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豆柴の大群、成功の秘訣は? クロちゃん×渡辺淳之介、視聴者を飽きさせない“珍味”的な組み合わせ

リアルサウンド

20/3/4(水) 6:00

 豆柴の大群が、現在、破竹の勢いで人気を集めている。

(関連:【豆柴の大群】 クロちゃん vs WACK YouTube対決結果発表

 豆柴の大群は『水曜日のダウンタウン』(TBS系)内のシリーズ企画「MONSTER IDOL」発のアイドルグループ。安田大サーカス・クロちゃんプロデュースとして始動したものの、デビューシングル『りスタート』の「解任&罰ver.」が最も売上枚数が多かったことから、クロちゃんのプロデューサー解任が決定(「続行」「解任」「解任&罰」の3形態で発売され、それぞれの売れ行きによってクロちゃんの今後の進退が決定するというものだった)。BiSH、BiS、GANG PARADEが所属する株式会社WACKのもとで活動を継続することとなり、メンバーもそれぞれWACK所属のグループに倣った名前に改名。同じタイミングで、黒を基調としたテイストのアーティスト写真も発表された。

 もともとポップで可愛らしいアイドルグループが好きなクロちゃんは、大きく路線変更を図ったことにWACK代表の渡辺淳之介へ異議を申し立てる。すると、渡辺はクロちゃんのプロデューサー解任を反対する意見もあるということを認めた上で、番組企画として「クロちゃんvs WACK YouTube対決」を実施することに。WACKプロデュース楽曲「大丈夫サンライズ」、クロちゃんプロデュース楽曲「ろけっとすたーと」のMVの再生数を1週間で競い、クロちゃんが勝利すれば豆柴の大群のアドバイザー的な立場に、敗北すれば今後、豆柴の大群とは一切関わらないという条件のもと、「ろけっとすたーと」が約100万再生の差をつけ、クロちゃんが勝利。晴れて、アドバイザーへと就任することなった。

 駆け足ではあるが、ここまでが『水曜日のダウンタウン』とYouTubeチャンネルで展開された、豆柴の大群の軌跡。番組ゲストに出演していた旧BiSのメンバーで現在はタレントとして活躍するファーストサマーウイカは、悪意の込められた演出や破天荒な企画で度々トラブルを巻き起こしてきた番組プロデューサー藤井健太郎、過激なプロモーションで知られる渡辺淳之介、2人の組み合わせの良さを予測していたが、そのハードルを大きく超えていった結果に、「りスタート」MVの爆発的な再生回数が挙げられる。

 昨年12月、グループ名発表とともに公開された「りスタート」MVは、現在までに1200万回再生を突破。BiSHの代表曲の一つ「オーケストラ」の1000万回再生の記録を、約3カ月という短い期間で抜いてしまっているのだ。作詞・作曲はクロちゃん、編曲はWACKの楽曲を手がけるサウンドプロデューサー松隈ケンタが率いるサウンドクリエイターチーム・SCRAMBLES。耳に残るのは、クロちゃんによる強烈な歌詞のフレーズだ。当初、豆柴の大群メンバーやスタジオメンバーは口を揃えて、クロちゃんの歌詞をけなしていたが、番組ゲストに出演していた川谷絵音は一人、クロちゃんの歌詞を絶賛している。豆柴の大群というグループ名を筆頭に、右から左へスッと通り抜けてしまうほどにすぐには理解できない歌詞が並ぶものの、〈スキップしながら唾かけて〉(「りスタート」)など常人では綴ることのできないリリックが段々と癖になっていく。『水曜日のダウンタウン』内のシリーズ企画「モンスターハウス」で、沸きに沸いたクロちゃんアンチの一方で、彼から目が離せなくなってしまった視聴者が一定層いるのも事実。先日、ウイカは『Love music』(フジテレビ系)にて、渡辺を「一癖ある珍味」と例えていたが、それはクロちゃんにもそっくり当てはまる。藤井×渡辺だけでなく、クロちゃん×渡辺という相性の良さも含めて、豆柴の大群が成功した秘訣が見えてくる。

 YouTube対決で披露された2曲はそれぞれ全く異なるカラーとなっている。「ろけっとすたーと」が「りスタート」と同じクレジットであるのに対し、WACKプロデュース「大丈夫サンライズ」は作詞がJxSxK×松隈ケンタ、作曲が松隈ケンタ、編曲がSCRAMBLESというWACK色全開の楽曲だ(JxSxKは渡辺淳之介の作詞家としてのクレジット)。クロちゃんの私情によって落とされたカエデの加入が前面に打ち出された歌詞とMV、スケバンテイストの衣装、クロちゃんの好みとは相反するロックな楽曲。この勝負にクロちゃんは「ろけっとすたーと」で、さらに自分の希望とするカラーを投影している。「りスタート」の間奏でクロちゃんが「言いたい事があるんだよ!」から始まるガチ恋口上を叫ぶが、「ろけっとすたーと」ではサビでファンのコールが多く差し込まれる。〈サイドステップで踏みつぶした恋心が〉〈チワワを外に飼いならし実験〉など、クロちゃん節もいまだ衰えていない。どちらもSCRAMBLESが編曲を行っているため、甲乙をつけるのは野暮であるが、より癖のある楽曲としてリピートされた結果が、約100万再生の差となったのだろう。

 また、特筆しておきたいのが、豆柴の大群がバラエティ番組発の数少ないアイドルグループであるということだ。例えば、グループの結成が決められている前提で始まるアイドル番組は、多くあれど、もともと存在していたバラエティ番組からアイドルグループが生まれることは非常に珍しい。2000年代に一斉を風靡した『クイズ!ヘキサゴンII』(フジテレビ系)から、羞恥心やPaboなどアイドル的人気を獲得したグループが数多く生まれた。かつての熱狂とまでは言い過ぎかもしれないが、豆柴の大群にはそれに近い現象と、いまだに根強いテレビの力を裏付ける結果となっている。

 豆柴の大群のアドバイザーに就任したクロちゃんは、第3弾シングルについて「次は夏曲で水着」とアドバイス。セクハラに近いクロちゃんの発言にメンバー5人はあからさまに嫌そうな顔をしながらも、「アイドル界のナンバーワンを取るぞ! ワン! ワン! ナンバーワン!」と円陣を組み、“りスタート”を志した。今後、クロちゃんが豆柴の大群にとって、どのような立場に立つのか明らかにはなっていないが、この珍味の組み合わせはしばらく飽きられることはないだろう。(渡辺彰浩)

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