第二次世界大戦の命運を左右した歴史的海戦を描いた米映画『ミッドウェイ』の公開初日イベントが9月11日、都内で行われ、日本人キャストの豊川悦司、國村隼が出席した。山本五十六を演じた豊川は、出演オファーに「びっくりしました」と驚きを隠さず、「日本人なら誰もが知る歴史上のビッグネーム。最初は自分との類似点を見いだせなかった」と振り返った。

それでも「偉大な（俳優の）大先輩たちが何人も演じているので、作品を片っ端に見て、先輩たちが山本五十六とどう対峙したのか、知ることができたのはラッキーだった」と役作りを語り、「映画を通して学べること、感じられることの素晴らしさを知ってほしい」とアピール。一方、南雲忠一役の國村は「ご存知の通り、『お前が一番あかんやろ』と言われている人物なので……」と苦笑い。「そんな南雲さんが、なぜとんでもない判断ミスをしてしまったのか興味をそそられ、そこを糸口に僕の妄想を広げていった」と独自の演技アプローチを明かしていた。

『インデペンデンス・デイ』シリーズのローランド・エメリッヒが、真珠湾攻撃からミッドウェイ海戦を題材に、両軍に敬意を捧げて史実を再現した戦争スペクタル超大作。20年に及ぶリサーチと新たに発見された日本軍側の資料をもとに、実在した勇敢な軍人たちの決意と犠牲を描く。

「夢と生活をかけて、海外という厳しいフィールドで仕事されている日本人の俳優さんがたくさんいらっしゃる。その姿に感銘を受けました。それに月並みですが、スケール感が大きい」（豊川）、「甲板に爆弾が落ちるシーンでは、バズーカ砲のようなもので、実際に高さ10メートルくらいの水柱を再現していた。その水柱の痛いこと、痛いこと（笑）」（國村）とハリウッドならではの舞台裏を披露。イベントには山口多聞を演じた浅野忠信がZoomで参加し、「世界中の人たちが力を合わせて、1つの映画を作れることに感謝したい」としみじみ語っていた。

また、来日が実現しなかったエメリッヒ監督と、出演者の一人であるパトリック・ウィルソンからはビデオメッセージが到着。現在、モントリオールで新作の準備を進めるエメリッヒ監督は「僕が重要視したのは、日本軍を単なる敵ではなく、人間として描くことだった。ミッドウェイ海戦について学び、非常に感銘を受けたことがある。それは日本人の気質だ」と力説し、ウィルソンも「この映画は日米両方の視点を大事にしている映画だ」とアピールしていた。

取材・文・写真＝内田涼

『ミッドウェイ』
全国公開中

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