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Uru、ドラマ『中学聖日記』主題歌はなぜロングヒットに? 2つのポイントから考察

リアルサウンド

18/12/18(火) 17:00

 新ドラマの放映開始ともに注目を集める主題歌。10月クールもさまざまな楽曲がドラマを彩った。『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』の人気脚本家・野木亜紀子が手掛けたオリジナルドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)の主題歌となったのは、シンガーソングライターとして人気急上昇中のあいみょんが書き下ろした「今夜このまま」。仕事も恋愛もままならない毎日の中で、健気に生きる女心を浮き彫りにしたような歌詞に、ドラマの内容ともども勇気付けられた人も多かっただろう。また、ムロツヨシと戸田恵梨香の共演が予想以上の化学反応を見せた『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)を盛り上げたのは、back numberの「オールドファッション」。徐々に記憶を失っていくヒロインを見つめる、主人公の心を投影したミドルテンポのバラードは、ドラマのテイストにもマッチし、観る者の感動を誘った。

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 そんな秋ドラマの主題歌の中でも、ひときわ大きな反響を巻き起こしたのが『中学聖日記』(TBS系)の主題歌に抜擢されたUruの「プロローグ」だ。10月30日の配信開始以来、各ダウンロードサイトで軒並み1位を獲得。デイリーランキング11冠という自身最多の記録も打ち立てた。またiTunes・レコチョク・Mora等各配信サイトの合計が約3週間で10万ダウンロードを超え、現在は20万を突破した。また、12月17日付のオリコンデイリーデジタルシングル(単曲)ランキングではロングヒット中の米津玄師「Lemon」を抜いて1位に。これは前述の「今夜このまま」「オールドファッション」と並ぶ、今シーズンを代表する配信ヒットと言える。ドラマが放送されるたびに再びチャート上位に食い込むような動きも見せており、息の長いヒットとなっている。

 支持の背景にあるのは、1つ目にドラマの視聴熱の高さが挙げられる。『中学聖日記』は片田舎の中学校で働く女教師・聖(有村架純)が、婚約者のいる身でありながら教え子の男子生徒・晶(岡田健史)に惹かれていく姿を見つめたラブストーリー。清純派のイメージの強い有村架純が禁断の恋に落ちていく様は、センセーショナルでありながら、一方で視聴者の目を釘付けにした。視聴率も放映開始当初はやや低迷したものの、物語の舞台が3年後へと移行し、ふたりが再会するあたりから急上昇。「オリコンドラマバリュー」も右肩上がりに推移しているのがわかる。SNSでドラマについて言及しているコメントを見ていると、視聴者層は主に10~20代の女性。ドラマにのめり込むほどに主題歌にも心を掴まれる人が続出したのではと考えられる。

 2つ目はUruというアーティストの持つ世界観だ。2016年にメジャーデビューした彼女は、本名・生年月日・出身地など詳しいプロフィールは一切非公表。やや硬質でクリアな歌声は、その謎めいた佇まいと相まって聴く者を魅了してきた。ドラマ主題歌という点では、『コウノドリ』の第二シーズンで使用された「奇蹟」も大きな話題に。産婦人科病棟を舞台にした作品らしく、新たな命の誕生を歓ぶかのような穏やかで幸福感あふれる楽曲が印象的だった。今回の「プロローグ」は同じくバラードでありながら、〈あなたに触れたいと思ってしまった どうして二人出会ったの〉と道ならぬ恋と理性の間で揺れる心を歌い、全面に切なさがにじむ。そしてその切なさがドラマと共鳴し合い、観る者/聴く者の心にも深く届いていく。まるで水が満ちるがごとく、作品そのものを包み込み、周囲に伝播していくUruの主題歌。余計な情報を持たない“無色透明”であるがゆえの、しなやかな強さがあるように思う。

 Uru自身は「プロローグ」について「この曲を作る時、「もしも私だったら」どうだろう…という所から始まって、原作や脚本を読ませて頂いた時の胸の苦しさや痛みをヒントに制作しました。切なさや愛しさなど、一つ一つのシーンで物語に寄り添う曲になってくれたら嬉しいです」とコメント。自身の感情と照らし合わせながら製作された楽曲は、実際に多くの視聴者へと届き、今もなお広がり続けている。

 ドラマ『中学聖日記』は間もなく最終回。二人がどんな結末にたどり着くかはわからないが、ドラマを見守り、優しく包み込んできたUruの「プロローグ」は、物語の余韻とともに何度でも聞き返したい曲になるに違いない。(渡部あきこ)

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