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いま、最高の一本に出会える

Toshl、Kaya、JILUKA、清春、鬼龍院翔……それぞれの強み打ち出したアーティストたちのカバー作品

リアルサウンド

19/8/22(木) 7:00

 ヴィジュアル系によるカバー。古くはX(現X JAPAN)の「20th CENTURY BOY」(T.REX)やSHAZNAの「すみれ September Love」(一風堂)に始まり、ヴィジュアル系が世間一般に知られるようになった1990年代後半から2000年代前半にかけてはRaphaelの「タッチ」(岩崎良美)やヴィドールの「ギザギザハートの子守唄」(チェッカーズ)などインディーズバンドにも見られるようになり、ムック(現MUCC)の『COVER PARADE』やAcid Black Cherryの『Recreation』シリーズ、ダウトの『登竜門』のようなカバーを主としたリリースも見られるようになった。そして、ここ最近でも再びヴィジュアル系によるカバーを耳にすることが増えてきたように感じる。

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 冒頭のT.REXカバーで名前を挙げたX JAPANのToshlは昨年11月に初のカバーアルバム『IM A SINGER』をリリースしている。Toshl自身が歌いたい曲はもちろん、ファンがToshlに歌ってほしい曲から厳選された10曲は「赤いスイートピー」(松田聖子)や「糸」(中島みゆき)、「ひこうき雲」(荒井由実)のような往年の名曲から、「365日の紙飛行機」(AKB48)や「道」(EXILE)、「チキンライス」(浜田雅功と槇原敬之)のようなポップスまで幅広くカバー。X JAPANで見せるような激しさや荒々しさはないものの、バラードにはボーカリスト本来の力が表れると言われるように、心に沁み入るような歌を歌えるのがToshlの魅力でもある。原曲の良さを残しつつも、Toshlの唯一無二の透き通った歌声で歌うだけで自分の物にしてしまう凄さを感じることが出来た。

 ファンからのリクエストといえば2006年からソロシンガーとして活動しているKayaは“Road to 15th Anniversary”と題したプロジェクトの第一弾としてクラウドファンディングでカバーアルバムを企画し、6月23日にリリース。『DRESS』というタイトルは性別やジャンルの壁を歌とドレスであざやかに飛び越える女方シンガーであるKayaにぴったりで、まるでKayaを紐解くような13曲のドレスが用意されている。自身が強い影響を受けた中島みゆきや中森明菜をはじめ、椎名林檎やCoccoといった平成の歌姫、またシャンソン歌手としても活躍するKayaらしい「愛の賛歌」まで様々な歌姫の楽曲をカバー。「リフレインが叫んでる」(松任谷由実)や「異邦人」(久保田早紀)はデジタリックにアレンジ、リクエストが多かったというDREAMS COME TRUEからは「やさしいキスをして」をアカペラ&ゴスペルアレンジでカバーするなど歌姫へのリスペクトしながらもKayaらしさをしっかりと打ち出したカバーとなっている。

 懐かしの名曲をカバーするヴィジュアル系がいれば、まだ記憶に新しい楽曲をカバーするヴィジュアル系もいる。昨年日本中を“いいねダンス”で席巻、日本レコード大賞優秀作品賞も受賞し一躍時の人となったDA PUMPの「U.S.A.」をカバーしたバンドがV系モダンメタルを掲げるJILUKAだ。2015年に本格始動したJILUKAはまだ若手と呼ばれる立ち位置だが、現在盛り上がっているヴィジュアル系メタルの中心としてエクストリームメタルやテクデス(テクニカルデスメタル)を感じるその音楽性で知名度を伸ばしており、今回バンド初となるカバーEP『Polyhedron』でユーロビートの「U.S.A.」をメタルアレンジでカバー。“笑ってしまうほどの極悪な「U.S.A.」”と話題を呼んだ。また、本作では「U.S.A」以外にもDECO*27の「ゴーストルール」やDo As Infinityの「深い森」、SHOW-YAの「限界LOVERS」もカバーしている。

 カバーを完全に自分の色に染め上げているという点でいえば、デビュー25周年を記念した企画の第一弾としてカバーアルバム『Covers』を9月4日にリリースする清春を忘れてはいけない。ポニーキャニオン移籍後初のリリースとなる本作は、井上陽水や松山千春といった1980年代のフォークソングから最近のポップスまで幅広くカバー。事前に公開された「悲しみジョニー」(UA)のMVでは原曲の持つアダルトで少し気だるい雰囲気を清春が歌うことでさらにセクシーに仕上げ、「SAKURA」(いきものがかり)に至っては清春の新曲かと思うほど“清春の歌”になっており、もはや原曲のポップさは見当たらない。そして、今作にはsadsの「忘却の空」のセルフカバーが収録されていることも見逃せない。約20年前にリリースされたsadsの代表曲でもある「忘却の空」を50歳を迎えた清春がどのように歌うのか楽しみだ。

 セルフカバーといえばゴールデンボンバーの鬼龍院翔も昨年12月にこれまでに提供した楽曲をセルフカバーしたアルバムをリリース。その名も『個人資産』。この鬼龍院らしいネーミングセンスに笑ってしまうが、元々中島みゆきのセルフカバーを聴いていた彼がいつか自分も同じようにセルフカバーをしたいと構想していたもの。楽曲も大国男児に提供したラブバラード「Love Days」、Dancing Dollsに提供したアップテンポな「メロメロバッキュン」、氣志團が敬愛するクリエイターに楽曲提供を依頼しリリースした『万謡集』収録曲「きかせて!アンコール」、大竹しのぶに直接オファーをもらい提供した「Miren」、NSC時代からの友人でもあるしずるの村上純がプロデュースしたコントアイドル・Dollふに提供した「バッドエンディング」など、自分の色を出すというよりはそのアーティストの色に合わせた曲が並ぶ。ゴールデンボンバーでは聴けないような曲調や歌詞が聴くことができる一枚となっている。

 歌そのものを聴かせるためのもの、自分らしくアレンジしたもの、カバーの仕方はそれぞれだが、近年のカバーに対する“他人の褌論争”もある中、どれもがそれぞれの強みを打ち出したカバーになっており、その面白さを改めて再確認することができた。これが彼らの音楽を、さらにはヴィジュアル系の面白さを知るきっかけになってくれることを願っている。(オザキケイト)

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