DISH//の新曲「僕らが強く。」が、いつにも増して胸に突き刺さって感動してしまう。マカロニえんぴつのボーカル・はっとりが作詞作曲を行った同曲は、歌詞のメッセージが真っ直ぐ届くロックバラードだ。いつも以上に感動してしまう理由は、おそらくこれまで以上に強くメンバーの想いを楽曲に反映させているからだろう。

　この曲は、「DISH//を必要としている人との再会」というテーマのもと制作された。はっとりが1コーラスだけ制作しメンバーに送ったところ、北村匠海が「自分たちの気持ちも乗せたい。一緒に作っている感覚で進めたい」とはっとりに伝えたことから「メンバーの想いを楽曲に反映させる」という方向性で制作が進んでいったという。メンバーの熱い想いや葛藤を綴った言葉が、そのまま歌詞となり、楽曲が完成したのだ。つまり、楽曲提供というよりも、両者の溢れる思いを具現化した共作に近いものとも言える。

　もちろん、マカロニえんぴつの個性も楽曲の節々に感じられる。キャッチーで切ないメロディは「ブルーベリー・ナイツ」や「レモンパイ」など、マカロニえんぴつの人気曲に通ずる部分がある。また、〈笑っていたいんじゃなくてね、笑い合っていたのだ〉という「～のだ」という歌い回しは「青春と一瞬」などで見られる歌い回しでもあり、はっとりの個性を感じるフレーズだ。

　一方、〈止められないし止めさせない だって音楽は鳴り続けてる〉〈逃げ場所を守るためだったら僕も行く、僕らも闘うよ〉というフレーズからは、コロナ禍でライブができないことについてのメンバーの心境やスラッシャー（DISH//ファン）へのメッセージだ。北村匠海は、Aメロ、Bメロと少しずつ感情を強くしていき、サビでは振り絞るような声で全力で歌う。そんなボーカルからは、聴き手の心の奥底にまで曲のメッセージを届けようとする強い気持ちが感じられる。それでいて演奏は落ち着いていて優しい。音に包まれるような気持ちになる。溢れる感情をただ音楽としてぶつけるのではなく、丁寧に、大切に届ける。その熱い気持ちと優しさの共存によって、切実な問題に直面しながらも、ポジティブに前を向こうとする強い感情が押し寄せてくるのだ。

　　同曲について北村匠海は「「ひとりで悩まないでほしい」「いっしょに祈りたい」そんな想いを込めた素晴らしい楽曲になったと思います。この曲は、僕らからの一方的な応援歌ではありません。共に歌いたい歌です。是非聞いてくださる皆さまと共に歌えたらうれしいです」とコメントしている。思うように音楽を届けられないことに対する葛藤は、DISH//のみならず、はっとりとも共振する部分だが、それと同時にスラッシャー＝楽曲の受け取り手もコロナ下の中で不安に苛まれながら日々を送っている。前述した“DISH//とはっとりの共作”という意味合いだけでなく、いつかライブでみんなが声をそろえて共に歌い、笑い合えたときこそ、この曲は真の意味で完成するのかもしれない。

あいみょん提供曲「猫」にも共通する“他者への愛”

　あいみょんが楽曲提供した「猫」も、DISH//が歌い演奏したからこそ多くの人の心を掴んだのだと思う。YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』に投稿されたアコースティックバージョンが大きな注目を集めた「猫」。この曲もまた、エモーショナルな北村匠海のボーカルと他メンバーによるアコースティックの優しい演奏が楽曲の世界観をより深いものにしている。

　DISH//は提供された楽曲をただ演奏し歌うわけではない。楽曲に込められた想いや意味を作詞作曲者以上に理解し、表現しようとしている。NHK総合『シブヤノオト』に出演した際には「僕らも本当に大切に歌ってきた楽曲だったので、やっと届いたなっていう感覚」と語っていた。そうやって音楽と真摯に向き合った結果、多くの人にDISH//の音楽が届いたのだ。「猫」と「僕らが強く。」両方に共通しているのは、形は違えど他者への“愛”だ。DISH//側がこの流れをどの程度想定していのかは分かりかねるが、様々な“愛”が求められ、再確認されている2020年に、この2曲がしっかりと大衆に届いたことは、バンドのキャリアにとっても大きな意味を持つにちがいない。

　また、これまでもDISH//は、THE KEBABSの新井弘毅による「勝手にMY SOUL」、UNISON SQUARE GARDEN・田淵智也が提供した「ビリビリ☆ルールブック」など、多種多様なアーティストが様々なジャンルの楽曲提供している。当初のアイドル的な立ち位置から、様々なライブ経験を重ねてロックバンドへと成長してきたDISH//。そんなキャリアは、J－POP的なものからロックサウンドまで、どのようなタイプの楽曲にも対応できる柔軟性を育んだ。その上で、どんな楽曲に対しても真摯に向き合う姿勢を貫く彼らだからこそ、たとえ著名なアーティストや大物作曲家が提供したとしても、DISH//が歌うべき楽曲として成立させることができるのだ。

　メンバー自ら作詞・作曲を担当した2ndアルバム『召し上がれのガトリング』からはじまり、さかいゆうが作曲した「Shape of Love」や池窪浩一（bahashishi）が作曲した「PM5:30」では北村匠海が作詞を担当。「僕らが強く。」の制作の流れからも感じるが、徐々にクリエイティブな表現の範囲も広がり、そこに積極的に挑戦しようとする意思がメンバーからも感じられる。

　彼らがそうやってクリエイティブに挑戦するのは、おそらく自分たちの思いやメッセージ、音楽をできる限りそのままの形でスラッシャーやリスナーに届けたいと真剣に考えているからだろう。だからこそ、DISH//の演奏や歌声には胸が打たれてしまうし、特別な想いが込められた「僕らが強く。」に心底感動してしまうのだ。

■むらたかもめ
オトニッチというファン目線で音楽を深読みし考察する音楽雑記ブログの運営者。出身はピエール瀧と同じ静岡県。移住地はピエール中野と同じ埼玉県。‬ロックとポップスとアイドルをメインに文章を書く人。
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■生配信ライブ
『SUMMER AMUSEMENT ’20 -Tasty Activity-』
生配信日時：2020年8月29日（土）
入場17:30 / 開演18:30 / 終演予定20:00
料金：3,500円（税抜）
販売期間：8月22日（土）12:00〜8月30日（日） 12:00
販売ページはこちら

【見逃し配信期間】
公演終了後〜2020年8月30日（日）23:59まで
※公演終了後から見逃し配信公開まで、お時間をいただく場合がございます。
【配信メディア】
Stagecrowd
※推奨環境はこちら
※ほか詳細はDISH//オフィシャルサイトをご確認ください。

■リリース情報
DISH//
「僕らが強く。」
2020年8月12日（水）配信
日本テレビ系『スッキリ』8月テーマソング

DISH//「僕らが強く。」SPECIAL SITE

■「僕らが強く。」各配信ストアキャンペーン概要
8月12日（水）配信開始から以下の各配信ストアでも素敵なプレゼントが当たるキャンペーンを実施予定です。
※応募方法詳細は追ってお知らせいたします
＜実施期間＞
8月12日（水）配信開始～9月1日（火）23:59

＜ダウンロード購入者特典キャンペーン＞
レコチョク：メンバー直筆サイン入り「僕らが強く。」ポストカード　10名様
mora：メンバー直筆サイン入り「僕らが強く。」ポストカード　3名様
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＜サブスクリプションキャンペーン＞
LINE MUSIC：希望メンバーによる当選者お名前入り動画コメント　40名様
※[当選者数]：各メンバーにつき10名ずつ合計40名様となります。
Rakuten Music：メンバー直筆サイン入り「僕らが強く。」ポストカード　10名様

＜Twitterシェアキャンペーン＞
AWA：「僕らが強く。」ステッカー　パターンA　10名様
Apple Music：「僕らが強く。」ステッカー　パターンB　20名様
Spotify：「僕らが強く。」ステッカー　パターンC　20名様

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