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「あの日の続きからスタートしよう」 鈴木拡樹&三浦宏規『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』再演への思い

ぴあ

鈴木拡樹&三浦宏規

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ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』が8月26日(木)から東京・日比谷シアタークリエ で開幕する。昨年3月、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、東京公演の一部が中止になってしまった本作だが、主人公のシーモアを演じる鈴木拡樹/三浦宏規(Wキャスト)、ヒロインのオードリーを演じる妃海風/井上小百合(Wキャスト)ら、ほぼ同じメンバーでの再演が実現。鈴木と三浦の“Wヒロキ”に、再演に向けての意気込みを語ってもらった。

やっとあの時の時間が動き出すなという感じ

──2020年3月の公演では、開幕延期に加え、公演も途中で中止になってしまいました。今回、再演が決まったときのお気持ちを教えてください。

鈴木 前回は、一度は幕を開けることができましたので、そういう意味ではホッとしたんです。でも、中止になってしまった回を観劇予定だった方や、地方公演を楽しみにされていた方など、届けるべきお客様がたくさんいらっしゃった。なので、完全に納得いっているのかというと、そうではない状態で終わってしまって。

でも、こうしておよそ1年という短いスパンの中で、再び集まって、上演する機会を作っていただけた。「あの日の続きからスタートしよう」というのが、第一の気持ちです。みんなも同じ気持ちで集まっていたので、実現できたことは、本当に嬉しいです。やっとあの時の時間が動き出すなという感じで、今、稽古に取り組んでいます。

三浦 前回は、周りには1公演もできていないカンパニーもあって、その中で『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』に関しては12回上演をすることができたので、それは本当によかったなと思うんです。でも、そのときはまだ地方公演があるかもしれないという望みを残していた部分があったので、結果、途中で終わってしまった時は、残念というか、悔しいというか、もっとやりたかったなという気持ちが非常に強かったです。

自粛期間の直前までやっていた舞台なので、作品のことをよく思い出していました。そういった意味では、1年ちょっとしか経ってないですけど、熱が冷めやらぬままに、こうしてまた再演ができることを、非常に嬉しく思っております。

──再演の稽古は始まったばかりだと伺いました。今回は新キャストとして阿部裕さん(ムシュニク役)も加わりましたが、前回と比べて、何かカンパニーで雰囲気の違いはありますか?

鈴木 歌稽古は始まっていて、その中でのシーン稽古をやっている最中です。なので、変化については、これから楽しめるのかなと思います。特に阿部さんが新しく入られたことで、どういう変化が生まれているのか、楽しみですね。

左から シーモア役(Wキャスト)鈴木拡樹 三浦宏規、オードリー役(Wキャスト)妃海風 井上小百合

この現場は、演出家の(上田)一豪さんが、稽古前に率先して「ウェーイ!」とみんなのテンションを盛り上げるんです(笑)。その高いテンションで稽古に入っていけるから、楽しいことをしている感覚が強いんですよ。「このテンションに、お客さんを巻き込む!」「楽しいものを届ける!」。そんな感じです。稽古場からいかにテンションを上げているかというのを大事にしていきたいですね。

三浦 前回の公演のときは、すごく楽しい思い出しかなくて。もちろん、公演が一部中止になって悔しい思いもしましたけども、ふと思い出されるのは、みんなで笑いあっていた楽しい思い出ばかりで。

今回、再演の稽古が始まって、また稽古場に行ったときに、予想を超えてくるぐらいの明るさでした(笑)。「すごい楽しかった」という記憶を超えて、とにかく明るい稽古場でした。

今回初めて入られている阿部さんも、すごく優しい方で。もうすでに馴染んでいるというか、和気藹々としています。これから本格的にお芝居を作っていくなかで、この空気感はすごくいいものがまた新たに作りやすくなるんじゃないかなと思っています。

──ちなみに、おふたりとも「ヒロキ」さんですが、お互いをどう呼び合っているんですか?

鈴木 以前僕がMCを務める番組に出演してもらったことがあるのですが、「宏規くん」と呼ぶのは恥ずかしくて、「三浦くん」と呼んでいました(笑)。この『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』では、前回出演していた岸(祐二)さんがつけてくれたあだ名で呼び合っています。シーモアの役をやっている2人で、三浦の「み」をつけた「ミーモア」、鈴木の「す」をつけた「スーモア」と。

三浦 僕は拡樹さんと呼んでいます。周りはだいたい「スーモア/ミーモア」で呼んでいますね。でも、かずさん(※石井一孝)だけが、「拡樹」、「宏ちゃん」と呼んでいますけど(笑)。

鈴木 あだ名をつけてくださった岸さんに感謝ですね。

──素敵なあだ名ですね(笑)。それぞれ、お互いの演じているシーモアの魅力を教えてください。

鈴木 全体的に、シーモアの柔らかさが出ているなと思います。三浦くんが持っている柔らかさなのでしょう。それが人を引きつける部分で、お客さんがとても愛しやすいシーモアなのかなと思いますね。だからこそ応援できるというか、そういう性質を持っているのではないかなと分析しています。

三浦 僕は拡樹さんのシーモアに、知性を感じるんですよ。シーモアは、もちろん賢くはないんですけど、植物に対する知識は人一倍すごい人間。そこの部分が拡樹さんをみていると、尋常ではない(笑)。

鈴木 前のめりだからね(笑)。

三浦 植物のことだけ詳しいんだなというのが見てとれるし、植物以外に対することへの挙動があまりにも不思議というか、無様で不格好で。本当に稽古場から楽しくて、「この子は次、どうなってしまうんだろう?」と、いつも勉強させてもらいながら、楽しく拝見させてもらってました。

「また観たい」と思ってくださったからこそ

鈴木拡樹&三浦宏規

──改めてこの作品の好きなナンバーや好きなシーンがあれば教えてください。

鈴木 全部、好きですね(笑)。その中で一番テンションが上がるのは、1幕最初の「Skid Row」。ギアを上げていかなきゃいけない場面というのもあるんですけど。……どれを選ぶ? ひとつ好きなものを挙げるとしたら。

三浦 ひとつだけというのは、めちゃめちゃ難しいですね。……あえて言うなら、2幕の電話のシーンかな。動きが細かくて、稽古が本当に大変だったんです。次の手順を考えながら動いていた期間が長かったので、何も考えなくてもできるようになってからはすごく楽しいシーンです。

──シアタークリエという劇場で主演されることについては、どんな思いでいらっしゃいますか?

鈴木 僕にとっては、想像していなかったものでした。僕自身、ミュージカル作品にちゃんと出演するのは、この作品が初めて。ご縁があったことが嬉しいですし、挑戦したいと思うきっかけでもありました。

最初に「もし自分が……」とifで考えたときに、自分でも笑えちゃったんですけど、実現できたらすごいなと思いました。これに挑戦することによって、同じように笑っていた人が「ああ、すごい」と思ってくれたら、やりがいがすごく感じられるなと。

シアタークリエ で主演させてもらえる機会をいただけたことに感謝していますし、同時に、この経験を生かせるよう、成長をしていかなくてはいけないなと感じています。

三浦 シアタークリエは、何度も観劇には行っていた劇場ですが、自分が立った経験はありませんでした。初めて立たせてもらうのが主演という形で、もちろん嬉しいんですけど、最初は信じられないという思いの方が強かったかもしれないです。

稽古をしているうちは作品をつくることを必死にやっていたので、あまり実感が湧いていなかったんですけど、初日が開いて、カーテンコールで自分が真ん中にいると実感すると、すごく不思議な感覚でした。嬉しかったし、もっと頑張っていこうという、より強く決意に変わった瞬間でもありました。すごくありがたいなと思いながら、立たせてもらっています。

──最後に観劇を楽しみにされているお客様へ、メッセージをお願いします!

ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』メインビジュアル

鈴木 前回観ていただけた方にも「またやれます」ということを報告したいと思いますし、今回もまた観ていただけるのであれば、この1年の変化を楽しんでいただけるのかなと思います。

前回、開始前にチケット取られていたけれど、観ることが叶わなかった方、地方で待っていた方々。もう一度観ていただける機会を僕たちは手に入れたので、もしその願いが通じて、ぜひ観に来てくださったら。みんなで楽しいものを一致団結してつくりますので、我々はそこに向けて頑張ります。

三浦 こうして再演が、早い段階で決まったことは、お客様が応援してくれて、「また観たい」と思ってくださったからこそ。とにかく自分としては本当に楽しみにしていた作品です。1年という短いスパンでできることに、非常にわくわくしています。

しっかり稽古をして、またより良いものをつくって『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』という素敵な作品を、みなさんにお届けすることを僕自身楽しみにしています。みなさんも楽しみに待っていてください!



取材・文:五月女菜穂



ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』
2021年8月26日(木)~2021年9月11日(土)
会場:東京・シアタークリエ

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