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勅使川原三郎+KARAS、東京芸術劇場にて「羅生門」上演 ゲストダンサーはアレクサンドル・リアブコ

ぴあ

勅使川原三郎版「羅生門」

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2021年8月、勅使川原三郎+KARASが2年ぶりに東京芸術劇場にてゲストダンサーを迎え、新作「羅生門」を上演する。

ポーランドの作家ブルーノ・シュルツの諸作品、アルチュール・ランボー、スタニスラフ・レム、萩原朔太郎、中原中也、宮沢賢治など、内外のさまざまな作家の作品から着想を得た数々のダンス作品を創作している勅使川原三郎。そんな彼が今回取り上げるのは、近代日本文学を語る上で欠かせない存在である芥川龍之介の短編「羅生門」だ。「羅生門」に描かれているのは、飢餓と疫病が蔓延する極めて生きにくい世界で、安らぎを失った人間の、極限の状態に置かれた時のふるまい。そこに、コロナ禍に喘ぐ現代に通ずる真実を見出した勅使川原は、羅生門に棲むという鬼の存在に重きを置きながら、ダンスでこそ表現し得る独自の「羅生門」を打ち出すべく、構想を練った。捨てられた死体が重なる、忌まわしい空気に包まれた羅生門。そこで繰り広げられる人間の悪事と葛藤、その先に見えてくるものを、鋭く、かつ幻想的に描き出す、新たな「羅生門」が誕生する。

舞台では、勅使川原自身と、勅使川原のアーティスティック・コラボレーターとして活躍する佐東利穂子に加え、ゲストダンサーのアレクサンドル・リアブコが重要な役割を担う。リアブコは現代バレエの巨匠、ジョン・ノイマイヤー率いるハンブルク・バレエ団のプリンシパルとして活躍。『椿姫』『ニジンスキー』をはじめとする数多くの作品で卓越した表現力を発揮し、世界を魅了している。

また音楽では、平安時代から継承された東洋の伝統的な楽器、笙の演奏が大きな役割を果たす。奏者は、国際的な活躍で知られる宮田まゆみ。東京公演では舞台上での生演奏が実現。宮田の崇高な音色をもって、人々を「羅生門」の世界へといざなう。

昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により予定されていた「三つ折りの夜」上演を断念。勅使川原三郎+KARASにとって東京芸術劇場での公演は2年ぶりとなる。満を持しての公演に期待してほしい。

●勅使川原三郎コメント
『羅生門』をダンス作品にしようという試みは、私の他の創作と同様、単に物語をダンスでなぞって見せようということではない。芥川の『羅生門』は、平安時代の飢餓、疫病の時代に、生きる術を失い、困り果て、もうこれ以上どうしようもないほどに切羽詰まった人間を描いている。多くの死体が横たわる羅生門の中にぽつんと生き残った人間が、行くところもなく雨の滴る音を聞いている。そんな時ですら、人間には欲があり、どこかに善悪の観念があり、そして裏切りがあり、葛藤があるということが面白く、また滑稽でもある。貧しさの、最低の状況にこそ、鮮明に見えてくる何かがある。私は、羅生門の「鬼伝説」に立ち返るとともに、芥川の筆跡、その文体を、ダンスとしてどう表すことができるか、探っていきたい。

勅使川原三郎

【公演概要】
勅使川原三郎版「羅生門」
開催日時:2021年8月6日(金)〜8月8日(日)
会場:東京芸術劇場プレイハウス

演出・構成・振付・照明・美術・音楽構成:勅使川原三郎
アーティスティスティックコラボレーター:佐東利穂子

出演:勅使川原三郎 佐東利穂子 アレクサンドル リアブコ(ハンブルク・バレエ団)
宮田まゆみ(笙 演奏) ※東京のみ生演奏
詳細:http://www.st-karas.com

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