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ポリゴン・ピクチュアズの可能性を最大限に 『HUMAN LOST 人間失格』プロデューサー陣が制作の裏側語る

リアルサウンド

19/11/15(金) 12:00

 11月29日公開のアニメーション映画『HUMAN LOST 人間失格』の業界人トーク付き先行試写会が11月14日に都内で開催され、監督の木崎文智、コンセプトアートの富安健一郎、アニメーションプロデューサーの森弘光、企画・プロデュースの橋本太知、アニメジャーナリストの氷川竜介が登壇した。

【写真】『HUMAN LOST 人間失格』ポスター画像

 本作は太宰治の『人間失格』を屈指のクリエイター陣が再構築したオリジナルアニメーション映画。医療革命により死を克服した昭和111年の東京を舞台に、体内のナノマシンをネットワーク管理する究極の社会システム“S.H.E.L.L.”(シェル)体制によって生かされる人々を描く。文明の再生と崩壊の二つの可能性の間で大きく揺れ動く日本で、薬物に溺れ怠惰な暮らしを送る大庭葉蔵は、謎の男・堀木正雄とともに、特権階級の住まう環状7号線内(インサイド)への突貫に参加し、激しい闘争に巻き込まれる。

 トークイベントでは、本作に関わったクリエイター陣による、本作の制作過程や、CGアニメの最前線をテーマにトークを展開。ポリゴン・ピクチュアズでの課題について森は、「初期の脚本とコンセプトアートの中には、正直『すみません、できません』というものもありました。でもそれはCGアニメではよくあること。すり合わせをしてく中で、作品として何を求めていくのかというところに時間をかけました」と経緯を説明。富安は「コンセプトアートには、みんなのクリエイティビティを刺激するという役割がある」とし、「こういう表現方法もあるんじゃないかという提案も含めて提出しました」と解説した。

 制作過程の時系列について橋本は、「最初に冲方さんから“死なない世界”というコンセプトが出て、そこから木崎監督、富安さんによる “S.H.E.L.L”(=国民の健康を管理し無病長寿を保障する国家機関)のアイデアが生まれ、ここにコザキさんのダークヒーロー像が加わる。これが三種の神器となり、開発に入っていたという流れです」とコメント。ほぼ1年という期間をディスカッションに費やしたという。

 富安は、『HUMAN LOST 人間失格』に流れる“何か欠落した世界”を、前輪のないバイクや足の数を減らした警察犬のドローンで表現したという。「何かLOSTしているという感覚を作品全体に漂わせる。そういうところから攻めていくというのが根幹にありました」と解説した。

 森は、「ポリゴン・ピクチュアズのポテンシャルを最大限に出した作品です。すごいメンバーが揃う中で、とてもいい仕事ができたので、たくさんの方に観てほしいです」とアピール。最後に、MCを務めた氷川が「CGは長らく、冷たい、硬いなどと言われてきたけれど、そのCGで命を描くというのがどういうことなのか。ポリゴン・ピクチュアズの作品にはいつもそんな要素が入っている気がします。そして今回はその集大成だと思います。『生きるってどういうこと?』と考える若い人たちが多いので、そういった方たちにも響くといいなと思っています」と締めくくった。

※大庭葉藏のぞうは旧字体が正式表記。
※木崎文智の「崎」は「たつさき」が正式表記。

(リアルサウンド編集部)

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