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こんな新婚生活は逃げ出す!? 河北麻友子が語る、悲鳴を上げながらハマった『THE GREAT』

リアルサウンド

21/2/10(水) 12:00

 『マレフィセント』で純朴なオーロラ姫を演じた、エル・ファニング。そんな彼女が今度は皇后として、世直しに挑む。若干3歳でスクリーンデビュー、これまで数多くの作品に出演し、様々な役柄を演じてきた彼女がドラマの主演に初挑戦した作品が海外ドラマ専門チャンネル スーパー!ドラマTVにて2月15日より独占放送が開始となる『THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語~』(以下、『THE GREAT』)だ。

 舞台は18世紀のロシア宮廷。エル・ファニングが実在する女帝エカチェリーナを演じ、その夫である皇帝ピョートルをニコラス・ホルトが演じる。ドイツからロシア皇帝ピョートルの元へ嫁いできた貴族の娘、エカチェリーナ。しかし、早々にロシア全体が彼のせいで苦しめられていることに気づく。国のために奮い立つ、彼女の史実に基づいた話とフィクションが絡み合う、新しい形の歴史ドラマである。

 今回リアルサウンド映画部では、『THE GREAT』に今までにない宮廷モノ作品としての新鮮さを楽しんだという河北麻友子にインタビュー。結婚がテーマともなっている本シリーズの魅力を語りながら、夫のピョートルをぶった斬る。

ミステリー作品が好きな人も楽しめる『THE GREAT』

 もともと海外ドラマが好きな河北だが、幼少期をニューヨークで暮らしていた彼女にとって、海外ドラマを観るという感覚は少し違う。

「ニューヨークで暮らしていた頃も普段からドラマを観ていましたが、その時は海外ドラマを観ている感覚ではなく、あくまで現地で放送されている普通のドラマを観ている感覚だったので、今でもそれは変わりません。当時は『CSI:科学捜査班』や『バフィー 〜恋する十字架〜』を家族と一緒に観ていました。最近はステイホームで巣篭もり中に『愛の不時着』にハマってしまい、もともと韓国ドラマは私よりもお母さんが観ていたのですが、私もすっかり夢中になりました。今は世界中のドラマが様々な放送チャンネルやプラットホームで楽しめるので、私自身国を問わずいろんな作品を楽しんでいます」

 ちなみに、好みのジャンルはアクションやミステリーだと言う。

「『ピーキー・ブラインダーズ』にもハマりましたね。事件を解決していく系の作品が好きで『ブラックリスト』も観ていました。なので『THE GREAT』は普段観る作品とは少しジャンルが違うけど、それでもミステリー要素があって楽しめました」

 確かに、本作は愚夫のピョートルから精神的苦痛を受けながら、エカチェリーナが国をよくするためにいかにして彼を暗殺しようとするかが物語の大きな筋となっている。

「この先どんな風にエカチェリーナが夫を暗殺していくのか、そしてピョートルは彼女が幸せそうじゃないと、彼女を殺して新しい妻をもらおうとしてしまうし、まさにお互いがどう出ていくかという点でミステリー要素があります。事件性というと少し違うけど、その場をどう切り抜けていくかが見どころですね。最初はロマンチストなエカチェリーナが自分の憧れる結婚の夢を語るので、そういうラブストーリーなのかなと思いきや、割と問題を解決してのし上がっていくという思わぬ展開だったのでワクワクしました」

エカチェリーナとピョートル夫妻の関係性 「寄り添わないのが新鮮」

 エカチェリーナは、夢を持ってロシアに嫁いできた。お見合い結婚とはいえ、夫のピョートルとの愛に溢れたロマンチックな新婚生活を思い描いて。しかし、そんな彼女の淡い期待は、初夜にぶち壊される。彼らは水と油といっていいほど、価値観も趣味も一切合わなかった。そんな二人の関係性を、河北はこう語る。

「二人とも真逆のタイプですよね。一人は絵に描いたような心優しいプリンセスタイプで、もう一人は絵に描いたような最低男。私は、エカチェリーナがディズニープリンセスのベルに似ていると思うんです。ベルみたいに頭も良くて夢みがちで、ロマンチストで、強い女性で……。だから、この最低男とどう結ばれるのかと思いきや、全く違う方向に向かっていくので、ラブストーリーのように始まるけれど、その“寄り添わなさ”が新鮮でした。昔の作品やドラマの舞台である18世紀だと、女性のエカチェリーナ側が夫に寄り添って、だんだんと彼色に染まっていくような傾向の作品が多いと思うんです。けれど、現代の女性主体の風潮を汲んだかのように、彼女の考えをしっかり通して、彼女の叶えたい夢を実現させる方向に舵が切られたので、新しさを感じました」

 王宮をテーマにした作品は、いつも豪勢で浮世離れしたものが多い。しかし『THE GREAT』はその路線を少し外れた、新しい見どころを魅せてくれている。

「時代設定もコスチュームも含めて、全ておとぎ話の世界観なのに、夫婦の様子がえげつないから、現実的に感じる部分があります。特に、エカチェリーナの方がリアリストなんですよね。彼女が皇后としての人生を歩むと決めた時、ピョートルの条件を飲んで彼に従って生きていくのかと思いきや、彼を好きになる努力をするというメモ用紙を捨てるところから始める。予想の裏をついてくる展開に、目が離せないんです」

 ブラックユーモア万歳の本作では、生首や死体などグロテスクなものも時折画面に登場する。おとぎ話をリアルに描くという演出は、そういったドラマのコメディ要素にも大きく影響している。

「時々、笑えないくらい、内容がすごいんです。それでも、そういうものが『あれ? 今見たのって気のせい?』って思うぐらい、サラッと流れるから(笑)。でも、本当の人生ってそういうもので、よくない部分もたくさんあるのかなと。普段の映画が見せないものを、この作品では全て見せてくれていて、そういったリアルさを演出しているのが味わい深いです」

ピョートルのような男性は「絶対許せない」

 さて、先日結婚報告があったばかりで、幸せな新婚生活まっただ中の河北。一方で、交際ゼロ日婚で地獄のような新婚生活を送り始めたエカチェリーナに同情してならないそうだ。

「私だったら絶対耐えらません。壮絶すぎます! ピョートルは、女性が思う“こんな男は無理”っていう要素の全てを持っていると思っていて。酒癖も女癖も悪いですし、妻のエカチェリーナに対する喋り方とか全くリスペクトがない。彼は“最悪”の全てを兼ね備えている存在なんです。だから、正反対のエカチェリーナとはずっと喧嘩しっぱなしなんですよね。私は、喧嘩した時は基本的に話し合いたいです。話し合って解決しないことは、第三者に相談したり。でも、ピョートルと話すことは無理です(笑)。ピョートルの場合はエカチェリーナが大好きな熊を目の前でふざけて殺したり、本気で殴ったりするからさすがに許せません。

 それでも、毎回二人が朝ごはんを食べるシーンで期待してしまうんですよ。『昨日はごめんね』と謝り合ったりするのかなって……でも、そういうことも起きない。ピョートルはただ妻が欲しかっただけで、たまたまエカチェリーナが選ばれた、それだけのことなんだなと思いました。怖いなと思ったし、トラウマになりそうです(笑)。あんな新婚生活だったら、逃げ出したくもなるけど、逃げたら冗談抜きで殺されてしまいますし……。私も朝ごはんは(旦那さんと)一緒に食べる派ですが、もっと温かくて楽しい朝を過ごしています(笑)」

召使いとエカチェリーナのシスターフッドにも共感

 地獄のような新婚生活に参ってしまうエカチェリーナは、何度も故郷のドイツに帰りたいと呟くようになり、日々ホームシックになりながら家族に手紙を送る。一度は脱走して国に戻ろうと試みるが、彼女の計画を見抜いたピョートルに殺されかけてしまう。彼女の故郷を想う気持ちに、アメリカでの生活が長い河北が共感するのは自然なことだった。

「やっぱりホームシックにはなりますね。今の時代はLINEやテレビ電話ができるけど、彼女は本当にたった一人で戦っているので、私だったら心が折れちゃうなと思いました。いつか手紙でさえも中身を見られたり、届かなくなったりするのでは、という恐怖もある。一概に安心しきれないし、絶対ということがない状況なので、先が見えないことは私だったら頑張れないから、彼女は凄いと思います」

 しかし、エカチェリーナは独りではない。彼女の召使いを務めるマリアル(フィービー・フォックス)は、元貴族だったのにピョートルの意向で召使いに格下げさせられたという背景を持つキャラクターだ。毒舌で、宮廷の色に染まらないエカチェリーナを応援する存在となる。そんな二人の姉妹のように女同士で支え合う関係性も、本作の見どころだ。

「私もお姉ちゃんがいるので、彼女にしか言えないことがよくあって。姉妹や女性同士だからこそ分かり合える部分があることに共感できました。一人だけでもマリアルのような存在が近くにいれば、ピョートルのようなひどい夫でも頑張れるかもしれない……? いや、絶対無理ですね(笑)。でも唯一、救われる瞬間になるのは確かだと思います。旦那の周りの宮廷の人々も皆、おかしなところがあるから、だんだんエカチェリーナが『私がおかしいのかな』って自信を失ってしまうかもしれない。そんなときに、マリアルが、エカチェリーナが彼女らしくいられるように側にいて、一緒に時間を過ごしてあげるのがいいなと思いました」

女性の社会進出を目標に突き進む主人公の強さ

 本作では、男尊女卑の世界で女性への教育を求めてエカチェリーナが奮い立つ。女性の社会進出を目指して突き進む女性が主人公という物語ということで、主演を務めたエル・ファニングがまさに適役だったと、河北は語る。

「エル・ファニングはもうプリンセスにしか見えませんでした。本当に綺麗で、その真の強さや、言葉一つ一つに重みがあって。あの役のままにしか見えないぐらい、まさに適役だと思いました。女性進出を描いたドラマとしては、今まであってもおかしくないのになかったタイプだと思います。女性だからこそ、物事の解決方法が男性の考えと変わってくると思うし、そこがとても楽しみです。例えばピョートルに、彼のアイデアだと思わせて『こうしたらいいんじゃないの?』とアドバイスするシーンも面白くて、殺すという選択肢以外に同じゴールを目指せるなら利用した方がいいかも、と考えられるのが女性らしいなと。

 エカチェリーナの『自分が信じたものは絶対』という考え方は、私も一緒だなと思いました。お仕事していく中でいろんな人と出会うけど、私は家族が一番で、彼らと過ごす時間で自分を取り戻しています。このドラマではエカチェリーナがマリアルと過ごす時間で自分を取り戻し、パワーアップする。そこは重なる部分だなと共感しました。とはいえ、あそこまで我慢はできないです。意志の強さに憧れるし、彼女のようになりたいなと思いました」

女性はもちろん、男性にも観てほしいワケ

 最後に、河北に本作をどんな方に観てほしいかと聞くと、力強く「男性にも観てほしい」と答えてくれた。

「女性の方にも是非観てほしいけど、彼氏とも一緒に観てほしいですね。『こういうことなんだよ! もうちょっと私を尊重してくれてもいいんじゃない!』って(笑)。18世紀と比べたらいい方だと思いますが、まだまだ男性の方が力を持っているという考えもあるし、誰しもが共感できる場面が多いと思います。自分が何も力を持たない世界の中で、どんどん自らの手でいろんなことを叶えていく主人公の姿に、たくさんの人が共感し心打たれるのではないかなと。男性が観る場合は、ピョートルのような権力と自信のある男性像に憧れるかもしれませんが、観進めると、彼の間違っている部分が露呈していくから、学びが深いかもしれません。いろんな楽しみ方ができる上に展開も早いので、本当に目が離せません」。

■放送情報
『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』
海外ドラマ専門チャンネル「スーパー!ドラマTV」にて、2月15日(月)22:00より独占日本初放送
企画・脚本・製作総指揮:トニー・マクナマラ
出演:エル・ファニング、ニコラス・ホルト、フィービー・フォックス、アダム・ゴドリー、グウィリム・リー
日本語吹替版キャスト:早見沙織、関智⼀ ほか
Copyright (c) 2021 MRC II Distribution Company, L.P.
スーパー!ドラマTV公式サイト:http://www.superdramatv.com/
「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」特設ページ:
https://www.superdramatv.com/lineup/SNN000004741.html

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