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埼玉ワイルドナイツがついにリーグワン初陣へ! 王者の底力か? 好調・横浜キヤノンイーグルスの勢いか?

ぴあ

トップリーグ 2021で5度目の優勝を果たしたワイルドナイツ

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いよいよ最後の『トップリーグ』王者が登場する。1月23日(日)・熊谷スポーツ文化公園ラグビー場での『NTTジャパンラグビー リーグワン 2022』第3節・埼玉ワイルドナイツ×横浜キヤノンイーグルス。埼玉WKが期待と不安を抱えながら、新リーグ初陣に臨むのだ。

ここまで長かった。1月3日に新型コロナウイルス感染症の定期自主検査を実施し、翌日に3名の陽性疑い判定が確認された。その3名は保健所の指示のもと隔離、他の選手は再自主検査をするとともに自宅待機へ。5日に行動記録をもとに当該3名と濃厚接触の可能性が高い2名を加えた5名を医療機関にて検査し、4名の陽性判定が確認された。また4日の再自主検査の結果、新たに5名の陽性疑いとなり、医療機関での検査で5名が陽性、計9名が陽性となる。自主検査の結果で陰性となった選手も濃厚接触者として認定されたため、チーム活動を一旦休止する。これによりキックオフ48時間前までに試合登録に必要な選手が揃わないことが確定したため、新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインに基づき、国立競技場でのクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦の中止が決定となったのだ。

6日にこれまでの検査で陰性だった選手に3回目の検査を実施、7日に21名の陽性が確認され、合計で30名の陽性となり、第2節・グリーンロケッツ東葛戦の中止も発表された。10日には4回目の検査で陰性であった者に検査を実施し、さらに1名が陽性、合計で31名が陽性に。13日に5回目、15日には6回目の検査を実施、それぞれ翌日に対象者全員陰性の判定がなされて、管轄の保健所よりチーム活動再開のゴーサインを受けて、17日に埼玉WKは再始動を果たしたのだ。

埼玉WKは規定により2試合続けて不戦敗扱いとなり、勝点0。戦わずして失った勝点も痛いが、シーズン開幕へ向けて最後の調整をしていたところでの2週間の空白はもっと痛い。そして他チームが公式戦を消化する中放り込まれる試合勘のビハインドも計り知れない。

第2節・東京サンゴリアス×トヨタヴェルブリッツを見ても、実戦経験の重要性はわかるだろう。両チームは『ジャパンラグビー トップリーグ』で数々の好試合を展開してきたが、新リーグ2戦目の東京SGが開幕戦中止となったトヨタVをブレイクダウンで圧倒、7トライを量産し50-8と圧倒した。このように『トップリーグ2021』王者は険しい船出を余儀なくされたのだ。

しかも、第3節の相手は好調・横浜Eである。グリーンロケッツ東葛との第1節の前半こそ、開幕戦特有の難しさとFLコーバス ・ファンダイクのシンビン(10分間の一時的な退場)もあり、リードは13-5にとどまるも、後半になると徐々にらしさを見せていく。後半2分にハーフウェイ付近でボールを拾ったWTB松井千士が持ち前のスピードとステップを生かし密集を抜け出すと、FB小倉順平へパス。後半開始早々にトライを奪うと、SO田村優はCG、2本のPGを決める。後半26分にはスクラムからNO8アマナキ・レレイ・マフィがタックラーたちをものともしないパワー満点の突破でトライ。田村がCGも決めて33-5と勝負あり。終了間際に1トライ1ゴールを返されたが、33-12と白星発進した。

第2節はコベルコ神戸スティーラーズを相手にしてやったりのゲームを披露。横浜Eはガス欠覚悟でキックオフからエンジン全開。1分に田村のグラバーキックに反応した松井がいきなりトライを決めると、10分から怒涛のトライラッシュがスタート。前半10分、田村のグラバーキックをマフィがキャッチし、PR岡部崇人へオフロードパス、さらにSH荒井康植へつないでトライを奪うと、12分にはCTB南橋直哉が自陣深くから抜け出すと、サポートしたCTB梶村祐介が独走。14分には前方へ弾んだキックをキャッチした小倉がトライ! 田村もCGを3本連続で成功させて26-0と主導権を握る。前半22分に神戸Sに一本返されると、その3分後に梶村がトライを奪い返し31-7。前半終了間際にも神戸Sが7点追加すると、後半最初のトライは3分にマフィがマークし41-14。最後の最後まで攻め手を緩めない横浜Eは後半34分に運動量が落ちない梶村がハットトリックを決めれば、39分にファンダイクもトライ。小倉がCGを成功させて55-21。昨季『トップリーグ』第2節で10-73と大敗を喫した神戸Sに新リーグでやり返したのだ。

昨季5位と最高位に導き、今季はトップ4撃破をターゲットにする就任2年目の沢木敬介監督は「『自信を持っているフィットネスのところで勝とう』『前半からぶっ飛ばしていこう』というプランでやった。ただ、最後にガス欠した。ロッカールームでも選手たちに『フィットネスがもうちょっと必要』と話した」とニヤリ。田村主将も「僕自身もっとうまくコントロールしたり、バランスを保とうと思えばできた場面もあったが、このチームはやると決めたら極端に出した方がいいチーム。ちょっと強引に進めた場面もあったが、いい方に出てよかった」と強気のタスクの理由を明かした。

移籍2季目の松井が「梶村選手と同様、走り切るということがしっかり出せた。去年70点いれられている相手なので、リベンジで勝てたことはよかった」と喜べば、新加入の梶村も「昨季まで自分の中で小さくまとまっている感覚があったので、『もう一度昔のプレースタイルに戻ろう』『アグレッシブにボールを前に運んで自分の強みのボールキャリーに戻ろう』と取り組んできた」と自信を深めた。昨季途中に加入したマフィも「9月から5か月くらいずっと走っている。フィットネスがある。沢木監督はこのチームを強くするためにフィットネスが一番大事だと強化している」と胸を張った。

『トップリーグ2021』第3節ではイーグルスはワイルドナイツに0-47と完敗を喫しながらも、プレーオフトーナメトン準々決勝では17-32と確かな成長の後を見せた。アタックにさまざまなアイデアを持つ沢木監督が無策で第3節に臨むとは考えにくい。久々の公式戦となる埼玉WKを驚かせる秘策を用意していることだろう。

それでも埼玉WKに気後れもなければ、気負いもない。1月17日、世界的名将として知られるロビー・ディーンズ監督は再始動を前に「みんなよく帰ってきてくれた。今季はシーズンが長いので、我々にも十分チャンスがある。エンジョイしよう」と選手たちに伝えたという。全体練習後にHO坂手淳史主将が「この2週間は正直メンタル的に難しく、グラウンドで練習できずに不安はあった。でもやってみたら体は動いた」と振り返れば、同じHOの堀江翔太も「今日の練習で頭は切り替わった。何となく不安もあったが、自信の方がちょっと増えてきた。間が空いた分、頭がリフレッシュした。(コンビネーションも)チグハグなところはなかった」と前向きな言葉を発した。

キックオフ48時間前に発表される試合登録メンバーは以下の通り。

【埼玉ワイルドナイツ】
1クレイグ・ミラー、2堀江翔太、3ヴァル アサエリ愛、4マーク・アボット、5ジョージ・クルーズ、6長谷川崚太、7布巻峻介、8ジャック・コーネルセン、9内田啓介、10松田力也、11マリカ・コロインベテ、12ハドレー・パークス、13ディラン・ライリー、14竹山晃暉、15野口竜司、16坂手淳史、17稲垣啓太、18平野翔平、19谷昌樹、20ラクラン・ボーシェー、21小山大輝、22ヴィンス・アソ、23福井翔大

【横浜キヤノンイーグルス】
1岡部崇人、2庭井祐輔、3津嘉山廉人、4コリー・ヒル、5アニセ サムエラ、6コーバス・ファンダイク、7嶋田直人、8アマナキ・レレイ・マフィ、9荒井康植、10永富健太郎、11エスピー・マレー、12梶村祐介、13ジェシー・クリエル、14竹澤正祥、15小倉順平、16高島忍、17五十嵐優、18松岡将大、19田中真一、20安井龍太、22天野寿紀、22ハヴィリ リッチー、23マイケル・ボンド

埼玉WKはまさにスター軍団と言えるメンバーを揃える。日本代表がズラリと並ぶフロントローはどちらが先発でどちらがベンチかわからない。イングランド代表45キャップのLOクルーズにウエールズ代表29キャップのCTBパークスとともにSO松田力也、CTBディラン・ライリー、FB野口竜司ら日本代表勢もズラリ。中でもオーストラリア代表最強&最速トライゲッター・コロインペテの日本デビューに注目が集まる。またサブに控えるFLボージェー、WTB/CTBアソの新加入組も楽しみである。一方の横浜Eは田村、松井のメンバー外が残念である。

果たして埼玉WKがブランクを感じさせない強さを披露するのか、横浜Eがフィットネスのアドバンテージを見せ付けるのか。『NTTリーグワン2022』第3節・埼玉WK×横浜Eは1月23日(日)・熊谷スポーツ文化公園ラグビー場にてキックオフ。試合当日はDJ KOO、hitomiのスペシャルゲストが会場を盛り上げ、アンバサダーの福岡堅樹も来場する。さらに埼玉WKのオリジナルベースボールシャツを来場者全員にプレゼント。2週間遅れの“開幕戦”が楽しみでならない。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

ジャパンラグビー リーグワン 特設ページ
https://t.pia.jp/pia/events/rugby-leagueone/

ジャパンラグビー リーグワン 2022 観戦ガイド
https://book.pia.co.jp/book/b597752.html

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