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蒼井優×高橋一生の8Kドラマ「スパイの妻」完成、監督・黒沢清「幸運な経験」

ナタリー

20/5/21(木) 17:04

「スパイの妻」

6月6日にNHK BS8Kで放送されるドラマ「スパイの妻」が完成。このたびキャストの蒼井優と高橋一生、監督の黒沢清からコメントが到着した。

8Kスーパーハイビジョンで撮影された本作は、1940年代の神戸を舞台とするサスペンス。貿易会社を営む福原優作は、満洲で目撃した恐ろしい出来事を世に知らしめようとするが、彼の妻・聡子は2人の幸せのために夫の行動を阻もうとする。蒼井が主人公の聡子を演じ、高橋が優作に扮した。聡子の幼なじみである憲兵・津森泰治役で東出昌大、優作の甥・竹下文雄役で坂東龍汰も出演している。脚本は黒沢とともに濱口竜介と野原位が手がけた。

黒沢と組むのが3度目である蒼井は「立ち位置と動きを決めてくださって、そこからどうするかは、演じる側の俳優に委ねられるため、終始『正解は何だろう?』と思いながら演じていました」と撮影を振り返る。一方、初の黒沢組だった高橋は「監督の世界観は非常に明確でしたので、動きの指示や細かな機微において、提示されたものの中でどれだけの事が出来るか、楽しみながら取り組むことができました」と明かした。そして黒沢はキャストとスタッフの力が「最高のかたちで結びつきました」と自信をのぞかせ、「このような幸運な経験は、私の長いキャリアの中でも初めてのことです」と本作について語っている。

スパイの妻

NHK BS8K 2020年6月6日(土)14:00~15:55

蒼井優 コメント

この時代の女性を演じるのは今回が初めてだったのですが、思い描いたところに自分が行けているのか、どこか感覚が凝り固まっているのではないか、と常に自分を疑いながらの撮影でした。また、黒沢監督は、立ち位置と動きを決めてくださって、そこからどうするかは、演じる側の俳優に委ねられるため、終始「正解は何だろう?」と思いながら演じていました。正解を当てに行くというよりは、不正解を知っていくことで役を形作っていくことができたように思います。

高橋一生 コメント

黒沢監督作品に初めての参加でしたが、監督の世界観は非常に明確でしたので、動きの指示や細かな機微において、提示されたものの中でどれだけの事が出来るか、楽しみながら取り組むことができました。特に、この時代の人間を演じるならではの、現代的な口調ではない台詞群を、どう解釈して出力するかという作業は、個人的にも面白い体験でした。また、撮影終盤には、大掛かりでクラシックなオープンセットを前に、百人以上のエキストラの皆さんが行き交う中で、1カットの非常に長いお芝居をやらせていただきましたが、各部署のスタッフの方々が動いていることを感じてここに参加させていただいていることの感謝と興奮がありました。そして、蒼井さんはお芝居で会話が出来る方なので、とても安心して刺激的な経験が出来たと思っています。

黒沢清 コメント

過ぎ去った時代がまとう抽象性と、カメラが切り取る生身の人間の実在感とをどうやって両立させるのか、それは最初至難の技に思えました。しかし結果は素晴らしかった。何より主演俳優二人が渾身の演技でこの時代のリアリティを体現してくれたこと、そして各スタッフたちがそれを支え、超濃密でどこか神秘的な8K映像が見る者をたちまち1940年代の日本へといざなってくれたこと、全てが最高のかたちで結びつきました。このような幸運な経験は、私の長いキャリアの中でも初めてのことです。

土橋圭介(制作統括)コメント

映画監督の黒沢清さんを迎えての8K制作のドラマ。この一大プロジェクトを裏方で支えたのは、監督旧知の黒沢組の面々とともに、今回が初顔合わせとなるNHK技術スタッフたち。互いに期待と不安が入り混じる中、スケジュール都合でクランクイン早々、蒼井優さんと高橋一生さんが緊迫したやりとりを5分間ノーカットで見せる終盤のシーンを撮ることに。役になじむ前に、こういうシーンから入ってしまい、お二人はやりにくかったと思いますが、この撮影を序盤に乗り切ったことで、流派の異なるスタッフが1つのチームになったように感じました。素晴らしい演技に強力なスタッフワークが加わり、黒沢監督の新境地とも言える作品が完成しました。

岡本英之(制作統括)コメント

神戸を舞台とした時代劇を8K・スーパーハイビジョン撮影で黒沢清監督が演出する。映像に関わる誰しも興奮を隠しきれないこの企画は、濱口竜介、野原位の両氏が作に名を連ね、音楽は長岡亮介氏が担当。何より、蒼井優、高橋一生の両氏をはじめとした素晴らしい俳優陣の出演する、まさに「夢のような作品」となりました。完成を迎えた今、このように事実を並べ改めてそのことを実感しています。どうぞご期待ください。

(c)NHK

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