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伝説のアルバム「宇宙船地球号」完全再現配信ライブを開催

ぴあ

写真/岩佐篤樹

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44年前のLAZYデビューシングル発売日となる7月25日(日)にLAZYとして初の配信となる。「7 SAMURAI PROJECT LAZY「宇宙船地球号」完全再現配信ライブ」が開催された。 太陽の光が地球を照らす壮大な映像が、ステージ中央のヴィジョンに映し出された後、『宇宙船地球号』のアルバムジャケットのアートワークが神々しくそこに掲げられ、ステージを見守った。SEは、LAZYの最後のライブで使われた第1期のSE。宇宙映画を思わす壮大なそのSEは、幕開けの高揚感を煽るにはもちろん、当時を知るファンにとっては最高に感動的なポイントとなったに違いない。

高崎、樋口宗孝の一番弟子であるという加藤剛志、JAM Projectのバンマスでもある山本直哉、井上、の順にステージに姿を現し定位置に着くと、アルバムの1曲目を飾る「DREAMER」が放たれた。

アルバムに収録された原曲の素晴らしさも然る事乍ら、それぞれがミュージシャンとして重ねたキャリアとスキルが深みとなって、最強の「DREAMER」となって放たれたのである。イントロで下手から走り出て来て、センターで流石のボーカル力をヘヴィなサウンドに乗せた影山。揺るぎない伸びやかな圧巻のボーカルは当時以上にパワフルであったのに加え、白いマイクスタンドを操りながらパフォーマンスするヤンチャな姿は紛れもなく“あの頃のままのミッシェル”だった。

圧巻のギターソロ、間奏後の息の合ったブレイク、ギターと鍵盤のユニゾン。ステージに立つ彼らに、“あの頃のまま”という懐かしさを感じさせられつつも、さすがの演奏力に、今もなお、こんなにも成長し続けているバンド力を感じ、息をするのも忘れる勢いであった。間髪入れずに届けられたのは「DREAMY EXPRESS TRIP」。その曲は、ライブ前に公言していた“高崎晃によるボーカル”で届けられた。2曲目に高崎のボーカルのLAZYを聴けるのも、この企画ならではの最高の演出であった。『宇宙船地球号』のアルバム収録順のセットリストとあって、画面越しにライブを観ていたオーディエンスの頭の中には、前曲のアウトロで早くも次曲のイントロが流れていたに違いない。が、しかし、それは退屈な予定調和の出来レースに映ることは全くなかった。広いステージを上手く使いこなす影山の“魅せ方”は、バンドのみの世界では培えなかったであろう、アイドル時代に習得したのであろうカメラワークに対してのアプローチも大きく影響していると感じた華やかさがあった。そんなアイドル時代から、間奏では一瞬にしてアイドルから離脱し、輝かしいライトハンドを披露していた高崎。もちろん、この日もラウドネスのギタリストとなってからも世界を唸らした絶品のライトハンドで楽曲を彩った。

「天使が見たものは」で高崎が魅せた哀愁のアルペジオも、“世界の高崎晃”を感じさせる憂いを漂わせ、激しさと力強さだけでは無い高崎晃のギターの魅力をまじまじと感じさせられる瞬間の連続を、早くも3曲目にして味わうことが出来た。柔らかなメロディの中にエッジの効いた鍵盤音を差し込む井上のセンスも、LAZYのサウンドに無くてはならない重要な音である。シンバルを両手で静かに叩くプレイスタイルが樋口宗孝を彷彿とさせる加藤のドラミングも、主張し過ぎず全体のサウンドを大きく支える山本のベースも、とても大切にLAZYの音を積み上げていった。後半の激しい展開への見せ場の高揚感はあのときのままである。この激しい場面展開の物語を見事に歌い上げていた影山はホンモノである。ここまで素晴らしい表現力を持つボーカリストには、なかなかお目にかかれない。

MCでは約1年半ぶりとなるLAZYのステージが、『7 SAMURAI PROJECT』という新たに発足したプロジェクトの第一弾であることを説明し、それぞれを当時のステージネームであるミッシェル、スージー、ポッキーで紹介しつつ、近況を報告した。

洋楽からの色濃い影響を感じさせるリフを持つ「TIME GAP」や、当時LPのA面を締めくくっていた壮大なインスト「遥かなるマザーランド」と続けられたのだが、この曲達をオリジナルメンバーによって、2021年という未来であった現代にリアルに体感させてもらえているという幸福感にただただ包まれた瞬間でもあった。ここで急いでLPをひっくり返し、B面の1曲目である「EARTH ARK(宇宙船地球号)」に繋いだものだが、ライブでは「遥かなるマザーランド」「EARTH ARK(宇宙船地球号)」と間髪入れずに届けられたのだった。 「遥かなるマザーランド」のスモーク、「EARTH ARK(宇宙船地球号)」のステージ後ろから彼らを浮かび上がらせたブルーの照明。その全てが掲げられた『宇宙船地球号』のジャケットアートワークを幻想的に演出していた。

「こうやって演奏してると、目の前にお客さんが居てくれないのが、なんか悪い冗談みたいに思えるんだけど、みんなが家でめっちゃ盛り上がってくれてることを信じてます!このアルバムは1980年くらいにレコーディングしてリリースされたLAZY最後のスタジオアルバムです。今から41年前にこのアルバムを当時ハタチくらいの自分達がレコーディングしたんだなって思うと、すごい感慨深いものがあります。あの頃は本当にアナログな時代で。樋口さんがカウントを入れて、みんなで音を出すっていうスタイルで全ての曲がレコーディングされました」(影山)

影山の言葉を中心に3人は“5人で力を合わせて作った手作りのアルバムだった”と、当時を振り返った。そして、この『宇宙船地球号』が、これからも自分達のターニングポイントであることは間違いないと語ったのだった。その言葉は、当時から彼らを支えて来たファン達にとっても、ここでこのアルバムに出逢うことになった新たなリスナーにとっても、心に深く刻まれる一言になったであろうと感じた。

「今日の様な機会を持てたことを嬉しく思います。そして、この企画を作ってくれたタッカン(高崎)に感謝します」(影山)

41年。残念ながら樋口と田中の姿はそこには無く、当時のままでは無いが、影山、高崎、井上と、当時を知るファン達が、未来を向いて集まれている今という奇跡を、改めて嬉しく思った。

そんなMC明けに届けられたのは、「僕らの国でも」。

“当時このアルバムを作っていたとき、ヨーロッパで戦争が起こっていた時でもあって、たくさんの人たちが亡くなったり苦しんでいる状況を目の当たりにして、自分たちなりに世の中に対して思う事を書いて曲を作ったというのは大きかった”(井上)と、インタビューで教えてくれた井上。この曲をキッカケに『宇宙船地球号』は生まれたのだと言う。

小学生だった当時の筆者は、そこまで深く歌詞の意味を理解せずに聴いていたこともあり、後から歌詞を目で追いながらこの曲を聴き返した。深く、大切なメッセージがそこには描かれていた。41年という時を経て、改めて出逢いなおしたこの曲の意味と、世界がコロナによって変わってしまった今、この曲のメッセージに改めて向き合うことになった意味に、偶然では無い必然を感じた気がした。

本編・第一部をアルバムのラスト曲「LONELY STAR」で締めくくると、彼らは、アンコールとして用意された第二部で、いろいろな時代とメッセージを込めた展開をオーディエンスにプレゼントしたのだった。

LAZY 40周年のときにリリースされた最新のLAZYの楽曲「Wandering Soul」と「1977」を届け、その進化を見せつけた後、高崎のこんなメッセージを挟み、『7 SAMURAI PROJECT』の為に作られたと言う「All will be Fine with You」が贈られたのだった。

「このコロナの中で、元気を無くしている人も多いと思いますが、僕らの音楽と歌詞で、この苦しい状況を乗り越えてもらえたらなと思います。自分も幾度か精神的にまいったときとか、音楽とかロックに助けられてここまで来たんで、今、自分達が立ち上がって、日本の皆さんやファンの皆さんに元気を与えられたらなと思ってこのプロジェクトを立ち上げました。ずっと続けていくことを望んでいますが、まずは、LAZYで聴いて下さい。僕が書き下ろした曲です「All will be Fine with You」」(高崎)

ギターの音1本から始まる潔く優しいミディアムチューン。それは暖かく包み込みながらも、力をくれ、そっと背中を押してくれるメッセージだった。この曲をLAZYが最初に唄う意味の大きさを魅せられた気がした。

この曲が、『7 SAMURAI PROJECT』を通して、この先の未来に、どんな広がりと笑顔を繋げていってくれるのか、とても楽しみなところである。

そして、アンコールを締めくくったのは、LAZYの代表曲でもある「ベイビー・アイ・メイク・ア・モーション」「感じてナイト」が披露された。ベイ・シティ・ローラーズの様なポップな振り付けを加えながら届けられたヒットチューンは、嫌なことや辛いことも全部投げ出して、何も考えず手放しで楽しむ前向きな時間を思い出させてくれた瞬間だった。

世界的なパンデミックの中で生まれたこの企画が、新たなエンタテイメントの形と、未来を照らす大きなきっかけとなってくれますように。
“地球は一つの大きな宇宙船”
今こそ、『宇宙船地球号』に込められた本当の意味が、どうか多くの人達に届いてくれますように。
そして、多くの人を笑顔に導いてくれますようにーーーー。

取材・文/武市尚子
写真/岩佐篤樹

■視聴チケット
視聴期間:7月31日(土)23:59まで
視聴チケット販売期間:7月31日(土)20:00まで
★公演概要・視聴チケット詳細はこちらからご確認ください。
※よくばりぴあニスト(月額有料会員)は割引価格でご購入いただけます。

-7 SAMURAI PROJECT LAZY「宇宙船地球号」完全再現配信ライブセットリスト-

1.DREAMER
2.DREAMY EXPRESS TRIP
3.天使が見たものは
4.TIME GAP
5.遥かなるマザーランド
6.EARTH ARK
7.僕らの国でも
8.美しい予感
9.LONELY STAR

EN1.Wandering Soul
EN2.1977
EN3.All will be Fine with You
EN4.ベイビー・アイ・メイク・ア・モーション
EN5.感じてナイト

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