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BOYS END SWING GIRLのライブから感じたバンドのポテンシャル ツアー最終公演レポ

リアルサウンド

19/7/30(火) 7:00

 今年6月にメジャーデビューアルバム『FOREVER YOUNG』をリリースした4人組ロックバンド、BOYS END SWING GIRL(以下、BESG)が、それを携えての東名阪ツアー『FOREVER YOUNG』を開催。7月21日には東京・渋谷WWW Xにてファイナル公演を行なった。

 客電が落ち、ステージ後ろのスクリーンに「BOYS END SWING GIRL」のロゴが映し出されると、フロアからは大きな歓声が。続いて今回のツアーのバックステージやオフショット、これまでリリースしてきた音源のアートワークなどがコラージュされたムービーが流れ出し、この数カ月の怒涛の日々を集まったファン全員で共有する。万感の思いに胸がいっぱいでいると、映像から流れるカウントとともに、冨塚大地(Vo/Gt)、白澤直人(Ba)、鍔本隼(Gt)、飯村昇平(Dr)がステージに登場。力強いキックの4つ打ちとともに、まずはアルバムの中でもとびきりポップな「MORNING SUN」から、この日のライブはスタートした。

 うねるようなベースラインの上で、シンコペーションの効いたグルーヴたっぷりのシンセサイザーと、軽やかなギターのカッティングが有機的に絡み合う。そして、天井を突き抜けるような冨塚のハイトーンボイスがサビのメロディを力強く歌い上げると、フロアでは手を振りかざしたオーディエンスたちが、コーラスに合わせてシンガロング。早くも会場は一体感に包まれた。

 続いて2016年にリリースされた、4枚目のミニアルバム『TRANCE』収録の「アンハッピーブレイカー」では、白澤がベースを抱えたままステージの隅から隅まで全速力で走り回り、フロアを大いに沸かせている。ギブソンのレスポールを抱えた鍔本は、ステージの縁ギリギリまで出てきて煽るようにギターソロを炸裂させた。また、昨年リリースされた『NEW AGE』収録の「蒼天を征け」では、力一杯かきむしられる冨塚の歯切れ良いフェンダーテレキャスターと、鍔本の野太いレスポールが絶妙なコントラストを生み出し、その艶やかなアレンジがキャッチーなメロディをより引き立てる。サビの掛け合いコーラスをメンバーと一緒に歌っていると、まるで自分もBESGのメンバーになったような錯覚を覚えた。

 間髪入れずに演奏された「Magic」(『NEW AGE』収録)は、キャッチーなシンセリフが印象的。再び白澤が、今度はベースを置いてステージ狭しと飛び回り、ボーカルの前に立っておどけたポーズで笑わそうとするなど、クールな見た目とは裏腹のやんちゃな振る舞いに、会場からは大きな笑い声が漏れた。

 「初めてのフルアルバム『FOREVER YOUNG』をリリースしました! たくさん新しい曲ができてさ、でかいライブハウスのスピーカーで、みんなの心に直接届けられるのは、今回のツアーが初めてなわけです。俺たちもメチャクチャ楽しみだったし、この曲たちも楽しみにしてたんじゃないかなと思っています。その初めてを一緒に噛み締めて、かつ情熱を共有しながら一緒に楽しめたらと思っています。最後までよろしくお願いします!」と、冨塚が元気いっぱいに挨拶すると、大きな拍手と歓声が巻き起こった。

 ここからは、そんな新しいアルバムからの楽曲を中心に展開。彼らがフェイバリットに挙げる、スピッツのポップネスを受け継いだミドルチューン「Goodbye My Love」や、ヘヴィかつ情熱的なイントロから始まる「縋-sugare-」、「僕の部屋で聞いているような気分になってほしい」と、椅子に座ってオーディエンスに語りかけるように歌った「毛布の中で抱き合って」など、様々なタイプの曲が並ぶ。さらに、力強いボーカルが心を揺さぶるアンセム「Wonder Light」や、赤ん坊の鳴き声で始まり心電図の音で終わるという、人の一生をSEで描いた実験的なナンバー「ナニモノ」など、ライブバンドとしての振り幅の大きさを見せつけた。

 「ナニモノ」のエンディングで冨塚、鍔本、白澤が順にステージを後にし、1人残された飯村が同期のリズムに合わせてドラムソロを披露。さらに白澤が加わりベースソロを展開したあと、再びメンバー全員揃ってライブ後半へ。「かかってこい渋谷ー!」と冨塚がシャウトし、「Beasts」、「Boo Let it go!!」そして「SUNNY!!」とアッパーチューンを畳み掛けた。中でも「Boo Let it go!!」は、「世の中、生きていればムカつくことってありますよね? 今日は無礼講です。あなたの嫌いなあのクソッタレに中指立てませんかー?」と冨塚に呼びかけられたオーディエンスが、「Boo!!」をシンガロングして場のボルテージは最高潮に達した。

 「リベラル・セブンティーン」ではサビでタオルを回し、本編最後の「Alright!! ~令和若者讃歌~」では、床が揺れるほどジャンプ。鳴り止まぬアンコールの中、まずは冨塚が1人で登場しピアノの弾き語りによる「クライベイビー」を披露。この日のために3カ月特訓したという心のこもった演奏と、透き通るような彼の歌声に胸を打たれた。そして、今年の冬に新たな音源リリースがあることを発表したあと、インディーズ時代からのレパートリーで、アルバムのタイトルにもなった「フォーエバーヤング」を演奏し、この日の公演をすべて終了した。

 卓越したソングライティング能力と、確かな演奏力に裏打ちされたバラエティ豊かなバンドアレンジ。新人とは思えぬ彼らのポテンシャルを、ひしひしと感じた一夜だった。

(写真=今元秀明)

■黒田隆憲
ライター、カメラマン、DJ。90年代後半にロックバンドCOKEBERRYでメジャー・デビュー。山下達郎の『サンデー・ソングブック』で紹介され話題に。ライターとしては、スタジオワークの経験を活かし、楽器や機材に精通した文章に定評がある。2013年には、世界で唯一の「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン公認カメラマン」として世界各地で撮影をおこなった。主な共著に『シューゲイザー・ディスクガイド』『ビートルズの遺伝子ディスクガイド』、著著に『プライベート・スタジオ作曲術』『マイ・ブラッディ・ヴァレンタインこそはすべて』『メロディがひらめくとき』など。ブログFacebookTwitter

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