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【おとな向け映画ガイド】

強欲で傲慢で悪趣味『グリード ファストファッション王国の真実』、アクションスター岡田准一が光る『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』の2本をご紹介。

ぴあ編集部 坂口英明
21/6/13(日)

イラストレーション:高松啓二

今週末(6/18〜19)に公開される映画は18本。ロードショー本数、公開劇場数はほぼ復調です。全国100スクリーン以上で上映される作品は『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』『モータルコンバット』『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』、以上4本。外国映画話題作もラインナップされています。そのなかでご紹介する作品は、イギリス製 過激ブラックコメディと、岡田准一主演 異色アクションの2本です。

伝説の実業家のやばい裏顔
『グリード ファストファッション王国の真実』



いかにもイギリス製のブラックなコメディであります。主人公はイヤ~な奴です。強欲(グリード)で傲慢で悪趣味。それを徹底的にからかいまくって、結末まで容赦しません。イソップ物語のような因果応報のドラマです。

イギリスの人気ファストブランド「TOPSHOP」を持ちながら、2020年に経営破綻した、アルカディア・グループの総帥、フィリップ・グリーン卿がモデルです。役名はリチャード・マクリディ卿(スティーヴ・クーガン)。あやしげな金融取引、強引な企業買収、ちゃっかり脱税、アジアでの労働搾取の結果、大富豪となった彼が、60歳の誕生日に、ギリシャ・ミコノス島で大パーティを開こうとするまでの6日間を映画にしています。

この場所を選んだのは、映画『グラディエーター』のファンで、あの円形闘技場を島の中に再現し、パーティ会場にしようと考えたからです。ライオンを用意し、奴隷たちを戦わせ、それをみながら古代ローマの扮装をしてシャンパンを飲むという、いかにも趣味の悪いお金持ちが考えそうなアイデア。

しかし、世の中そんなにうまくいくわけはなく、パーティの6日前にもかかわらず準備は遅々として進んでいません。安物映画のセットのような闘技場は、ベニア板むき出しの状態。ギリシャ人の親方とブルガリア人労働者が仕事そっちのけで給金額交渉を続けています。高級リゾートなんですが、ビーチにはシリア人難民のテントが……。そんななかで、罵りまくっているのがマクリディ卿です。

映画は彼の、これまでの人生をインサートし、世界の安い労賃に支えられたファストファッションの真実をあばきます。脚本・監督はマイケル・ウィンターボトム。この25年に30本の映画を作った職人監督です。

【ぴあ水先案内から】

高松啓二さん(イラストレーター)
「……クルーザーやセレブなど無邪気に悪趣味な成金生活を謳歌していると思えば、ビジネスでは冷酷な守銭奴となる。…チャラいファッションセンスとシビアなビジネススタイル……」
https://bit.ly/3xfmlxG

超ネコ舌のヒットマン
『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』



このアクション、日本映画の枠を超えている!と大興奮させてくれる作品です。コミック原作の大ヒットシリーズ2作目。肉弾合い撃つバトルだけでなく、建物をつかった大掛かりな追走シーンなどで、ハラハラドキドキ具合は前作以上といえます。パワーアップの「首謀者」は、ファイトコレオグラファーをも務めた俳優、岡田准一です。

どんな相手も6秒で仕留めるという、天才的な”技術”を持つ、殺人マシーン、通称ファブル(寓話)が岡田の役。師と仰ぐボス(佐藤浩市)から1年間殺人を禁じられ、いまは「殺さない殺し屋」です。彼の生い立ち、ボスとの関係などは第一作で描かれていますが、相棒のヨウコ(木村文乃)と兄妹を装って、大阪の下町でひっそりと暮らしているという設定。

殺し屋といえば、ストイックで寄るべない存在、がふつうですが、このファブルが面白いのは、なんか、この男、人づきあいがよく、実に愛すべきキャラの持ち主で、どこか浮世ばなれしたところがあることです。極端なネコ舌、変なコメディアンに夢中で、しかもワンテンポおくれてバカウケする。妙にかわいいイラストを描いたり……。

今回の悪役は、表の顔は子どもを守るNPO団体の代表、裏の顔は犯罪組織の親玉・堤真一。彼の腹心の部下が安藤政信です。車椅子の少女ヒナコ(平手友梨奈)との再会がこの悪役たちとのバトルを呼ぶことになり……。

ファブルが務めるデザイン会社のスタッフはおとぼけ担当・佐藤二朗以下前作と同じで、これが相変わらずおかしい。大阪でのファブルの協力者・安田顕はカメオ出演。登場すると「おお!」と声がでてしまうくらいのインパクト。相棒・木村文乃は岡田指導によるアクションシーンもあり、さらに存在感増してます。そんなふうに、前作を観た方たちへのめくばせもしつつ、観ていなくても十分に楽しめるように作られています。きっと配信などで前作を後追いしたくなるはず。

【ぴあ水先案内から】

野村正昭さん(映画評論家)
「……彼が駆けぬけるシーンは、全盛期のジャッキー・チェン作品を彷彿とさせる……」
https://bit.ly/3gq2Mf8

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