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『エール』中村蒼、自身と“真逆”の鉄男を熱演 入山法子との切ない恋物語に終止符

リアルサウンド

20/5/29(金) 12:00

 5月25日に東京都の緊急事態宣言がようやく解除され、“朝ドラ受け”を担当する情報番組『あさイチ』(NHK総合)に出演した中村蒼。『洞窟おじさん』(2015年)や『赤ひげ』シリーズ(2017年)など、個性的な役柄をこなしてきた中村は、鉄男役を演じているNHK連続テレビ小説『エール』の共演者・山崎育三郎から「とにかく大人しくて無口」だと素顔を明かされた。そんな中村とは真逆の性格である、鉄男の切ない恋が描かれた第9週「東京恋物語」。

参考:小南満佑子、二階堂ふみの“最高のライバル”に

 恋の相手、希穂子(入山法子)が鉄男に黙って福島を去った理由。それは、鉄男が務める新聞社の堂林社長(斉木しげる)が鉄男に恋する娘・仁美(春花)のため、希穂子に手切れ金を渡したからだった。自分が断れば鉄男が会社をクビになってしまう、そんな状況でお金を受け取った希穂子。真相を知った音(二階堂ふみ)は、裕一(窪田正孝)のレコード発売記念パーティーに彼女を誘う。

 パーティー当日、希穂子はお祝いの洋酒を持って現れる。鉄男に謝罪し、立ち去ろうとする希穂子に、久志(山崎育三郎)は鉄男が作詞した「福島行進曲」を聴かせた。鉄男のモデルとなった野村敏夫が作詞し、裕一がメロディーをつけた同楽曲には、こんな一節がある。

<柳並木に灯がともりゃ/泣いて別れる人もある>

 地方小唄と同時に、恋の歌でもある『福島行進曲』。貧しい家に育ち、幼少期に苦労した鉄男は、「世の中捨てたもんじゃない」と思わせてくれた心優しい希穂子に惹かれた。そんな希穂子が時折、人のために嘘をつくことも鉄男は知っていたのだ。

「俺と一緒に生きてくれないか」

 一世一代のプロポーズをした鉄男に、希穂子は涙を浮かべながら、違う人と結婚することになったと別れを告げた。すべては鉄男のための嘘。きっと鉄男もそれが優しい嘘だと分かっていただろう。けれど、運命は「椿姫」のヴィオレッタとアルフレードのように、鉄男と希穂子を切り裂いた。恋の機微を学んだ音は、別れた二人の関係を思いながら「鷹ノ塚記念公演」の最終選考に臨む。アルフレードを愛するが故に、自分の心に嘘をついたヴィオレッタの姿が希穂子と重なった。涙を流して、歌に感情を込める音。そんな彼女の歌声に、審査員の学長や双浦環(柴咲コウ)も聴き入る。イタリアから歌の先生を呼び寄せ、万全を期したライバルの千鶴子(小南満佑子)も動揺を隠せなかった。

 結果、「椿姫」のヴィオレッタ役を音は射止めることに。東京で暮らし始めてから長い間、日の目を見なかった裕一と音は互いの奮闘を讃えるように、しっかりと抱き合った。

 音楽への情熱はあるものの、純粋さ故に“何か”が足りなかった裕一と音。それは、どちらも歌詞に描かれた想いや願いを理解することではないだろうか。生まれ育った環境や性格は違えど、少しだけ世間知らずな一面が共通している2人に、早稲田大学応援部団長・田中(三浦貴大)や環、希穂子など、2週続けて様々な人物がヒントを渡した。

 そしてもう一人、重要だったのが鉄男の存在だ。幼い頃にエールを送ってくれた裕一に、これまで何度も「夢を諦めるな」と背中を押し続けた鉄男。歌詞を提供して裕一がレコードを発売するきっかけを作っただけではなく、自身の経験を通して音に誰かを愛する気持ちを教えた。これからも物語に欠かせない人物として、活躍してくれるだろう。彼の恋は残念ながら散ってしまったが、物語の終盤、道をふり返った希穂子の表情は優しく、鉄男の未来を願っているように見えた。(苫とり子)

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