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久保史緒里「なんとも愉快な現場です!」 舞台『夜は短し歩けよ乙女』インタビュー

ぴあ

久保史緒里 撮影:藤田亜弓

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森見登美彦の大人気小説『夜は短し歩けよ乙女』が「ヨーロッパ企画」上田誠の脚本・演出で舞台化。6月6日(日)に開幕する。歌舞伎界の中村壱太郎と乃木坂46の久保史緒里がW主演をつとめるほか、竹中直人や鈴木砂羽ら個性的なキャストが揃う本作。果たしてどのような作品になろうとしているのか、稽古場にて“黒髪の乙女”役の久保史緒里に話を聞いた。

もう半分は心を開いています

――お稽古が始まって1週間というところですが、現場はいかがですか?

なんとも愉快な現場です(笑)。本当に毎日楽しくて。稽古初日の前夜は、緊張しすぎて泣いていたくらいだったんですけどね(笑)。今でも毎日緊張はしているのですが、みなさんすごくおやさしくて楽しい方々なので、早い段階で打ち解けることができたかなと思っています。

――久保さんは人見知りだとおっしゃっていましたね。

そうなんです……。でももう半分は心を開いています。これは早いほうなんですよ。心を開いていくのにつれて、“黒髪の乙女”について「こういう感じかな」と自分で考えたことを稽古場でやってみる、という作業ができるようになってきました。

――お稽古はどうですか?

お芝居も愉快で(笑)、稽古中、みなさんよく笑うのですが、誰よりも(脚本・演出の)上田さんが笑っています。内容もすごいことになっていますよ。まず、登場人物もすごく多いので。

――次から次へと個性的な人が登場するような作品ですもんね。

はい。最初はキャスト21人って多いのかなと思ったのですが、全然足りていないくらいで。私と壱太郎さん以外はみなさんいろんな役を演じていらっしゃいます。

どのシーンも人がたくさんいて賑やかだし、それぞれの登場人物が本当に素晴らしいので、私が演じる“黒髪の乙女”のテンションといいますか、彼女が自分の好きなことや興味のあること、楽しそうなことに夢中になる瞬間の気持ちの上がり方を、もっと上げられるようにしなくちゃなと思っているところです。それは舞台での表現だからというのも大きいのですが、みなさんがすごいので。

――濃厚なお芝居をなさる方ばかりだから。

上田さんにも、「“黒髪の乙女”が歩くことで物語が進んでいくようにしたい」と言われているのですが、今はまだみなさんに負けちゃっていて、受け手みたいになってしまっているんですよ。いかにそこに振り回されないかは、今の私の課題でもあります。

――確かに小説でも“黒髪の乙女”って台風の目みたいな感じがありますよね。周りは暴風雨だけど、彼女だけ無風というような。

そうなんですよ! すごくそう! 彼女は自分を持っている人なのですが、「芯がある」というよりは、「自分の世界観を持っている」という感じで、そこが魅力になって、いろんな人と出会っていくような話でもあるので、それをちゃんと確立しないといけないなと思っています。

お芝居をするということを心から楽しんでいます

――“黒髪の乙女”が歩くところには、人も次々出てきますが、場所も次々と変わるし、出来事も次々と起こりますよね。そこは舞台でどう表現されているのですか?

どう言うんでしょうね……まさに舞台!っていう感じです。みなさんの引き出しを全部開けて、知恵を出し合って、その全部を上田さんが逃さずに拾い上げて、各所で披露されていて、「うん、舞台だなあ!」という感じです。お話はすごいスピードでどんどん進んでいくし、いろんな人が入り乱れていますよ。

――その真ん中に“黒髪の乙女”がいるということですか?

そうです。実は私、そこにウルっとしちゃって。

――ウルっと?

劇中で、“黒髪の乙女”が出会った人たちが、“黒髪の乙女”の知らないところで出会ったりするんですよ。それを見ると「出会ってる!」ってすごくうれしくなっちゃうんですけど、作品が進むにつれて、そういうご縁の糸が繋がって、ひとつの輪になっていく感じが、舞台でも小説通りに描かれていて。そこにグッと来てしまいました。

――久保さんが好きなシーンはどこですか?

稽古をしていてキャスト人気No.1なのは、「夏」(※本作は春・夏・秋・冬の4部構成)の、“黒髪の乙女”が“京福電鉄研究会学生”と出会うシーンです。私も稽古で毎回笑ってしまうのですが、演じる中村光さんがすごいんですよ。もともと不思議すぎて掴みどころのない方なのですが、演じていても掴みどこがなくて(笑)。上田さんはもう、光さんが出てくるだけで笑っていらっしゃるくらいです。なのでそこはぜひ「すごい人が出てくるよ」って感じで、楽しみにしてほしいです。

それと、「春」の李白さん(竹中直人)との飲み比べのシーンも好きです。“黒髪の乙女”がそれまで練り歩いて出会った人たちとのご縁があるから、李白さんとの飲み比べができると思うので、そこは小説を読んでいてもワクワクしましたし、実際に演じていても楽しいシーンになっています。この作品の中できっと最初にいろんな人とのご縁を感じるシーンなので、好きですね。

――久保さんが楽しんでいるのが伝わってきます。

楽しんでます。めちゃめちゃ楽しんでます。みなさんが私の心のバリアをどんどん剥がしてくださって、“黒髪の乙女”として生きる時間がとても楽しくて。お芝居をするということを心から楽しんでいます。こんなに早い段階で「楽しい!」ってなることはなかなかないので。新しい経験です。

――W主演で“先輩”役の中村壱太郎さんはどんな印象ですか?

壱太郎さんとはラストでしか一緒に演じられないのですが、舞台上では“先輩”にしか見えないです。本当にすごい方で、稽古初日からいきなり台本も手放されていましたし、真面目で休憩時間もずっと台本と向き合っていらっしゃいます。現場をすごく引っ張ってくださいます。

――先日、ぴあアプリで壱太郎さんと白石隼也さんにお話をうかがった時、おふたりも久保さんは“黒髪の乙女”にぴったりだとおっしゃっていました。

舞台『夜は短し歩けよ乙女』中村壱太郎×白石隼也「原作のワンダーランド感、増してます!」

ええ、うれしい~! それだけで自信になります。やっぱりまだ自信はないので。本当にみなさんがすごすぎて。引き出しが無限なんですよ、みなさん。(鈴木)砂羽さんの引き出しの数なんて本当にすごいですよ。共演シーンだけじゃなくて、自分が出てないシーンも含め、どこを見ても学びしかないので、めちゃめちゃ吸収しています、今。

素の「久保史緒里」としても楽しんでいる部分をみていただければ

――上田さんに言われて印象的だったことはありますか?

“黒髪の乙女”を演じるうえで、これで変わったなと思う一言がありまして、「彼女は、何が起きても、どんな人が来ても、基本ポジティブに捉えるし、受け入れる。その感覚を持っていてほしい」って。そうだなと思って、それから、(劇中で)出会う人との関わり方や距離感が変わりました。

――では最後に、この作品で久保さんが初めて見せる姿を教えてください。

え、なんだろう! 物理的な意味での初めては「ラップ」です。「ポエトリーラップ」というものがありまして、そこは今かなり苦戦していることでもあります(笑)。それともうひとつ、今までの私は舞台上ではいつも「役」としていたのですが、今回は、共演者の方と目を合わせる時に「久保史緒里でもあるな」と感じる瞬間が多いです。

上田さんが以前、「この座組の関係性がもろに出る舞台だと思っています」という話をされていたのですが、そういう意味でも、みなさんのおかげで素の自分で舞台に上がっても怖くないような感覚があります。そのくらい楽しんでいる部分をお見せできるのは舞台では初めてかなと思うので、そこもぜひ観ていただければと思います。



取材・文:中川實穗 撮影:藤田亜弓

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舞台『夜は短し歩けよ乙女』
原案・原作:森見登美彦
劇作・脚本・演出:上田誠
出演:中村壱太郎 / 久保史緒里(乃木坂46)
玉置玲央 / 白石隼也 / 藤谷理子 / 早織
石田剛太 / 酒井善史 / 角田貴志 / 土佐和成 / 池浦さだ夢 / 金丸慎太郎 / 日下七海 / 納谷真大
鈴木砂羽
尾上寛之 / 藤松祥子 / 中村光 / 山口森広 / 町田マリー
竹中直人

【東京公演】
2021年6月6日(日)~2021年6月22日(火)
会場:新国立劇場 中劇場

【大阪公演】
2021年6月26日(土)・2021年6月27日(日)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2170716&afid=520

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