を作りたいという選択に対する影響はありませんでした。自分の中で映画化を決めたのは、35年も昔のことですからね(笑)。彼の企画がもし実現していたら、それは素晴らしいホドロフスキーの『DUNE』になっていたでしょう。どんなものかまったく想像できないですよ」と教えてくれた。

「DUNE/デューン 砂の惑星」は10月15日より全国ロードショー。

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