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櫻坂46 藤吉夏鈴と山﨑天、多くを語らず目で主張する二人 センター抜擢から見えるクリエイティブ面の踏襲

リアルサウンド

20/11/11(水) 6:00

 先日、ティザー映像が公開された櫻坂46の1stシングル『Nobody’s fault』。発売が近づくに連れて、徐々にそのコンセプトやクリエイティブ周りの全貌が明らかになってきた。先駆けて公開されたグループ全体のアーティスト写真は荘厳な空気感。気品漂う衣装は、上半身や袖に施された複雑なデザインに対して、腰から足元にかけての裾のグラデーションが優雅で美しい。中世ヨーロッパの貴族のドレス風でもあり、庶民的なワンピース風でもある。

 また、通常盤と合わせてTYPE-AからTYPE-Dまで5種類あるジャケットアートワークはクリエイティブチーム・PERIMETRONが手がけたという。表題曲の力強いイメージとは異なり、アンティークな扉や緑の生い茂った古めかしい建物が独特の雰囲気を醸している。まるで「深い森にある廃墟でダンスレッスンを始めた生徒達」といった様相だ。欅坂46時代の『二人セゾン』のアートワークをどことなく思わせる構図もあり、カップリング曲への期待が高まる。なかでもTYPE-Aは、表題曲センターを務める森田ひかるを含めた2期生3人のアンニュイな表情が印象的。現在の彼女たちの心に巣食う不安や迷いが伝わるようだ。

 その内の1人である藤吉夏鈴は、番組などで見せる独特の“不思議かわいい”キャラクターが人気のメンバー(欅坂46 藤吉夏鈴が持つ、“不思議かわいい”の内に秘めた“熱” 独特なキャラクターとステージ上でのギャップが魅力に)。そして、物静かなイメージとは裏腹に心の中の“熱さ”の伝わるパフォーマンスも魅力的。先日の欅坂46のラストライブでも弾けるような笑顔が話題となっていたが、不器用ながらもステージ上では人が変わったような表情を見せてくれるのは多くのファンが知るところ。もともとファンからの注目度も高く、今作のセンター起用は満を持しての抜擢と言えるだろう。

 今年7月にYouTubeでプレミア公開されたスペシャルインタビュー特番『欅坂46 season’s 28の欠片』において、グループ加入前は「(将来について)あまり何も考えてこなかった。ただ生きてるみたいな人だった」と話していた藤吉。オーディションを受けたのは、そんな自分を見かねた親が「変わってほしい」と思って薦めたからだという。今作のセンター抜擢をきっかけに、さらに成長していく彼女の姿に期待したい。

 対して、同じく収録曲のセンターを務める山﨑天もまた注目メンバーのひとりだ。ここ最近パフォーマンス面が急成長中で、番組披露時やライブパフォーマンスでカメラに向かって誘い込むような眼差しを見せ、視聴者の目に止まることも多い(欅坂46 山﨑天は、グループの中心的存在に? ステージで異様な存在感を放つ最年少メンバー)。グループ最年少ながらも落ち着きがあり、藤吉同様、内に秘めたる思いの強さがライブで感じ取れる。まだまだ若いため今後の伸びしろも十分。今作の経験を糧に飛躍していく未来が予想される。

 どちらかと言えば多くを語らず目で主張するようなタイプの2人。バラエティ番組でもあまり自ら積極的に喋っていくタイプではない。しかし、だからこそステージ上では目を引く何かを持っている。改名のタイミングでリニューアルされた冠番組『そこ曲がったら、櫻坂?』(テレビ東京)は個性豊かな新メンバーの活躍もあって非常に良いテンポ感で進行しているが、その一方で、こうしたクリエイティブ面では2人のようなタイプのメンバーの存在感も光っている。櫻坂46のこうした点には、欅坂46時代の姿勢がブレずに受け継がれていると言えるだろう。新しく生まれ変わって大きく変化した部分もあれば、この2人のセンター起用に欅坂46時代を踏襲している部分も感じる。良い部分は受け継ぎ、変えるべきは変えていく。そうした姿勢を今作のセンターの人選に感じるのだ。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

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