現在放送中のドラマ『でっけぇ風呂場で待ってます』（日本テレビ系）は、Kis-My-Ft2・北山宏光、Sexy Zone・佐藤勝利がW主演を務めていることで注目を集めている。普段は別々のグループに所属する両者の共演には特別な魅力がある。本稿では、ジャニーズのグループの垣根を超えた共演作品を紹介したい。

『でっけぇ風呂場で待ってます』（Kis-My-Ft2・北山宏光、Sexy Zone・佐藤勝利）

　放送中の『でっけぇ風呂場で待ってます』でW主演を務めるのは、Kis-My-Ft2の北山とSexy Zoneの佐藤勝利。江戸時代から続く下町の銭湯“鵬（おおとり）の湯”を継ぐ、第5代目番頭・松見芯（通称：芯さん）を北山が、その後輩の梅ヶ丘龍大（通称：梅ちゃん）を佐藤が演じている。

　本作は、鵬の湯を舞台にドタバタ劇を展開するシットコム（シチュエーションコメディ）形式。ロケや場面展開がある通常のドラマとは違い、セットはそのままに愉快な登場人物の会話によって物語が進行していく。

　個性的な共演者の演技に負けることなく、これまたユニークな印象で存在感を放つ二人だが、グループではアイドルとしての顔を見せながら、芝居となるとより一層豊かな表情で視聴者を魅了する。アイドルを封印し、俳優としてぶつかり合うのだ。

　二人の演技からは、過去に北山が主演を務めた『裁判長っ！おなか空きました！』でのくるくると変わる表情、佐藤は『Sexy Zoneのたった3日間で人生は変わるのか！？』（ともに同局）で見せたツッコミを集中特訓していた姿をそれぞれ思い出す。

　どこか懐かしい雰囲気の銭湯を舞台に、北山と佐藤、そして共演者たちが生み出す笑いに満ちたストーリー。このご時世だけに、心が和むストーリーが深夜に馴染む。ちなみに、壁に貼られた遊び心あるポスターの数々を毎話チェックするのも楽しい。

『タイガー&ドラゴン』（TOKIO・長瀬智也、V6・岡田准一）

　2000年代に入ってからしばらくの間、TBS系ドラマの顔ともいえるほど、この二人の主演作は常に話題を呼んでいた。2000年には『池袋ウエストゲートパーク』で長瀬が、2002年の『木更津キャッツアイ』では岡田がそれぞれ主演を務め人気に。そして2004年、宮藤官九郎脚本によって両者の共演が実現、噺家の一門を舞台にした『タイガー＆ドラゴン』が放送された。

　長瀬演じるヤクザの噺家・山崎虎児が、落語家・林屋亭どん兵衛（西田敏行）の落語に感動し、弟子入りを申し込んだところからストーリーが展開する。岡田はどん兵衛の息子・谷中竜二役を演じた。竜二は才能がありながらも訳あって噺家の道は選ばず、個性的な洋服店の店主になったのだが……。過去の悲しい出来事から笑いを忘れた虎児と、恵まれた環境であるもののどこか冷めた様子の竜二。ヤクザらしいド迫力と竜二の冷淡さ……両者のコントラストは、長瀬と岡田でなければ出せなかっただろう。長瀬は今月末でジャニーズ事務所からの退社が決定しており、岡田も近年は映画作品への出演が多く、いまとなっては貴重な共演作品だ。

『節約ロック』（KAT-TUN・上田竜也、ジャニーズWEST・重岡大毅）

　2019年1月に日本テレビ系シンドラ枠で放送された『節約ロック』。最終回から1年半が経過した2020年7月には全10話の再放送に、新作パートを加えた『節約ロック ちょっと特別編』が放送された。これも2020年ならではの放送スタイルだ。

　上田演じる主人公の松本タカオは、ロックを愛する貯金ゼロのサラリーマン。散財グセのせいで恋人の大黒マキコに振られてしまうのだが、そのマキコに接近した節約マニアの稲葉コウタを重岡が演じた。まるで“顔芸”とも呼べるほど、両者のユニークな表情が詰まったコメディドラマだ。また、劇中では“節約ロッカーズ”を結成。上田がギター、重岡がベースを担当し、「節約ROCK」を披露したこともある。ロックがよく似合う二人だが両者とも見た目に反してピアノが弾けるという共通点もあるので、今後何かのタイミングで再び二人のセッションを実現させて欲しい。

『未満警察 ミッドナイトランナー』（Sexy Zone・中島健人、King & Prince・平野紫耀）

　当初は2020年4月11日から放送予定だったが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発令に伴いロケ撮影も中断、大幅に放送が延期された。しかしこの間、中島と平野は『未満警察』放送と同時刻に再放送されたドラマの最後にリモート出演するなど明るい笑顔をみせていたのが今も印象に残っている。W主演に加えて、主題歌もKing & Prince「Mazy Night」とSexy Zone「RUN」のW主題歌と、こちらも珍しい展開に。別グループが歌い、それぞれの世界観が確立しているにも関わらず、ドラマのストーリーとリンクしているあたり、さすがはジャニーズと唸る取り組みだった。

　また、音楽特番『Premium Music 2020』（日本テレビ系）のMCも、中島と平野の二人が務めたのも新鮮だった。前例がなかったり新たな取り組みだったりと初めてづくしではあったが、それらを立派に務めあげた両者に、たくましさを感じると共に、どこか誇らしくも思った。

　この他にも、W主演と掲げられてはいないものの、土曜ドラマ『レッドアイズ 監視捜査班』（日本テレビ系）にKAT-TUNの亀梨和也とSixTONESの松村北斗が、『書けないッ！？～脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活～』（テレビ朝日系）では、生田斗真とSexy Zoneの菊池風磨が共演と、それぞれ良い関係性のポジションを見事に演じている。ドラマや映画を筆頭に、バラエティ番組でも見せるグループの垣根を超えた共演は、どこか安心感もありつつ、先輩・後輩の関係から新たな一面が見えたりと、見どころがまた一つ増えていくのを実感することができる。これらに限らず、ぜひ音楽面でのコラボレーションも実現したら面白そうだ。

■柚月裕実
Web編集者／ライター。企画、担当編集、取材・執筆してます。
日本の男性アイドルの頑張りを見ては涙する30代。
始まりはSMAP中居さん。 KAT-TUN、NEWS中心の事務所担。年中HDDの整理と原稿書きに追われています。