松の内も明けぬ間にいそいそと芝居を観に行く酔狂な人々がいるということは、つまり大晦日も元日も関係なく芝居の稽古をしている人がいる。毎年正月は「新年工場見学会」に出演する皆さんの年末年始に思いを馳せる。 「新年工場見学会」は五反田団が毎年正月に開催しているお祭りのような演劇のイベントだ。獅子舞があり、テルミンの演奏があり（1/3〜5のみ）、そしてそれぞれ1時間弱ていどの五反田団、ハイバイの作品が上演されるというのがここ数年の通例となっている。 10年以上続いているこの公演だが、五反田団の前田司郎が今回の開催に寄せて「新年工場見学会もいつまで続けられるか判ったもんじゃありません」とコメントしているとおり、いつまであるのかは誰にもわからない。 しかも2019年、岩井秀人は新たに会社を設立してトークイベントや俳優の育成にやる気を見せ、「新作はもう作らなくてもいいかな、という気になっている」と話しているのだ。とにかくいま、岩井の新作が観られる貴重な場であることは間違いない。 これまでは「大衆演劇風」「とある劇団風」など、さまざまなジャンルの芝居のパロディをやったり、RPGゲーム風の芝居があったり、屈強な肉体をもつ俳優・後藤剛範を小学生女子にする芝居をやったりと、何が飛び出してくるのかわからなかったハイバイチーム。今年はコメントによれば「ガチンコファイトクラブ」風の何かが披露される予定らしい。 五反田団の新作ともども、「今しか観られない」「ほかでは観られない」作品たち。芝居初めにはぴったりだろう。