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いま注目の10代バンド、リュックと添い寝ごはんとは 初の配信ワンマンライブを目前に、これまでの歩みと魅力を分析

リアルサウンド

20/8/22(土) 12:00

 リュックと添い寝ごはん、というバンドをご存知だろうか。というか、この言葉の並びを見て、バンド名なのだと一発で分かる人なんているのだろうか。

 東京を拠点に活動する3ピースバンド、リュックと添い寝ごはん。結成は2017年。同じ軽音楽部に入った当時高校1年生の松本ユウ(Vo/Gt)、堂免英敬(Ba)、宮澤あかり(Dr)が一緒にバンドを組むことになった。ちなみに、不思議なバンド名は宮澤発案とのこと(参照:OKMusic)。結成すると「Eggs」にオリジナル曲の投稿を開始。「Eggs」とは、タワーレコードとレコチョクの2社による、インディーズおよび新人アーティストの活動を支援するサービス。アーティストは音源を無料でアップすることができて、リスナーはその音源を無料で聴くことができる。

 そこから人気に火がついた。「Eggs」内のランキングでは常に上位にランクイン。2019年の年間ランキングでは、アーティスト・楽曲ともに1位を獲得した。楽曲部門で1位を獲得したのは「ノーマル」という曲だが、他にも「サニー」が4位に、「モノラル」が6位に入っている(参照:Eggs)。「Eggs」の主なユーザー層は、若年層かつ早耳の音楽ファンであり、ここで支持を得たということはつまり、ネクストブレイク候補として注目されているということ。ロッキング・オン主催オーディション『RO JACK for ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019』での優勝、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019』への出演もバンドの勢いを後押しした。

サニー

 リュックと添い寝ごはんの曲を聴くとまず、松本の歌声に耳が行く。中~低音域をゆったりと歌う、温かみのあるハスキーボイス。楽器隊は過度な主張しすぎず、歌とメロディ、言葉を聴かせるためのアレンジが施されている印象だ。作詞作曲を手がける松本は、自身の想いを飾らず綴るタイプのソングライター。今年3月にリリースされた初の全国流通盤『青春日記』では、10代特有の空虚と希望ーー過去の日々を通り過ぎたものとして見つめたときに感じる寂しさと、それでも明日を信じて視線を上げようとする気持ちが描かれていた。〈ここからだ〉(「青春日記」)、〈歩み続けるのさ〉(「サニー」)、〈そのまま駆けてゆけ〉(「グッバイトレイン」)など、各曲のラストに歌われるフレーズが曲中で最も力強い言葉であるのも特徴的だ。

リュックと添い寝ごはん / 青春日記 [Music Video]
リュックと添い寝ごはん / グッバイトレイン[Music Video]

 『青春日記』のリリースと同じ時期、今年3月に高校を卒業した3人。そこから約5カ月後、8月19日に配信リリースされた新曲「生活」からは、新たな扉を開かんとするバンドの意欲が伝わってきた。ベースが半ばソロに近いプレイをするイントロからしてまず新鮮。ベースに引っ張られる形で全体のグルーブが増しているし、ドラムはリズムパターンが豊富になっているし、ギターもリズミカルな動きが増えている。歌心はそのままに、自然と身体を揺らしたくなるようなサウンドへと変化した。歌い出しは〈空っぽな時が少し増えてきた/体はまだ動かないままで〉で、おそらくこの曲の歌詞は、コロナ禍を受けて書かれたものだろう。せめて笑顔を忘れずにいよう。ちゃんと心は踊らせてあげよう。そんなメッセージを読み取ることができる。

 メンバーが出演するMVは、画質をあえて粗くしている箇所もあり、全体的にレトロな質感だ。過去のインタビューで松本が「ネオ昭和」というワードを出していること(参照:CINRA)や、松本がInstagramにアップしている写真のテイストなどを鑑みると、MVの世界観はメンバーの趣味を反映したものと推測できる。それこそ昭和レトロやフィルムカメラなど、自分たちがリアルタイムで生きていない時代の“昔っぽい”ものに対して、若者が“エモい”という言葉を使う事象をよく見かけるが、それに通ずる感覚をこのMVからも感じる。

リュックと添い寝ごはん / 生活 [Music Video]

 新曲「生活」を携えて、8月26日には配信ライブを行うリュックと添い寝ごはん。ライブのタイトルは『ワンマンショー in お茶の間』で、会場はTSUTAYA O-nest。元々、新型コロナウイルスが猛威を振るう以前から、この日にO-nestで初ワンマンをすることが決まっていたが、現状を踏まえ、配信での開催に切り替えたそうだ。とはいえ、初ワンマンとは、言うまでもなくバンドにとって記念すべきもの。状況が落ち着き、観客を入れた状態でライブができるようになるまで初ワンマンは行わないという選択もあり得たはずだが、そうしなかったのは、自分たちの曲およびライブをいち早くファンに届けたかったからなのか。聴いてくれる人に音楽を通じて今伝えたい想いがあったからなのか。初ワンマンを先延ばしにせず、今スタートを切ることがバンドにとって大事だと判断したからなのか。

 いずれにせよ、前に進む選択をしたリュックと添い寝ごはん。当日はメモリアルなライブになることは間違いないだろう。来週を楽しみにしていたい。

■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。

■リリース情報
リュックと添い寝ごはん 配信シングル「生活」
8月19日(水)配信スタート(RICE RECORDINGS)
ダウンロードはこちら

■ライブ情報
『リュックと添い寝ごはん ワンマンショー in お茶の間』
2020年8月26日(水)19:00配信開始予定
Streaming+にて配信
※ライブ配信開始~24時間のアーカイブあり<受付終了:2020年8月27日(木)17:00>

・チケット発売中<¥1,800(税込)>
購入はこちら

■関連リンク
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Eggs

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