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島崎信長×北村匠海「理央を演じる上で大切にしたのは不器用さ」

ぴあ

20/9/16(水) 7:00

島﨑信長×北村匠海

人気漫画家・咲坂伊緒の傑作コミック『思い、思われ、ふり、ふられ』がアニメーション×実写のW映画化を果たす。本作は、『ストロボ・エッジ』『アオハライド』に続く咲坂伊緒の青春三部作最終章。同じマンションで暮らす4人の高校生の恋と青春を切なく瑞々しく描いていく。

特集第1弾に登場するのは、山本理央を演じた声優・島崎信長と俳優・北村匠海。告白できないまま義理の姉となった朱里への恋心を胸に秘めながら、由奈に想いを寄せられるセンシティブな役どころだ。アニメと実写、それぞれフィールドは違うものの、役へ向き合う姿勢には重なるものが。「お話をするのは今日が初めて」というふたりの貴重な対談をお届けする。

観たあとは一粒で二度おいしいという感覚でした(笑)

――まずは試写をご覧になった感想をお願いします!

島崎 アニメも実写もどちらも素敵で。『思い、思われ、ふり、ふられ』という素晴らしい原作をそれぞれ違うビジョンを持って、みんなで誠心誠意つくったことが伝わる内容でしたね。

北村 わかります。それこそシャボン玉とか花びらが舞うシーンは、アニメならではの良さが光る演出。本当にキラキラとしていて、総合芸術だなと思いました。そういったアニメの良さもあれば、僕たちリアルな人間が演じる実写の良さもあって。おのおのの良さが輝く作品になったのかなと。

島崎 僕は気持ちとしては別の作品というつもりで。だから観たあとは一粒で二度おいしいという感覚でした(笑)。

北村 あと面白かったのが、アニメを観ていると、自分が理央を演じたときに見た風景がそこに描かれているような感覚になるんですよ。それが不思議というか。

島崎 わかります。やっぱり自然と理央に目がいくよね。これは北村さんの演技から受けた印象なんですけど、理央を演じる上で大事にした根本の部分は同じなんじゃないかなって気がして。実写とアニメ、生業にしている場所は違うけれど、同じ役者同士、同じ役に向き合ったら大きくは同じ流れになるんだなっていうのが発見でした。

北村 僕も同じです。きっと同じ感覚なんだろうなというのが伝わってきて。これは、演じる僕の特権的な見方になっちゃいますけど、そんなところも面白かったです。

――おふたりが理央を演じるうえで大事にしたところとは?

北村 僕は不器用さですね。理央は一見王子的に見えるんですけど、カッコよく演じようとすると、逆にカッコよくなくなってしまうんです。理央が無自覚的に発する言葉が誰かを救っていたりして。でも本人はそこにまったく気づいていないのが理央の良さ。だから、いわゆるキラキラ要素というよりも、もっと人間臭いところ、ひとりの人間として呼吸をしている土臭さみたいなものを大切にしようと思っていました。

島崎 今、北村さんが言ってくれたこととまったく同じことを僕も意識していて。さっきちらっと話したんですけど、ここで理央が変わったとか、ここで恋をしたよねとか、そういう細かいターニングポイントも一緒で、うれしかったです。

北村 僕もうれしかったです。同じ役を別の角度で演じる経験ってなかなかないので、なんだかすごく不思議な感じがします。

あの別れが僕たちを前に進ませてくれた

――本作ではいろんな告白シーンが登場しますが、おふたりは好きになったら自分から告白するタイプですか? それともそっと想いを胸に閉じ込めるタイプですか?

島崎 僕は想いが高まったら衝動的に動いてしまう人間です(笑)。結果、空回っちゃったり、告白のタイミングでコケちゃうこともあるんですけど。わりと自分の気持ちには素直なタイプなのかなと。

北村 僕も自分から伝えますけど、気持ちのままには行けないですね。タイミングをすごく気にしちゃうというか。ただ、計算しすぎることで失敗することもあって。タイミングを探しているうちに、そのタイミングが過ぎ去っていた……ということはありました(笑)。

――本作の特徴が、振られたあとにそれぞれが人間的に成長し、恋が新たな局面を迎えるところです。おふたりの「失恋」に関する思い出を聞かせてください。

北村 この作品ほどのものはないですけど……(笑)。

島崎 あんなドラマチックなのはね(笑)。

北村 ただ、別れが人を強くするというのは信じています。失恋ではないですけど、僕がやっているDISH//というバンドのメンバーのひとりが脱退したすることになって…。そのとき、バンドを続けるか解散するかという選択を提示されると覚悟していたんですけど、メンバーが誰ひとりバンドを辞める気がなくて、これからもDISH//を続けることが正義だって、みんなの心がひとつだったんです。それをきっかけにバンドの結束もより深まって。あの別れは悲しかったけれど、僕たちを確実に前に進ませてくれた。別れは必ずしもネガティブなものではないんだって、あのとき実感しました。

島崎 月並みな言葉だけど、失ってから気づくことっていっぱいありますよね。確かに傷つくし苦しいけど、別れがなかったらわからないこともきっとある。だから、あとはその人の捉え方次第。前向きに考えることができれば、どんな悲しいことでも前に進むきっかけになるし、失敗から学ぶこともあるよなって僕も思います。

――おふたりは傷ついたらすぐ立ち直れるタイプですか?

島崎 僕はすぐ立ち直れます(笑)。ずっとウジウジ悩んでいてもしょうがないじゃないですか。だったら次の反省として活かすか、忘れた方がいいことなら気にしないに限ります。それに、もしそれが悔しさから来るものなら、見返してやるって反骨心に変えればいい。僕はわりと負けず嫌いな方なので、今までもネガティブなことがあったら、それをエネルギーに変えて、その反動でやってきたようなところはある気がしますね。

北村 僕は基本的に滅多に落ち込まないんですけど、落ち込んだときはネガティブにネガティブを掛け算してプラスに変えます。自分で落ち込んだなと思ったときは、無理せずいけるところまで落ちきる! もう明るい曲とか一切聴かない(笑)。そうやって沈むだけ沈んだら、あとはのぼるだけだって気持ちを切り替えます。

中学のとき、文化祭でお姫様役をやりました(笑)

――では最後に、文化祭が重要なシーンとして登場しますが、おふたりの文化祭の思い出を教えてください。

北村 僕は高校時代に文化祭実行委員をやっていて。高2のときに全学年合同の出し物グランプリがあって、それで僕たち2年生が3年生を置き去りにして賞を総なめしたんですよ(笑)。

島崎 そんなすごいものを出したんですか?

北村 僕らはショートフィルムを撮ったんですけど。僕は編集とかをやっていて。賞が決まったときはすごいカタルシスでしたね。そういうグランプリって普通は3年生がメインだから、自分たちが呼ばれるなんてまったく思っていなくて。発表の瞬間、「嘘だろ!?」ってみんなで立ち上がるっていう。あのときはうれしかったですね。

島崎 そんな素晴らしい青春の思い出は残念ながら僕にはないんですけど(笑)、中学のときに生徒会長をやっていて。うちの中学では文化祭で生徒会が演劇をやって、生徒会長はお姫様役をやるという謎の伝統があったんですよ。『眠り姫』みたいなお話なんですけど、僕が最後に復活して、王子様役の男の子をお姫様抱っこして走り回るっていう(笑)。

北村 めっちゃ面白そうじゃないですか(笑)。

島崎 おかげさまでウケました。今考えてもよくわからない伝統ですね(笑)。

撮影/奥田耕平、取材・文/横川良明

※島崎信長の「崎」は「たつさき」が正式表記

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