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YUKI、きのこ帝国、JUJU、Mr.Children……ストーリーに華を添える映画主題歌に注目

リアルサウンド

18/9/23(日) 12:00

 9月21日より有村架純主演の映画『コーヒーが冷めないうちに』が公開される。同作は2017年に本屋大賞にノミネートされ、「4回泣ける」と話題にもなった同名小説の実写化。主題歌はYUKIが担当し、ハートフルな物語と優しい歌声のベストマッチ具合に、映画公開前からすでに期待の声が上がっていた。

(関連:YUKIセルフプロデュース作『トロイメライ』から学ぶ、自分らしく生きるための筋道

 映画において主題歌は、ストーリーに華を添える大切な役割を果たす。そこでこの記事では、近年公開された映画の中から“泣ける・心温まる映画主題歌”をピックアップし、それぞれの楽曲が映画とどのように作用し合っていたかを考察したい。

■『湯を沸かすほどの熱い愛』主題歌:きのこ帝国/愛のゆくえ

 2016年に公開された宮沢りえ主演映画『湯を沸かすほどの熱い愛』は、余命2カ月と宣告された母・双葉(宮沢)と、残された家族が紡ぎだす愛が描かれた作品だ。主題歌「愛のゆくえ」は、もともときのこ帝国のファンを公言していた中野量太監督からのラブコールを受けて書き下ろされた。前奏の切り裂くような轟音ギターの音が“悲しみの渦”だとすれば、佐藤千亜妃(Vo/Gt)のしっとりとした歌声は柔らかに差す“日差し”のように、この映画を観た後に切ない気持ちでいっぱいになってしまった人の胸に、温かな光を落としてくれる。その温かさは、どんな時でも持ち前の明るさで家族のために奔走していた双葉の愛情とも重なるのだ。そして、もう居ない人への切実な想いを抱えながら「それでも生きていく」という意思がシンプルな言葉で綴られている歌詞は、劇中の“残された家族”の思いが反映されているようであり、エンドロールの最後までたっぷり映画の余韻に浸れる楽曲に仕上がっている。

■『祈りの幕が下りる時』主題歌:JUJU/東京

 今年1月に公開された阿部寛主演映画『祈りの幕が下りる時』。2010年4月に連続ドラマとしてスタートした東野圭吾原作の『新参者』シリーズの完結編であり、“シリーズ一泣ける作品”とも評されていた。JUJUの力強い歌声が胸を打つ主題歌「東京」は、本作のテーマとも言える“別れゆく親子の深い愛情”が投影された歌詞が聴く人の涙を誘う。特に〈誰もがみんな秘密の中で 本当のこと隠して生きている〉〈「さよなら」は別れじゃなくて 果てない愛の約束〉という歌詞からは、劇中に登場する報われない親子の悲劇が思い出され、この映画に深く共感すればするほど、同曲に込められた強い祈りや後悔の念をストーリーに重ねて胸を痛めずにはいられない。ちなみに同曲のMVはドラマ調になっており、その中でも父と娘の不器用な関係が映し出されている。公開後にはYouTubeのコメント欄やSNSに感涙コメントが続出するなどの大きな反響があり、JUJU自身も完成作品を観て思わず涙してしまったというエピソードがある。

■『君の膵臓をたべたい』主題歌:Mr.Children/himawari

 2017年夏に公開された映画『君の膵臓をたべたい』は、浜辺美波演じる膵臓の病を患うヒロイン・桜良と、北村匠海演じるクラスメイトの“僕”が儚い日々を共に過ごしていく青春ストーリー。映画には、原作となった住野よるの同名小説には綴られていない“12年後の世界”が描かれたが、だからこそ「himawari」は主題歌という枠を超えて、ストーリーの一つのピースにもなっていたと言える。まだ学生だった“僕”と桜良の関係性は決して恋愛感情によるものではなく、もっと精神的な繋がりだったと考えられるが、12年後の“僕”が改めて彼女の思い出に触れた時に流した涙には、時間が経って少し客観的に見るからこそやっと理解できた感情も含まれていたはずだ。「himawari」は〈そんな君に僕は恋してた〉という歌詞が印象的に響いているが、大人になった“僕”の心情を想像しながら同曲を聴くと、その感情も映画版の結末の一つだったのではないかと感じる。

■『コーヒーが冷めないうちに』主題歌:YUKI/トロイメライ

 望んだとおりの時間に戻ることができる不思議な喫茶店を舞台に、誰もが一度は思ったことがある「もしも、あの時に戻ることができたら……」という感情と共に展開する人間ドラマが描かれる同作。YUKI自身が原作を読み、映画を観て完成させたという主題歌「トロイメライ」は、曲を聴くだけで自然と体の中から前向きなパワーが湧き上がってくる楽曲だ。楽曲完成のコメントでYUKIは、人が「後悔しない生き方」に憧れながらも間違えてしまうのは、赦しあうためなのかもしれないとした上で、「過去の自分を責めて、前に進めなくても、その時の決断が決して利己的なものではなかった事を、誰かがきっと、わかってくれている。そうであってほしい、という希望と願いを込めて、作りました」と語っていた。この言葉通りYUKIの優しい歌声からは、劇中に出てくる“後悔”という傷を負った人々と、映画を観て自分の中の“後悔”と対峙する人々の心を無条件に包み込むような母性が滲み出ている。

 ここで挙げた4曲以外にも“泣ける・心温まる映画主題歌”は数多くあるが、どれも共通して言えることは劇中のある人物の心情に寄り添った歌詞であり、ストーリーが終わってしまった後の生き方をも想像させるものであるということだ。ただストーリーをなぞるだけではなく、登場人物の心の奥まで入り込んで浮かび上がった想いを汲み取り、そのアーティストの持ち味を加えて昇華させることによって、映画の一部とも言える主題歌が誕生し、多くの人々の共感を得ることができるのだろう。(渡邉満理奈)

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