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LiLiCoのこの映画、埋もらせちゃダメ!

異色作だけどもっと注目してもらいたい『サイコ・ゴアマン』

月2回連載

第73回

B級モンスター映画のようだけどストーリーがしっかりとしていて面白い!

今回ご紹介するのは、異色作だけどもっと注目してもらいたい2作品をピックアップしました。まずは『サイコ・ゴアマン』。意外でしょ(笑)。

ミミと兄のルークは庭で遊んでいるときに、あるものを偶然掘り当ててしまいます。それは、はるか大昔に銀河を滅亡の危機に陥らせ、その後に眠らされていた銀河の破壊者“残虐宇宙人”!

『サイコ・ゴアマン』

近寄るものを容赦なく殺しまくるはずの残虐宇宙人は、ミミたちを襲う……ことはしません。なぜならミミが残虐宇宙人を操ることができる宝石を手にしていたから。見た目からして相当コワイ残虐宇宙人は、ミミに“サイコ・ゴアマン”と名づけられ、遊び相手としていじられまくることに。

一方、残虐宇宙人が復活したことを察知した銀河系の正義の味方“テンプル騎士団”は宇宙会議を開き、地球に最強の怪人パンドラを送り込むのですが……、というSFモンスター&スプラッターでコメディです。

『サイコ・ゴアマン』

いやー、これは笑った。なんせ宇宙人は着ぐるみの安いB級モンスター映画のようなんですけど、ストーリーがとてもシンプルでありながらしっかりとしていて面白い!

ミミがめちゃ強いキャラクターとして描かれていて、反抗心や冒険心が旺盛っていうところが非常に今らしくて一気にのめりこみました。ぜひともビールを飲みながら楽しみたい作品(だけど、飲むときだけマスクを外してね)。

『サイコ・ゴアマン』

また、宇宙から来た殺戮モンスターが、ミミが持っている宝石の力で、みるみる魅力的なキャラクターになっていくだけじゃなく、残虐宇宙人なんて恐ろしい名前がついているモンスターがどんどん地球の魅力に負けていくんですよ。

ビビりのモンスターを見ていると、『マーズ・アタック!』の火星人を思い出しちゃう(笑)。また、残虐宇宙人を始末しにやってくる宇宙人も、見た目からして強烈なのばっかり。中には日本語をしゃべるというモンスターもいますよ(笑)。

『サイコ・ゴアマン』

80年代の雰囲気の中、主人公ふたりの美貌と淡く切ない初恋に浸って欲しい

さて、もうひと作品は『Summer of 85』。夏の終わりにぴったりな、ひと夏の恋を描くロマンス映画です。

1985年夏のフランス、ノルマンディー。16歳のアレックスはヨットで沖に出たものの、嵐にあって転覆。その窮地を18歳のダヴィドに助けられます。それをきっかけにふたりは急接近。

『Summer of 85』

友情はやがて愛となり、アレックスにとっての初恋となりました。ダヴィドの提案で「どちらかが先に死んだら、残された方は墓の上で踊る」なんて誓いをたてるほど。

ところがその甘い恋愛は長くは続きません。ある女性が現れたことをきっかけに、ダヴィドの気持ちは離れていきます。嫉妬にかられるアレックスが重くなり、ダヴィドはどんどんと遠くへ。そんなときに、アレックスは交通事故にあってしまいます。

『Summer of 85』

フランソワ・オゾン監督の最新作です。オゾンの作品は大好きで欠かさずに観てきましたが、この作品は彼の初期の作品のような手触り。すごくピュアな初恋を、ストレートに描いているんですよ。しかも、ノスタルジックで微妙な色彩感覚と80年代のヒットソングで、1985年という時代の雰囲気を映し出していて、とてもお上品。

『Summer of 85』

そして、主人公のふたりを演じたフェリックス・ルフェーヴルとバンジャマン・ヴォワザンの美しいことったら! アレックス役のフェリックスは本作のオーディションで大抜擢された新人、ダヴィド役のバンジャマンはすでに活躍している俳優ですが、日本ではまだまだかな? 知名度がそこまで高くないからこそ劇中の恋に説得力が増すんじゃないかな。

『Summer of 85』

彼らをスクリーンで観たら「80年代にいたよね、こういう美少年!」と言いたくなるはず。ぜひともスクリーンでその美貌と淡く切ない初恋に浸ってください。

※次回は9月3日(金)に更新予定です!

取材・文:よしひろまさみち 撮影:源賀津己

(C)2020 Crazy Ball Inc.
(C)2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINEMA-PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES

プロフィール

LiLiCo
1970年11月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、芸能界へ。01年からTBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するほか、女優、ナレーター、エッセイの執筆など幅広く活躍。

夫である純烈の小田井涼平との夫婦生活から、スウェーデンで挙げた結婚式の模様、式のために2カ月で9kgに成功したダイエット術、スウェーデン育ちならではのライフスタイルまで、LiLiCoのすべてを詰め込んだ最新著書『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』が、2019年9月に講談社より発売された。

『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』

講談社 1400円(税別)
発売中

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