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『監察医 朝顔』風間俊介が伝えた今を生きるための言葉 “ごめんばこ”が明日への希望に

リアルサウンド

21/2/23(火) 6:00

 上野樹里が主演を務める『監察医 朝顔』シーズン2(フジテレビ系)が、2月22日に第15話を迎えた。

 最終章「家族の時間編」のスタートとなる今回。里子(石田ひかり)のものである可能性があった歯の検査結果が朝顔(上野樹里)に伝えられた。結果は、里子ではなく、岩手の仙ノ浦から40km離れた宮城県の方のものだった。

 それを聞いた平(時任三郎)は「そっか。遠いな」とつぶやく。朝顔もため息にも似た口調で「遠いね」と。その距離が意味することはあまりにも残酷だ。里子の生きた証があるはずと僅かな望みを信じて宮里沼を捜していた平と朝顔。けれど、その証は津波に流され、遠く離れた見知らぬ土地で今も静かに眠っているのかもしれないのだから。

 朝顔は重苦しい空気を変えるように「お母さんの話聞かせて」と平にお願いする。つぐみ(加藤柚凪)にも後で聞かせるためにと朝顔はスマホで録音を開始。それに平は「俺も聞きたい。老後の楽しみにする」と一言。刻一刻と進行していく平のアルツハイマー型認知症は、つぐみでもその異変に気付くほどとなっていた。かつての同僚との飲みの席で平が言った「できれば迷惑かけないでこっそり一人で死にたい」は、きっと冗談半分、本音半分。自殺した方の気持ちが分かると朝顔を心配させたこともあった。それでも平が「あとどれぐらい残ってるか分からないけど、自分に残された時間を朝顔たちと楽しく生きる」と終わりに前向きになったのは、家族の支えのおかげだ。

 桑原(風間俊介)は平に「もし、お父さんが僕のこと忘れても、僕がお父さんのこと覚えてるから大丈夫です」と伝えた。献身的に介護をしていくという、平にとっては未来に向けた希望の言葉。しかし、その言葉も明日にはきっと忘れてしまっている。今を生きるための言葉でもある。そして、桑原は「ごめん」と謝ってばかりの平のために、「ごめん」と言ったら1000円の罰金の制度を敷くことに。明くる日、つぐみが持っていたのは「ごめんばこ」。早速、平と朝顔が1000円の罰金となる。そうやって、少しづつ平の周りからネガティブは消えていった。

 これから自分がする話に対して「俺も聞きたい。老後の楽しみにする」と笑顔で言える平は強い。大切な里子との初デートの記憶。それだけでなく、いつかは里子の存在ごと忘れ去ってしまうかもしれない。死にたくなるような恐怖と戦いながら、平は終わりに向かって今を生きているのだ。

 そんな第15話のラストは、浩之(柄本明)が入院する仙ノ浦の静愛病院から朝顔にかかってきた「危篤」というあまりにも悲しい知らせで幕を閉じる。歯のことはどんな結果であれ、里子のものだったと伝えると決めていた朝顔。第16話の予告で、朝顔は薄れゆく意識の浩之を前に「じいちゃん、あのね……」と声を詰まらせる。朝顔は浩之に真実を伝えるのか。第16話は涙なしには見られない回となりそうだ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
『監察医 朝顔』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~放送
(2020年秋・2021年冬2クール連続)
出演:上野樹里、時任三郎、風間俊介、志田未来、中尾明慶、森本慎太郎(SixTONES)、藤原季節、斉藤陽一郎、坂ノ上茜、田川隼嗣、宮本茉由、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、加藤柚凪、戸次重幸、平岩紙、三宅弘城、杉本哲太、板尾創路、山口智子、柄本明ほか
原作:『監察医 朝顔』(実業之日本社)
脚本:根本ノンジ
プロデュース:金城綾香
演出:平野眞、阿部雅和
制作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/asagao2/

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