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『BG』は木村拓哉の『HERO』に続く代表シリーズへ 最終回はコロナ禍を受け止めた物語に

リアルサウンド

20/7/31(金) 6:00

 木村拓哉が主演を務めるドラマ『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)が、7月30日に最終回を迎えた。

参考:木村拓哉、『BG~身辺警護人~』クランクアップの心境明かす 「160%やり尽くした」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で撮影が一時中断。全7話に縮小となった今回のシーズン2であったが、物語自体のスケールは前作を上回るものであった。

 警察に追われ逃走する劉(仲村トオル)が、島崎(木村拓哉)に身辺警護を依頼してくるというまさかの展開で幕を閉じた前回。KICKSガードと警察、その裏で暗躍する権力者までをも相手にした最も危険な依頼に、島崎は死を覚悟して臨む。

 全シーズンを通して『BG』に共通している物語構成は、1話完結の中の大どんでん返しだ。島崎はクライアントからの依頼を忠実に遂行しながら、その裏にある本当の思いをいち早く察知し、真相を突いていく。第1話から登場し島崎をつけまわしていた元警護課の警察官・加藤(中村織央)は、警視庁を不祥事で追われたところを総裁特別補佐・桑田(小木茂光)に拾われ、汚れ仕事を請け負ってきていた。シーズン2始まりと前回の2回の襲撃事件も桑田が劉をはめたものだったのだ。

 コロナ禍におけるスケールでの撮影とシーズン2での宿敵・加藤を相手にした壮絶なアクションシーンの果てに描かれたのは、権力に屈しない正義、そして人を信じる心。「弱き者の盾になる」という使命から、島崎のもとには高梨(斎藤工)だけでなく、沢口(間宮祥太朗)、菅沼(菜々緒)が集結。シーズン1以来となる4人での「誤差なし」が実現した。

 厳しい撮影環境の中でも「160%やり尽くしたと自負しています」とクランクアップを受け語った木村拓哉。筆者はシーズン2放送前、「『BG』はみんなが観たい“キムタク”の像を木村自身が体現していたように思う。それは、熱さの中に人を思う優しさが添えられていること」と記事(参考:木村拓哉の「誤差なし」が再び! 『BG』シーズン2放送を前にシーズン1の魅力をおさらい)の中で記した。その思いはシーズン2が終わった今も変わりはしない。と同時に、この『BG』が木村にとって『HERO』(フジテレビ系)に続く、主演シリーズとして新たな代表作になっていくのではないかと感じている。

 組織から個人のボディーガードになった以外に、シーズン2で印象的に描かれていたのは、父としての姿と愛する人への思い。気取らない嘘のない人・笠松(市川実日子)との恋路は、互いに両思いの関係ながら“回る方のお寿司”、島崎を一生縛ることはできないと進展なしということに落ち着いた。けれど、2人の思いが受話器越しに理解し合う瞬間、島崎がニヤリとほくそ笑み、敬語からタメ口になるシーンは、これまで描かれてこなかった彼の一面だった。ラストの高梨とのバディ復活の場面もそう。息のあったセリフ回し、さらに高梨が無線のスイッチを4回押す音に対してデスクを4回叩く島崎。2人のこれからの行く末を含め、まだまだ『BG』には観たい彼らの余白がある。どんな形であれ、再びこの『BG』チームが再集結することを願いたい。

 最後に。高梨が言った「いずれにしても、こんな状況だから……。だからこそ人の役に立つ仕事もできるはずだ」というセリフ。ラストに映し出された「世界は、わずか一夜で激変する。それに立ち向かうのはスキルを持ったプロフェッショナル。今こそ、護る人間が求められている」というメッセージは、このコロナ禍に生まれたドラマとしての宿命のステートメントのように感じた。(渡辺彰浩)

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