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「アジア8K映像演劇祭」開幕、目の前で舞台が上演されているような臨場感

ナタリー

18/10/20(土) 11:24

「アジア8K映像演劇祭2018」前日記者会見より。左から加藤章東温市長、イ・フィジョン、タン・メイユン、田代親世。

「アジア8K映像演劇祭2018」が、本日10月20日に愛媛・坊っちゃん劇場で開幕。これに先駆けて演劇祭の前日記者会見が昨日19日に愛媛県内で行われた。

記者会見には東温市の加藤章市長、坊っちゃん劇場のスペシャルアドバイザーであり、演劇祭の開幕を飾るミュージカル「よろこびのうた」で演出を務める錦織一清、同劇場の越智陽一代表取締役、韓国から「カラマーゾフの兄弟」出演者のイ・フィジョン、台湾から「歌仔戯<余太君掛師 Heroine of the Yangs>」のプロデューサーで主演を務めたタン・メイユン、“韓国エンターテインメント・ナビゲーター”の田代親世が登壇した。

はじめに加藤市長は「演劇祭をきっかけに東温市の文化芸術を知っていただき、市の発展につながればありがたいです」と挨拶。同演劇祭のプロデューサーでもある越智代表は「劇場が地域のお役に立てることがあるのではないか?と、『アートヴィレッジとうおん構想』の目玉として『8K映像演劇祭』を計画しました」と述べ、「NHKさんと一緒に8Kカメラを開発したアストロデザインの鈴木茂昭社長と『舞台芸術を8Kで撮る実験してみよう』と話しまして、カメラ1台のワンショットで撮影した舞台の映像を大型スクリーンに映し、あたかも目の前で舞台が上演されているような臨場感を作り出しました。技術的には進歩の途中ではありますが、2020年には『世界8K映像演劇祭』を開催することを目標にしております」と展望を語った。

韓国・ソウルから来日したイ・フィジョンは、自身が出演した「カラマーゾフの兄弟」について「ドストエフスキーによる原作の膨大な内容から、お父さんと4人の兄弟のエピソードに絞って描いています。生と死、善と悪、人間の本性を深く覗き込むような作品です」と解説。演劇祭については「作品の迫力と感動が皆様に伝わることを期待しております」とコメントした。

「演劇祭に招待していただき感謝しております」と謝辞を述べるタン・メイユンは、“台湾オペラ”とも呼ばれる「歌仔戯」について「東方の歴史、愛と平和をテーマにした時代劇です。伝統的な作品ですが、それを現代の手法で作り直ました」と紹介し、「8K映像を通して日本の方々にも作品を楽しんでいただきたいです」と観客に呼びかけた。

韓国のエンタテインメント作品を紹介している田代は「映画、ドラマ、ヒップホップと、現在は“第3次韓流ブーム”と言われていますが、私が次に観てもらいたいのは韓国のミュージカルです。その魅力を多くの人にお伝えしたいのですが、現地まで観に行くことはハードルが高いと感じられている方や、言葉の壁に尻込みをされる方が多いです」と現状を語ると共に、同演劇祭については「海外作品を身近に観ていただける大きなきっかけになるのではないかなと、すごく期待しています。いち舞台ファンとしても字幕付きの映像で内容を理解しながら観ることができるのはうれしい限りです」と感慨を述べた。

錦織は「今の日本の演劇界は、何を観るか?よりも、誰を観るか?ということに偏っている傾向にある気がしますが、越智代表のお芝居への取り組み方は作品重視なんです。越智さんの熱意に打たれて僕は今、本当に幸せな人生が送れています」と越智代表に視線を送りつつ、「その越智さんが今度は最先端の8Kという技術で演劇を広めていこうとされていて、最初はびっくりしましたが、その新たな夢に微力ながら力添えができれば幸いです」と言葉に力を込めた。

このあと行われたシンポジウム「8K映像演劇が拡げる観光・文化交流」には、NHKエンタープライズの関山幹人エグゼティブプロデューサー、愛媛・道後温泉旅館協同組合の河内広志副理事長、越智代表、田代、「カラマーゾフの兄弟」のプロデューサーであるキム・スジン、タン・メイユンが出席。

シンポジウムでは、越智代表が「世界にまだ数台しかない」と紹介した大きなプロジェクターによって、演劇祭参加作品の8K映像のデモが上映されたほか、ロシア作品「理性の睡眠(ゆめ)」脚本・演出・主演のセルゲイ・ベズルコフからのメッセージも紹介された。

シンポジウムの締めくくりとして、登壇者がそれぞれ挨拶。タン・メイユンは「8K映像で観ることで、作品との距離を縮めていただきたいです」、キム・スジンは「この機会に韓国の演劇やミュージカルにも関心を持ってほしい。これからたくさんの舞台芸術が8K映像化され、演劇祭が発展することを願っております」と期待を込める。錦織は「なにより、8K映像が演劇に対して味方でいてくれることがが心強いです」、田代は「ミュージカルファンが集うフェスティバルになることを心から願っております」とコメントした。

関山エグゼティブ・プロデューサーは「映画祭では400インチの大画面で8K映像をご覧いただけます。昭和には街頭テレビというものがあり、映像体験をみんなが共にした時代がありましたが、世代が変わり、これからは8Kが人を集める新しい広場のような機能を持っていくのではないでしょうか。映画祭ではぜひ主役の方だけでなく、皆さんの観たいところをご覧ください。違った演劇の楽しみ方ができると思います」と呼びかけ、河内副理事長は「愛媛県内外の多くのお客様に8K映像を体感していただきたいです」とアピールした。

最後に越智は「人の心に国境はありません。海外の舞台も日本の舞台と同じく感動できるという体験をしていただきたい。それに耐え得る映像を提供できるのではないかと。予約も必要なく、無料ですので、ぜひ演劇祭に来ていただければと思います」と結んだ。

「アジア8K映像演劇祭2018」は明日10月21日まで開催。なお12月16日まで坊っちゃん劇場で公演中の「よろこびのうた」は、10月20・21日に徳島・あわぎんホール 徳島県郷土文化会館、11月28・29日には東京・ティアラこうとう 大ホールで公演を行う。

「アジア8K映像演劇祭2018」

2018年10月20日(土)・21日(日)
愛媛県 坊っちゃん劇場

上映作品

10月20日(土)
9:30~ 「よろこびのうた」
12:30~ 「歌仔戯<余太君掛師 Heroine of the Yangs>」
15:30~ 「笑う男」

※「歌仔戯<余太君掛師 Heroine of the Yangs>」の「余」と「師」は中国語が正式表記。

10月21日(日)
9:00~ 「カラマーゾフの兄弟」
11:00~ 「理性の睡眠(ゆめ)」
13:30~ 「ポストマン」

※「歌仔戯<余太君掛師 Heroine of the Yangs>」の「余」と「師」は中国語が正式表記。

坊っちゃん劇場 ミュージカル「よろこびのうた」

2018年1月27日(土)~12月16日(日)
愛媛県 坊っちゃん劇場

2018年10月20日(土)・21日(日)
徳島県 あわぎんホール 徳島県郷土文化会館

2018年11月28日(水)・29日(木)
東京都 ティアラこうとう 大ホール

脚本:羽原大介
演出:錦織一清
音楽監督・作曲:岸田敏志
振付・ステージング:神在ひろみ

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