川本三郎の『映画のメリーゴーラウンド』
ヤンキース、ミッキー・マントルの話から、『グリーンブック』『カーネギー・ホール』…チャイコフスキーにつながりました。
隔週連載
第27回
19/6/25(火)
ミッキー・マントルとロジャー・マリスのコンビはMM砲と呼ばれた。巨人の王と長嶋がON砲と呼ばれるようになったのはこれを真似ている。
ロジャー・マリスが出てくる最近の映画がある。今年のアカデミー賞作品賞を受賞したピーター・ファレリー監督の『グリーンブック』。
黒人の金持のピアニスト(マハーシャラ・アリ)にドライバーとして雇われた白人、ヴィゴ・モーテンセンはイタリアン。ニューヨークのブロンクス地区に妻子、親兄弟と大家族で住んでいる。
ブロンクスにはヤンキースの本拠地、ヤンキー・スタジアムがある。当然、この一家はヤンキースのファン。時代設定は1962年。この時代のヤンキースは無敵だった。ワールドシリーズで五連覇を成し遂げている。主力はもちろんMM砲。1961年には、ロジャー・マリスが、ベーブ・ルースの60本を上回る61本のホームランを打ち新記録を作った。
ブロンクスに住む一家は、ヤンキースの試合をテレビで見ながら応援に熱が入る。とくにロジャー・マリスが打席に立つと大声で応援する。ヤンキースの良き時代である。
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