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佐咲紗花が語る、10年の活動とアニメ/特撮ソングカバーへの思い

リアルサウンド

20/2/13(木) 18:30

 佐咲紗花が、1月29日にアニメソング、特撮ソングのカバーアルバム『SAYAKAVER.2』をリリースした。今作は、デビュー10周年を迎える彼女の幕開けとなる作品で、2015年3月25日にリリースしたカバーアルバム『SAYAKAVER.』の第2弾となる。今回のインタビューでは、各楽曲の制作に加えて、前作からの変化、10年のアーティスト活動について聞いた。(編集部)

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■愛と勇気と正義を教えてくれるもの

ーー今回のアニメソング、特撮ソングのカバーアルバム『SAYAKAVER.2』は、佐咲さんのデビュー10周年企画第1弾としてリリースされるわけですよね。

佐咲紗花(以下、佐咲):10周年をどのような1年間にしようかという中で、私がしたいことをいろいろ上げていったんですけど、ちょうど5周年の時に出したカバーアルバムを5年ぶりにもう一度リリースしたいという提案がプロデューサーからあって進んでいきました。

ーー『SAYAKAVER.』は、今振り返ってみて佐咲さんにとってどのような作品になりましたか?

佐咲:タイトルを『SAYAKAVER.』としたのはダブルミーニングがあって、紗花のカバーと紗花バージョン(Ver.)という意味で付けているんです。ただカバーするということではなく、原曲へのリスペクトとその中に私らしさを忘れないようにという意味で。前回は特に海外のファンに向けた作品で、海外でも知名度が高い曲をというのがコンセプトにあったんです。それから、海外イベントに行く度に必ずその中から選曲するようにしていたので、反応を見ていても楽しかったです。この5年間で、ファンの方々からの「『SAYAKAVER.2』が出る時はぜひこの選曲をしてほしいです」という声もたくさんいただいていて、みんなの中にも『SAYAKAVER.』が浸透していてくれたなというのは実感としてありました。なので、またもう一枚出させてもらえるとなって、私が30曲近くプレゼンした上で、チームの中でラインナップとして「こういう曲も欲しいよね」「今のタイミングだからこの曲がいいよね」といった意見をジャッジしていって、一緒に選曲していきました。

ーー今回の収録曲「THE HERO !! ~怒れる拳に火をつけろ~」(原曲:JAM Project/『ワンパンマン』)は、海外でも人気のある楽曲ですよね。

佐咲:この曲はまた海外のファンにも楽しんでもらいたいという思いと、尊敬するJAM Projectさんのかけ合いの多い構成をひとりで演じる面白さも表現できたらいいなという思いで選曲しました。

ーーそれでは、特ソンの「Hands」(原曲:オーイシマサヨシ)にはどのような思いがあったのでしょうか?

佐咲:2018年の夏にスタートしたオープニングテーマだった『ウルトラマンR/B(ルーブ)』を観始めてから、この曲の〈決して明日を諦めない〉という歌詞に救われたんです。その頃、自分の活動の中で私はこのくらいしかできないのかなと思い始めていたところで、この曲を聴いて自分に対して諦めることを辞めようと思ったんです。その諦めない気持ちが、昨年の『アニサマ』(『Animelo Summer Live』)へ出演に繋がったり、昨年放送の『ウルトラマンタイガ』でエンディングテーマ「ヒトツボシ」を担当することが決まったり、ずっとプラスの影響をもらっている楽曲です。

ーー改めて、佐咲さんにとってアニメ、特撮とは?

佐咲:愛と勇気と正義を教えてくれるもの、自然と好きなもの、側にあるもの、です。

ーーなるほど。カバーアルバムと言えば、たくさんの先輩方が出されていますよね。

佐咲:中でも特に遠藤正明さんの『ENSON』シリーズが大好きなんです。遠藤さんが歌うとどんな曲調でも一発で遠藤さんバージョンになる楽しさがあります。もともと好きだった曲を遠藤さんが歌うことによって、こんなに新しい世界が見えるんだなというところが大好きで、そんな世界を私も1枚のアルバムの中で表現することができたらなと思いました。カバーアルバムは、いつもとは毛色の違う楽曲を歌えるという意味では、いろんな自分の試してみたい楽曲を選曲できるというのが、シンガーとしての幅、可能性を持つためにもありがたい機会だなと思います。

ーーアルバムを聴いていて印象的だったのは、楽曲によって変化していく佐咲さんのボーカルでした。レコーディングはどのように進んでいったのでしょうか?

佐咲:5年前の『SAYAKAVER.』では、ほとんどの曲を私のチームのディレクターがして下さっていましたが、今回はいろんな表現の可能性を探すために、出来るだけその楽曲の編曲者さんにボーカルディレクションをお願いしたので、普段私を録ってないからこそ「もっとこういう風にできるかな」「こういう風なのも聞いてみたいな」というリクエストに応えながらのレコーディングになりました。あまり自分でこうしようというよりかは、皆さんの導き、アレンジにお応えしていきました。

ーーそれは『SAYAKAVER.』を経て、見えた歌い方への課題でもあった?

佐咲:私が知らず知らずの内に染み付いてしまっている癖、原曲に添い過ぎるところを引き剥がしてもらうということでもありました。私自身が大好きで選曲しているからこそ熱量が高いんですけど、アレンジャーさんたちは「この曲はこう表現したいんだよ」という提案をしてくださって方向を示してくれる。私バージョンとして完成させることを目指している、両者がいて今回の出来になったのかなと思います。

ーーアレンジャーの方と意見がぶつかり合うことは?

佐咲:あまりなかったです。私の年齢が大人になったのもあって、デビュー当初の「私はこうだもの」という自分から、「もっと違う私が出てくるアプローチがあったら教えてください!」という風になれたかもしれないですね。前はもっと意固地になっていた気がします。

■「どこに出しても恥ずかしくないアーティスト」に

ーー10周年がいい区切りになったのかもしれないですね。

佐咲:今回、CDのジャケットも「Over The Future」(原曲:可憐Girl’s/『絶対可憐チルドレン』)のMVもそれぞれが初めましてのスタイリストさんだったんです。どちらも今までにない私を作っていただけました。今までだったら「こういうのがいいです」って凝り固まったイメージがあったと思うんですけど、今回はそれぞれの感性にお任せしてよかったです。

ーーアルバムジャケットの指輪にはどのようなテーマが?

佐咲:私の手に着けている指輪の中に宇宙が広がっていて12の星が光っているのですが、収録曲が12曲なので、珠玉の12個の星を私の手で原曲とはまた違う光を放たせたいという意味があります。もともとデザイナーさんから別の機会にいただいていたデザイン案だったんですけど、そのアイデアが好きで今回使いたいなということでお願いしました。

ーー今回の作品が10周年企画の幕開けとなるわけですが、この10年を振り返っていかがでしたか?

佐咲:去年は、あっという間に感じましたけど、同じ10年でも17歳から27歳までの10年よりも、27歳でデビューしてから今の37歳までの10年の方が長くて、濃かった気がします。

ーー2月からは10周年企画の一つとして「マンスリーアコースティックライブ」がスタートしました。一年を通してどのようなライブになりそうですか?

佐咲:アコースティックライブでは、楽器の音色が少なくてコーラスもない分歌にごまかしが効かないですし、ピアノ一本ということで普段のライブとは違う表現で届ける機会になると思います。その日ならではの化学反応があると思いますし、ライブハウスと言っても椅子のある見やすい形なので、多くの人にとって一歩目の佐咲紗花のライブになればいいなと思います。

ーー7月には『SAYAKAVER.LIVE 02』が開催されます。半年近く先ですが、それだけに期待も大きいライブになりそうですね。

佐咲:先だからこそ、たくさん聴き込んで来てもらえるかなと。フレッシュな状態でお見せするライブもいいと思いますが、少し磨いた状態でフルバンド編成のライブでさらにメンバーや来てくれた皆さんとの化学反応を爆発させるのも楽しみです。

ーー10周年イヤーの2020年、佐咲さんにとって、どのような1年になりそうですか?

佐咲:今回のリリースも含めて10年間途切れずにリリースをさせていただいていたり、たくさんイベントに出させていただいているこの状況が嬉しいです。この10年間で私を作ってきてくださった方への感謝を誇らしく音楽でお届けできるように、より自分を律しながら、「どこに出しても恥ずかしくないアーティスト」だと思ってもらえるような自分でいたいなと思います。尊敬する先輩たちが口を揃えて言うのが「この仕事は自分一人だけで続けられるものではない」という言葉で、より輪を大切に、ご縁への感謝を忘れずにいたいです。

ーー一つひとつの縁を大切にしながら、より輪が広がっている。

佐咲:今回はカバーアルバムなので、もともとの原曲の方々もいると考えると、倍のご縁が重なっているのは幸せなことだと思います。「Super Driver」(原曲:平野綾/『涼宮ハルヒの憂鬱』)をレコーディングする時に、編曲とボーカルディレクションをして下さったエンドウ.さんがこの曲の作曲者である神前(暁)先生に連絡してくださって、「あら、なんと懐かしい。カバーしてくれてありがとう」とおっしゃっていたと伝えてくれたりしたのも嬉しかったですね。

ーーファンはもちろん、周りのスタッフの方も大事にされているのが伝わってきます。

佐咲:佐咲紗花という名前は私の名前でもあるけれども、たくさんの方々の思いで作ってきてくださったものなので、自分の名前だけど、みんなのものであるような不思議な感覚です。

ーー10周年の先も一緒に歩んでいくイメージ。

佐咲:私は喉の寿命が尽きるまで歌い続けるというのを公言していて、目下の目標が還暦ライブなので、ファンのみんなも共に歳を重ねていくことを楽しみに。還暦祝いの次は喜寿、卒寿まで行けるかなとか(笑)。いろんな人と手を携えて進んで行きたいなと思っています。

(渡辺彰浩)

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