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堀川沿いを舞台に、名古屋の歴史と文化にスポットを当てるアートイベント 「ストリーミング・ヘリテージ|台地と海のあいだ」が開催中

ぴあ

さわひらき《Flying along a dry river bed(installation)》

愛知県名古屋市において、名古屋の歴史や文化遺産に光を当てる新しい現代アートイベント「ストリーミング・ヘリテージ|台地と海のあいだ」が3月12〜28日の金・土・日曜に開催されている。屋外の映像作品が多く、日暮れから盛り上がりを見せる都市型のアートイベントだ。

本イベントの舞台となるのは、名古屋城から納屋橋周辺エリア、熱田の宮の渡しエリアまでの堀川沿い。もともと、名古屋台地と熱田台地のへりには、古くから残る文化資源や観光資源(ヘリテージ)が数多くある。これらを結びつけている堀川の流れ(ストリーム)とともに光を当て、リアルタイムに再生(ストリーミング)していくのがこのイベントの試みだ。美術作品の展示に加え、シンポジウム、トークイベント、マルシェなど多彩なプログラムが開催される。

阿野太一の写真作品
平川祐樹《a film by #T.H. 1929 #Unknown 1926-1927 #Unknown 1928-1930》

本イベントでは堀川沿いに作品が展示されている。熱田・宮の渡しエリアの「丹羽家住宅」では、1階で平川祐樹の映像作品《a film by #T.H. 1929 #Unknown 1926-1927 #Unknown 1928-1930》を上映。本作品は1920年代に制作されたものの、現在は行方不明となっている戦前に制作された日本映画のシーンを再現したものだ。2階では阿野太一による瀬戸染付焼の写真作品が展示される。丹羽家住宅は陶磁器が運ばれた堀川河口に位置する旧旅籠屋。いずれの作品も、かつてその場所にあったものや記憶に思いが及ぶようになっている。

納屋橋エリアには屋外展示が密集している。いずれも日が沈む夕方から上映される映像作品で、白いスクリーンではなく、ビルの壁や橋の下、橋脚にプロジェクションされ、都市と作品を一体で鑑賞できる。また、アーティストの作った音楽は街の喧騒と混ざりあいギャラリーや美術館とは異なる雰囲気で耳に届いてくる。

佐藤美代(音楽:BONZIE)《alone》
さわひらき《Flying along a dry river bed(film screening)》
井藤雄一《Recollecting Shortages》

イベント開催日に限り、堀川の朝日橋から納屋橋、そして納屋橋から宮の渡しまでの2区間で船を運行している。熱田・宮の渡しエリアから納屋橋までは船なら40分ほどなので、積極的に利用したい。名古屋の建築物や橋などを眺めながらの移動は格別だ。

展示のほかにも3月26日(金)、27日(土)にはアーティストを交えたトークイベントや、ライブパフォーマンス、マルシェなども予定されている。

名古屋の資源にアートで光を当てる本イベントは好評で、すでに第二回の開催が11月に予定されている。名古屋の歴史を振り返り、現代美術、メディア・アートを楽しむかけがえのない機会。ぜひ楽しみたい。

構成・文:浦島茂世 撮影:山田亘

【開催情報】
「ストリーミング・ヘリテージ|台地と海のあいだ」
3月12日(金)〜3月28日(日)の金土日、名古屋城エリア、納屋橋エリア、熱田・宮の渡しエリアにて開催
https://streamingheritage.jp/

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