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ビジュアル撮影後のロケットボーイズを直撃!ミュージカル『October Sky』甲斐翔真×阿部顕嵐×井澤巧麻×福崎那由他インタビュー

ぴあ

左から 福崎那由他 甲斐翔真 阿部顕嵐 井澤巧麻 撮影:源賀津己

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元NASAの技術者ホーマー・H・ヒッカム・Jr.の自伝小説『ロケットボーイズ』を原作に、ジョー・ジョンストン監督がメガホンを握った青春映画(1999年公開)をミュージカル化した『October Skyー遠い空の向こうにー』。米シカゴとサンディエゴにおける2度のトライアウト公演を経て、日本初上演となる今回の演出には板垣恭一が起用された。

劇中では、アメリカの小さな炭鉱を舞台に、厳しい現実に直面しながらもロケットに夢を賭ける高校生の奮闘や彼らを取り巻く人間模様が展開。ロケットに魅せられ「いつか打ち上げたい」と夢見る主人公ホーマーを甲斐翔真、その悪友で義父の暴力に苦しむロイを阿部顕嵐、明るい性格で抜群のユーモアセンスを発揮するオデルを井澤巧麻、いじめられっ子ながら優れた科学の知識で研究に貢献するクエンティンを福崎那由他が演じ、4人で打ち上げを目指す「ロケットボーイズ」に扮する。

ぴあアプリ編集部は、ビジュアル撮影を終えたばかりのロケットボーイズを直撃。日本初演となる作品に向き合う稽古前の気持ちに耳を傾けた。

甲斐翔真 as ホーマー「役者として成長し再演に値する作品づくりを」

甲斐翔真(左) 阿部顕嵐(右)

──日本初演かつ主人公に扮することを、どのように受け止めていらっしゃいますか?

甲斐 僕がこれまで携わらせていただいたのは、繰り返し上演され愛されてきた作品ばかり。だから今回、初めて日本初演の作品に関わらせていただいて、しかも、シングルキャスト。この“白紙”状態からクリエーションするにあたって頼りにできるのは同じカンパニーの皆さんだけですし、自分たちの力だけで日本版を完成させることが今から楽しみです。

一方で、僕たちに懸かっているのは「再演される作品にできるかどうか」──。プレッシャーと責任を感じてはいますが、よくも悪くも僕たち次第。板垣さんご指導のもとで試行錯誤する時間は、役者として成長できるこれ以上ない機会だと考えてがんばります。

──板垣さんから刺激をいただいて、どのように成長したいと考えていらっしゃいますか?

甲斐 板垣さんが演出された『FACTORY GIRLS ~私が描く物語~』(2019年)を拝見して、素晴らしかったですし、オリジナリティにあふれた作品を手がける方だと感じました。歌とダンスにとどまらず、お芝居の要素がふんだんに盛り込まれたミュージカルだったんです。この『October Sky』も父と息子の衝突など感情表現が大切になってくる作品なので、自分からもきちんとアイディアを準備したうえで、板垣さんから吸収できることはすべて受け取りたいと思っています。

──演じるホーマーの人物像をどのように捉えていらっしゃいますか?ご自身と近しい部分があれば一緒に教えてください。

甲斐 ホーマーってロケットに出会うまではこれといった夢もなく、炭鉱の街に生まれて何となく親父の言うことを聞いて育ってきた奴だと思うんです。それが僕と似ているなって。小さい頃「仮面ライダーになりたい」「サッカー選手に憧れる」と言ってはいても、実際に目指す気はさらさらなくて。でもホーマーがロケットにのめり込んだように、僕も芸能界への切符をもらって突き進めたのは、この世界に夢を抱くことができたから。その気持ちを忘れず、ホーマーに投影していきたいですね。

──反対に、役とご自身が正反対だと思うことは?

甲斐 僕はホーマーほど、周囲を巻き込む行動力はないかもしれません(苦笑)。「自分のことですみません」と遠慮しちゃう。だから夢をどんどん前に進めていく彼は強い人ですよね。

──ホーマーが「ロケットを打ち上げたい」と壮大な夢を抱いたように、甲斐さんもロケットや宇宙に憧れた経験はありますか?

甲斐 あります! 子供のころ、NHKで宇宙の番組をやっていると、のめり込むように観ていました。学校の授業でも、宇宙に関する科目や単元は好きだった記憶もあります。

とにかくスケールの大きな話に惹かれたので、ロケットに憧れたホーマーには強く共感できます。だって今でも不思議に思います。「あんなに大きな鉄のかたまりなのに、飛行機はどうして飛べるんだろう?」とか。興味・関心を役にも活かしたいですね。

――ビジュアル撮影の衣装に身を包んだご感想をお願いします。

甲斐 アメリカの高校生をイメージして、半袖ワイシャツにしてみました。

──タイトルは『October Sky』だから10月の設定ですよね。冷えません?

甲斐 高校生は若いから秋に半袖でも平気なんですよ(笑)。複数候補がある中から、スタッフの方と相談しながら決めました。他には生地がパリッとした大人っぽいトップスがあったんですが、僕は(身長が)大きくて高校生に見えなかったからこれにしたという理由もあります(笑)。

──映画や原作に触れたご感想をお願いします。どんな点が見どころになりそうですか?

甲斐 夢を抱いて実現のために行動に移すことで、周りにいる人たちの心をどれだけ突き動かすことができるか──。ロケットボーイズだけでなく、応援してくれたすべての人を同じ高みへ連れて行ける夢のパワーを感じました。

一方で、今は新型コロナの影響で夢や希望を持ちづらい世の中になってしまいました。そんな時代だからこそ、どれだけ逆境に置かれても「絶対にロケットを飛ばしたい」と奮起した4人の姿を通じて、夢のパワーを皆さんにお伝えしたいです。

阿部顕嵐 as ロイ「ロケットボーイズを取り巻く人間ドラマに共感して」

――ロイの衣装はだいぶハードボイルドですね!

阿部 そうなんですよ!僕も何パターンかご用意いただいたんですが、全部レザーで。

一同 レザー縛り!(爆笑)

阿部 (髪を触りながら)ロイのクールな雰囲気がよく出ていると思うんですよね。

──ヘアセット含めて時代を感じます。ロイはどんな高校生ですか?

甲斐翔真(左) 阿部顕嵐(右)

阿部 義理のお父さんから暴力を受けているなど複雑なバックグラウンドはありますが、基本的にはやんちゃな少年ですね。好きな物ごとに対しては真面目で一直線というか。

ロケットをつくるって、もっと下の年齢層が抱きそうな夢だと感じていて。高校生ってもっと現実的な気がするんです。それでも彼らは「絶対にロケットを打ち上げる」と誓って成功させる。その少年心に共感するし、僕も似たような面を持ち合わせていると思いました。

──演出を手がける板垣さんとの接点は?

阿部 僕も『FACTORY GIRLS』を拝見しています。困難に立ち向かって打ち勝つ工場労働者の女性たちは、周囲に反対されてもロケット打ち上げを目指す僕ら4人と通じるところがあるのかなって。ストーリーに感動し、胸を突き動かされる瞬間が何度もありました。そんな劇世界をつくる方とご一緒できることがすごく楽しみです。早くお会いしてみたい。

──阿部さんもロケットや宇宙に憧れた経験ってあるんでしょうか?エピソードも一緒にお聞きしてみたいです。

阿部 ありますよ!僕も小さい頃から宇宙や空が大好きでした。今でも毎日星空を眺めますし、旅行先では2時間くらい月夜を見上げる。

だから生きているうちに、宇宙にはどれだけお金を払ってでも行ってみたい!だってNASAがこれだけロケットを打ち上げているのに、宇宙に行った人間って数えるほどしかいないじゃないですか?そんな貴重な経験、絶対にしてみたいです。

甲斐 前澤(友作)さんのあとを追うんだ?

一同 すごい(笑)

阿部 一緒に行きたいくらいですよ!実現できそうな世の中になってきましたし、何十年後かには本当に行ってみたいです。

──じゃあ阿部さんご自身の将来の夢というか、展望って?

阿部 歳を取って死ぬ直前くらいには、都会を離れて自然に囲まれたいですね。滝の真横に家を建てたい!

甲斐 それカビ生えない?

一同 (笑)

阿部 ベッドルームから自然が見えたら最高じゃない?180°のパノラマで窓を開けて寝たいですね。それが夢!

福崎 窓開けっぱなしで寝るのが夢、ってささやかすぎません?(笑)

一同 (爆笑)

──作品の見どころと意気込みをお願いします。

阿部 映画を観て、僕らロケットボーイズを応援してくれるミス・ライリー(=教師)や衝突しあう父親との人間ドラマに魅せられました。いろんなキャラクターの登場人物がいるので、ご覧になった方はきっと誰かに共感できるんじゃないですかね。

夢を原動力に、ゴールへ向かってどれだけ走り抜けられるか。お客さんの立場や境遇を問わず、どなたがご覧になっても「自分も夢を見つけてみようかな」「夢を持っている人を全力で応援しよう」と前向きになって劇場をあとにしていただける作品にしたいです。

井澤巧麻 as オデル「周囲から反対されても夢を貫き通した切実な姿を見届けてほしい」

──ロケットボーイズ4人のうち、演出の板垣さんと唯一接点があるのが井澤さん。『歳が暮れ・るYO 明治座大合戦祭』(2018〜19年)でご一緒されています。

井澤 そうですね、お世話になりました。板垣さんってすごく探究心のある方で。同じシーンを何度も練習するなど、役者に求める要求も高く厳しいですが、すべて「いい作品にしたい」というこだわりがおありになるからだと思うんです。

福崎那由他(左)井澤巧麻(右)

でも単に厳しいだけでなく、そこにちゃんと“愛”があることも伝わってくる。役者のいい部分をきちんと見つけてくださるし、できないことがあっても「じゃあこうしてみたら?」と丁寧に教えてくださるのですごく勉強になりました。またこうして別の現場でご一緒できるのが嬉しいですね。

──日本初演ならではの難しさと、シアターコクーンという大きな劇場への出演にあたってお気持ちをお願いします。

井澤 映画のオデルはキャラクターが前面に出ていなかったので、原作を読んでみました。それが舞台・ミュージカル化に際してどう描かれるのか、本当に楽しみです!

この日本初演はブロードウェイに先駆けての上演ということで、その責任も感じています。シアターコクーンに立たせてもらえることも含めて光栄ですし、スケールの大きさに恥じない作品を届けていきたいですね。

――ビジュアル撮影の衣装に身を包んだご感想は?

井澤 普段サスペンダーしないので斬新です(笑)

一同 (爆笑)

井澤 時代を遡った感覚になりました。僕には何着かTシャツの候補が用意されていて、袖のまくり具合が違っていました。腕まくりする感じも現代にない着こなしのような気がして、今日のビジュアル撮影で「当時アメリカにいた高校生ってこんな感じだったのかな」ってイメージがだいぶ湧いたと思います。(フワフワの頭を指して)髪型もね、なかなか斬新だから全身で楽しみになりましたよ。

──オデルはどんな子ですか?

井澤 やんちゃ盛りで、いちばん子どもらしい高校生かもしれませんね。カッとしやすいところもあるけど、嬉しい時は踊り出すような一面もあるんです。ロケットボーイズの中では間違いなくムードメーカーなんじゃないかな。

──ロケットや宇宙に憧れた経験はありますか?

井澤 僕も宇宙の話、すごく好きです。ビッグバンは「無が歪んで爆発してできた」って……どういうこと!?みたいな(笑)

一同 (笑)

井澤 宇宙って「わからなさがもはや楽しい」みたいなところ、ある気がして。百科事典にあたっていろいろ調べた時期もありました。

──映画や原作に触れたご感想から、井澤さんはどんなポイントが見どころになると感じていらっしゃいますか?

井澤 炭鉱夫の息子は炭鉱夫にしかなり得ない……という時代の中で、周囲からどんなに反対されても憧れたロケットを打ち上げようと必死に研究したロケットボーイズは本当にキラキラしていたと思うんです。そんな少年たちの切実な姿を、ぜひお客さんに見届けていただきたいですね。

もうひとつのテーマは、父子の絆。血が繋がっているからこそ意地を張ってしまう、一方で分かり合えるといった関係性は現代にも通じると思います。

福崎那由他 as クエンティン「僕もクエンティンのように、のめり込むタイプ」

――第一ボタンまでしっかり留めていらっしゃる衣装のご感想をお願いします!

福崎 ご覧の通り“オタク”というか、クエンティンの内向的な気質がすごく伝わってくるビジュアルだと思いました。僕も何か好きになるとのめり込むタイプなので、彼に親近感を抱いています。シャツをパンツにインしても、なんだか心地良くて!(笑)

福崎那由他(左)井澤巧麻(右)

一同 (笑)

甲斐 なゆちゃんはね、すごく色白なんですよ!

福崎 (と事務所の先輩に言われ、足の甲を見せてくれる)

──ホントに色白ですね!反対に、クエンティンとご自身が正反対だと思うことは?

福崎 (間があって)……なんだろう、クエンティンと僕ってやっぱり似てきちゃうんですよね。

一同 超ハマり役!(笑)

──日本初演の作品にキャスティングされたことを、どのように受け止めていらっしゃいますか?

福崎 最初に感じたのは、やっぱり責任の大きさ・重さです。日本初演ということは、僕たちが将来の上演版の基本になるわけで。だからこそ議論を重ねて、一歩ずつ踏みしめながらつくり上げたものをお客さんの前にお見せしたいと思います。

──シアターコクーンに立つことをどう捉えていますか?

福崎 コクーンはベテランの先輩から「すごい場所だよ」という評判をお聞きすることが多く、由緒ある劇場だと感じています。舞台経験の少ない僕にとっては、そこに立つことの重さや責任を受け止めながら演じたいですね。

──ロケットボーイズの中で実年齢がいちばん下の福崎さんの目に、他のキャストはどう映っていますか?

福崎 そうですね。(井澤)巧麻くんと話していると……めっちゃ笑顔になりますよね!(笑)

甲斐 笑っちゃってるじゃん!

阿部 若干イジりに行ってるところあるもんな。巧麻くんは目元が柔和な“笑顔顔(えがおがお)”なんですよ。

井澤 (何も言わず満面の笑みをたたえる)

福崎 一緒にいると僕まで口角上がっちゃう感じがします。僕、人見知りだけど巧麻くんはすごく接しやすいですね。穏やかに話しかけてくださるので。

井澤 (引き続き満面の笑みで)ありがとう!

福崎 顕嵐さんは撮影風景を見させてもらって。真っ暗な中、後ろからライトで照らされている状態だったんですが、その様子がめちゃくちゃキレイでカッコよくて。立っているだけで雰囲気がありました。最初はクールで話しかけづらい人かと思ったけど、けっこう抜けている部分ありますよね(笑)。

阿部 あ、イジり始めた!俺はね、さっきメイク部屋でなゆちゃんの寝顔を見たよ。初めての現場で爆睡してるの、すごいおもしろかった!

福崎 (恥ずかしそうに)髪を触られていると眠くなっちゃうんですよ!

一同 (爆笑)

福崎 甲斐さんは事務所のイベントでご一緒した時に、ユニットのリーダーを務めてくださって。すごく頼りがいのある先輩ですね。「任しておけ」って感じで。

甲斐 (エピソードが)初対面かってくらい薄いね(笑)

一同 (爆笑)

甲斐 がんばろうね(笑)

福崎 ……がんばります!(笑)

──甲斐さん・阿部さん・井澤さん三者三様のお兄さんっぷり、福崎さんの愛され弟っぷりが早くも伝わってきました。ありがとうございました!



取材・文:岡山朋代 撮影:源賀津己



公演情報
ミュージカル『October Skyー遠い空の向こうにー』
作詞作曲:マイケル・マーラー
脚本:ブライアン・ヒル&アーロン・ティーレン
演出:板垣恭一
出演: 甲斐翔真 阿部顕嵐(7ORDER) / 夢咲ねね / 栗原英雄 朴璐美
中村麗乃(乃木坂46) 井澤巧麻 福崎那由他
畠中 洋 青柳塁斗 筒井俊作 礒部花凜

中本雅俊 角川裕明 大嶺 巧 秋山エリサ 國末慶宏 砂塚健斗 Sarry

【東京公演】
2021年10月6日(水)〜10月24日(日)
会場:Bunkamuraシアターコクーン

【大阪公演】
2021年11月11日(木)〜11月14日(日)
会場:森ノ宮ピロティホール

チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2175864

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