太田基裕 原田優一 撮影:源賀津己
ボブ&ジム・ウォルトンの実の兄弟によって書かれた抱腹絶倒のミュージカルコメディ『ダブル・トラブル』が2021年5月2日(日)から上演される。出演者はたったふたりで、演奏はピアノだけ。歌って踊って曲を書くボビー&ジミー兄弟を演じつつ、映画会社の社長や秘書、演出家、スター女優など、およそ10人もの人物をふたりで表現する。 ふぉ〜ゆ〜の福田悠太と辰巳雄大ペアの〈ハリウッドチーム〉と、原田優一と太田基裕ペアの〈ブロードウェイチーム〉の2チームで上演される本作より、絶賛稽古を重ねている原田と太田に作品の見どころや意気込みを聞いた。
頭がぱんぱんのふたりです(笑)
――今まさにお稽古中ですよね。順調ですか?
原田 ひたすら歌を入れて、本読みをして、昨日ようやく初振付に入りました(※取材は4月上旬)。頭がぱんぱんのふたりです(笑)
――おふたりでおよそ10役ですものね。
原田 はい。お芝居だけではなく、役を変えるための段取りを覚えなくてはいけないのが大変ですね。袖に引っ込んだら一息つけるわけではなく、袖に引っ込んで、すぐに着替えて、また出て行かなくてはいけない。普通のお芝居の倍以上の段取りがあるのではないかなと思いますね。
太田 引っ込むという感覚はもはやないですね(笑)。ずっと舞台上にいるような感覚で、歌って踊って、セリフ言って。しかも、何役もやるという、なかなかの緊張感のある舞台ですね。
――最初に脚本を読まれたときの印象は?
原田 いろいろな役を瞬時に入れ替わったり、ひとつの役をふたりで割ったりするんです。例えば、私がある役を前半でやるけれど、後半はもっくん(※太田の愛称)がやるんですね。1行挟んで別の役ということもあるので、「これ、物理的に(役を)変われるのか?」というところも含めて、とにかく混乱しました。
でも、すごく面白い構造になっている本です。そこを楽しめるようになるまで、頑張りたいと思います。前途長い道のりだけれども(笑)。
およそ10役を着替えながら演じる難しい舞台
とにかく体で覚えていくしかない
――原田さんは、ここまで多くの役を演じるのは、初めてですか?
原田 僕は『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2019』という作品で、ふたりで20役を経験したことがあるのですが、その時は、役名が書いてある帽子を被って、役を切り替えるという演出でした。出ずっぱりではあったのですが、今回は着替えもあるので、体力的には今回の方が大変ですね。
太田 原田さんの俳優のキャリアの中でも、一番この作品が大変かもと仰っていましたよね。
――太田さんはいかがですか?
太田 台本をいただいて、初めて読んだ時に、まず自分がどの役を演じるかを想定しながら読んだんですけど、数ページで混乱してきちゃって、そっと閉じました(笑)。なんとかしがみつきながら、頑張りたいなと思っています。
――間髪入れずに、役を切り替えるとなると、かなり難しそうですよね。
原田 そうですね。次の役に切り替わるための準備の時間はないので、体が勝手に動くぐらいに、役も段取りも全てを覚えておかないといけないですよね。役への替り方すらも段取りとして覚えていかないと。
太田 覚えられる気がしないです(笑)。これまでも、出はけが激しい役の経験はあるものの、覚えられなくて、両袖にメモを置いていましたから(笑)。不安はありますが、とにかく体で覚えていくしかないので、何回も繰り返して、体にしみ込ませたいなと思います。
――たくさんの役を演じられるということで、役へのアプローチも、普段のお芝居とは違うものになりそうです。
原田 いろいろなキャラクターを演じるのは、衣装やカツラが違うとはいえ、結局この体でこの顔なわけですよ。だからこそ、キャラクターをどう個性的に見せていくかが肝になってきます。このキャラクターはどういう喋り方のテンポなのか、どういう声の高さなのか。そういう特徴をまず見つけていって、そこから役を深めていこうと思っています。
太田 一つひとつのキャラクターの魅力、例えばその奥深さや優しさを一つひとつ見つけていって、提示していけたら、温かくて愉快なコメディになるのではないかなと思います。薄っぺらい作品にならないように気をつけたいです。
原田 どの役も愛おしく思えたらいいね。
太田 はい。本当に素敵に演じられれば、どんな役も愛おしく見えるはずですから。それぐらいの余裕が持てるまで稽古ができたらいいなと思います。
ハリウッドチームは半分優しさでできています(笑)
――楽曲のことを伺います。ピアノのみの演奏ということですが、どんな雰囲気になるのでしょうか?
原田 テイストとしては、スイングやジャズが入りますし、ジュディ・ガーランドやジーン・ケリーの名前も出てきて、これぞ古き良きアメリカという感じの音楽です。遊びの要素もたくさん取り入れられていて、それをピアノ一本でやる格好良さがありますね。歌う方は難しいんですけど(笑)、おしゃれで素敵な音楽です。
太田 ピアノ一本だからこそ、メロディの良さが際立つし、歌い手がしっかり届けていかないとぐちゃぐちゃになってしまう怖さもあります。僕自身、ピアノだけで歌うのは初めて。ストーリーを伝えながら、メロディの良さも伝えていきたいと思っています。
――ふぉ〜ゆ〜のおふたりによるハリウッドチームとは、どういう違いがあると思いますか?
原田 ハリウッドチームは、半分優しさでできています(笑)。すごく格好良いし、器用だし、スタイリッシュなのだけど、優しさでできているから、見ていて癒される(笑)。力が入らずに自然体でいるところもあるし、そこからいきなりキレキレのダンスをしたりする。見ていて心地のよいチームですね。
太田 ふぉ〜ゆ〜って感じですよね。ふたりの息がぴったりで、うらやましいです。これぞグループという感じがします。
――つまり、全然違うチームになりそうということですね?
原田 はい、全く違う個性のチームになりそうだなぁという予感がします。暖色と寒色ぐらい違うかもしれない。かといって、ライバル視をしているわけではないし、お互いにいいところを素直に盗みあったり、褒めあったりするところもあって。この4人でよかったなと思います。これから稽古が本格化して、初日の幕が開く頃には、同じ脚本で、同じ歌を歌って、同じ振りを踊るけれども、全く違う見え方になるでしょうね!
大いに笑って、舞台がいいストレス発散になってくれたら
――最後に楽しみにされているお客様に、メッセージをお願いします!
原田 今までもいろいろなキャラクターをやらせていただたいのですが、原田的には新キャラを登場させるつもりです。自分にとっての鉄板のキャラクターがいるものの、それを一回封印して、今までやったことのないキャラクターをいろいろと試行錯誤している最中です。……まぁ、ここまで言っておきながら、今までのキャラクターが出てきた時には笑ってやってください(笑)。
あとは、ペアの良さを全面に出せるようにしたいですね。一人ひとりが独立したエンタテイナーとして表現しつつ、それぞれのチームの良さや違いも出していきたいです。
太田 言いたいこと原田さんが全部言っちゃったな(笑)。舞台ならではの仕掛けがたくさんあるので、ぜひ生で劇場に来ていただいて、僕らの汗も、声も、響きも、いろいろなことを感じとって、持って帰っていただけたら嬉しいなと思います。コメディなので「くだらねぇな」とか「面白いな」とか感じていただいて、いいストレス発散になってくれたら嬉しいですね。
原田 ふたりのエンタテインメント作品として、大いに笑ってほしいです。画面越しでは伝えきれないと思うので、ぜひ生で見ていただきたいです。
取材・文:五月女菜穂 撮影:源賀津己
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公演情報
ミュージカル『ダブル・トラブル』
(A Musical Tour de Farce)
脚本・作詞・作曲:ボブ・ウォルトン&ジム・ウォルトン
翻訳・訳詞:高橋亜子
演出:ウォーリー木下
音楽監督:落合崇史/大塚茜
振付:TETSUHARU
タップ振付:本間憲一
出演:
〈ハリウッドチーム〉福田悠太(ふぉ~ゆ~) 辰巳雄大(ふぉ~ゆ~) ピアノ:小林 創
〈ブロードウェイチーム〉原田優一 太田基裕 ピアノ:堀 倉彰/中原裕章
【プレビュー公演】
会場:志木市民会館パルシティ
5月2日(日)~3日(月・祝)
【東京公演】
会場:紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
5月12日(水)~16日(日)
会場:よみうり大手町ホール
5月12日(水)~30日(日)
※各日程の出演者はホームページにてご確認ください。
※緊急事態宣言の発令に伴い、大阪公演全公演、東京:紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA公演の一部が中止となっております。
最新の公演情報につきましては、公式サイトにてご確認ください。
(本ページに掲載された情報は4月29日時点のもの)
公式サイト:https://www.musical-wtrouble.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/wtroublejp
主催/企画・製作:シーエイティプロデュース