Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

嵐、「Love so sweet : Reborn」にも表れた一貫した姿勢 時代感をアップデートして世界に伝えるJ-POPの美学

リアルサウンド

20/5/16(土) 12:00

 嵐が“Reborn”企画の最新作「Love so sweet : Reborn」を5月15日に配信リリースした。

(関連:嵐、リモートならではの斬新なゲームが話題に アイデアが詰まった『VS嵐』企画の面白さ

 昨年12月より過去のシングル曲をリプロダクションする“Reborn”企画を展開してきた嵐。第1弾では、デビュー曲「A・RA・SHI」を「A-RA-SHI:Reborn」として生まれ変わらせ、続く今年2月には同曲を含む「a Day in Our Life:Reborn」と「One Love:Reborn」を合わせた3曲を『Reborn Vol.1』として発表した。

 そして今回は、2007年にリリースされたシングル曲「Love so sweet」を再構築。これまでの“Reborn”作品と同様に、歌詞も大幅に改変され、英詞が曲中の多くを占めている。

 「Love so sweet」と言えば、ピアノを中心とした爽やかなバンドサウンドやキラキラとしたウインドチャイムが印象的に鳴り響く明るい楽曲だ。しかし、“Reborn”バージョンはいわゆる現代的なEDMをベースにしていて、同じ曲でも時代感がまるで異なるものになっている。

 たとえば、Aメロにあたる部分では音数を極力減らし、ボーカルを浮き立たせることで透明感のあるトロピカルハウスにも似た作りを見せる。徐々にビートを強め、サビでは一転してハードなエレクトロへと変化。緩急がはっきりとしているためサビで爆発するような盛り上がりを見せる。

 結果、原曲の持つ明るさの他にも“カラフル”なイメージや“力強さ”といった様々な要素を持った作品へと進化している。近年のダンスミュージックのトレンドを取り入れたことで、J-POP然としていた原曲が時代を飛び越え、ジャニーズ作品のイメージすらも一新するサウンドへと様変わりしているのだ。

 近頃の嵐の活動からしても、これは言うまでもなく海外への意識の表れだろう。原曲は10年以上前のリリースだが、生まれ変わった本作からは古さをまったく感じない。

■“Reborn”作品から読み取れる彼らの姿勢

 先日海外展開を視野にレーベルを移籍したSexy Zoneや、かねてより海外での活動を口にしているKing & Princeなど、後輩グループが今後海外へと飛び立っていく可能性がある。

 その中で先陣を切っているのが嵐であり、ジャニーズ全体として海外へ進出していくための“狼煙”とも言えるのがこのReborn企画の作品群だ。サウンドには大きな改変が加えられ、海外仕様へと変化している。

 その一方で、メロディはほとんど変えていない。特にサビ頭の〈想い出ずっと ずっと〉の部分などは、原曲の肝でもあるキャッチーさをそのまま活かした作りになっている。

 こうした点から、彼らの“ある姿勢”が読み取れる。

 原曲の持つメロディの美しさであったり、耳に残るキャッチーな作りや、「A→B→サビ」という起承転結の展開といった、J-POPそれ自体の持つ魅力を世界へ発信しているように感じるのだ。新曲を畳み掛けるのではなく、あえて既存の楽曲を作り変えるという企画の趣旨も、これまで彼らが積み重ねてきた表現の蓄積を広く世界へ伝えたいからだと思える。すべて英詞にしていないのは、日本語の響きをあえて残したいからではないか。

 そこで思い出すのが、彼らが昨年リリースした「Turning Up」の一節だ。

 〈世界中に放て Turning up with the J-pop!〉

 つまり、J-POPの形式的な部分や音楽的技術、あるいはポップミュージックに対する美学のようなものを彼らは世界に伝えたいのだろう。単に海外で活動したいのではなく、今まで歌ってきたJ-POPの素晴らしさを世界に放ちたい……そういう姿勢を”Reborn”企画、ひいてはここ数年の彼らからは感じるのだ。(荻原 梓)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む