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異端の鳥

20/10/6(火)

(C)2019 ALL RIGHTS RESERVED SILVER SCREEN CESKA TELEVIZE EDUARD & MILADA KUCERA DIRECTORY FILMS ROZHLAS A TELEVIZIA SLOVENSKA CERTICON GROUP INNOGY PUBRES RICHARD KAUCKY

紛れもなく恐ろしい。恐ろし過ぎて逆に目が離せなくなった傑作で、11年かけて映画が製作されたなんて知ったら、なおさら、ヴァーツラフ・マルホウルの執念にひれ伏したくなる思いがあります。 全編モノクロ、冒頭、少年が小動物を抱きしめて何かから逃げている姿が映し出されるのだけど、そこからの衝撃なんて序の口であって、状況は徐々に悪化していく。売られ、逃げ出し、ひとり旅を続ける少年は、『母をたずねて三千里』のマルコとは違って、とにかく安住できる地を探しているのだけど、この恐ろしい世界は彼を容易に受け入れ、所有者になっては、とんでもないエゴで少年の世界を覆い尽くす。 あぁ、だからモノクロなんだ。恐ろしく残虐な画を和らげアート的に見せる視覚効果もあるし。そして純粋な子供を少しずつ黒く染めてしまうのは大人のエゴという漆黒なんだ。ホロコーストによって行き場を失い、たったひとりで、たがが外れた大人たちの狂気と対峙するなんてどれだけ辛いことか。 謎の自殺を遂げた原作者のイェジー・コシンスキの小説は残忍極まりない描写で、映像化不可能と言われていた小説を、ここまでリリカルに紡げたのには、俳優の存在感も大きかった。ちらりと顔を出すウド・キアーやらハーヴェイ・カイテルやステラン・スカルスガルドという各国の名優たちも、間違いなくこの脚本に惚れ込んで出演を決めたのだろうし、この映画がデビューで、今まで演技をした事がなかったペトル・コラール少年の魅力たるや! こんな映画のことを“社会を見据える芸術”という気がいたします。

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